日本の文芸映画 有吉佐和子「紀の川」 有吉佐和子の代表作! 司葉子・岩下志麻主演! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「紀の川」

 

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「紀の川」 予告編

 

1966年6月11日公開。

有吉佐和子の故郷を舞台にした女性物語。

第17回ブルーリボン賞主演女優賞受賞(司葉子)。

上映時間173分。

 

原作:有吉佐和子       

脚本:久板栄二郎      

監督:中村登
音楽:武満徹  

キャスト:
司葉子:真谷(紀本)花         岩下志麻:真谷文緒(花の長女) 
有川由紀:真谷華子(文緒の娘)     東山千栄子:豊乃(花の祖母)
田村高廣:真谷敬策(花の夫)      丹波哲郎:真谷浩策(敬策の弟) 
野々村潔:信貴(花の父親)       中野誠也:政一郎(花の長男) 
村瀬幸子:ヤス(敬策の母親)      柳沢真一:加納 田(敬策の親友)
沢村貞子:市(真谷家の女中)      志賀真津子:清(浩策の妻) 
穂積隆信:石田(敬策の秘書)      菅原文太:教官

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あらすじ:
第一話<花の巻>
明治32年、22歳の春を迎えた花は、紀州・有功村六十谷の旧家である真谷家に嫁いだ。
夫・真谷敬策は、東京帝大卒・24歳の若さで、村長の要職にあった。
翌年の春、花は妊り 実家の祖母・豊乃と共に慈尊院へ行き、乳房形を献上し安産を祈った。
その甲斐があり、紀ノ川が台風に荒れ狂う秋、無事に長男・政一郎を出産する。
長男誕生の報に喜んだ夫・敬策は、花の案で、紀ノ川氾濫を防ぐ大堤防工事を計画実行する。
日露戦争が始まった年、敬策の弟・浩策は、真谷家が持っていた山全部をもらって分家する。

そして、敬策は県会議員に出馬するため、和歌山市内に居を移した。
花は、日本海海戦大勝利の中で 長女・文緒を出産する。

第二話<文緒の巻>
17歳になった文緒は、和歌山高女に学び、新時代に敏感な少女に成長する。 
そして、新思想の教師が追放されると学校当局と渡りあったりして、母の花を嘆かせた。
文緒は、東京女子大に進学した後も、男女平等を標榜する。

文緒には、真谷家という家門や昔風の美徳に生きる母・花に対する反発があった。
卒業後、文緒は同人仲間の晴海英二と結婚する。
晴海という男は、日本正金銀行の社員で家柄もよかった。
昭和初年、真谷敬策は中央政界に進出する。
一方、夫の転勤と共に上海に渡った文緒は、生後間もない長男を失う。
二度目の出産のため日本に帰ってきたが すっかり様子が変わっていた。
昭和七年、文緒は長女・華子を生んだ。
そして大戦が始まる少し前、長年政界にあった敬策が急逝する。
花の表情はうつろだった。

そんな花を見て、文緒は華子に向かって「真谷家の明治・大正時代がこれで終わるのだ」とささやくのだったが・・
 

紀ノ川 1966 - 銀幕三昧

 

コメント:

 

原作は、有吉佐和子の代表作。

 

有吉佐和子 『紀ノ川』 | 新潮社

 

婦人画報社(現ハースト婦人画報社)の雑誌『婦人画報』に1959年1月号から1959年5月号まで連載され、同年6月に中央公論社(現中央公論新社)より単行本として刊行された。

1964年にNHKでテレビドラマ化、1966年、中村登監督により松竹で映画化された。

 

有吉佐和子の自伝に近い作品とみなされている。

「華子」のモデルは有吉佐和子自身とされ、母の有吉秋津を「文緒」に、祖母の木本ミヨノを「花」に投影しているという。


3時間にわたる長編映画だが、細部まで手抜きのない画面造りと出演者の熱演に見飽きる事がない。

有吉佐和子作 映画「紀ノ川」 ロケ地 - YouTube

明治・大正時代を 昔気質を貫き通し 生きた「花」という女性を主人公にした “女の一生”物語。
「有吉佐和子」の原作を、黒澤組の名脚本家「久坂栄二郎」が脚色し、女性を美しく撮ることで有名な「中村登」監督が演出した 文芸大作である。

主役の「花」を「司葉子」が22才から72才までを熱演している。


「花」は、琴は生田流名取り、お茶も生花も一流。 何より強く逞しい、「紀ノ川」に例えられる女性であった。 

紀ノ川 1966 - 銀幕三昧

「花」の祖母を演じた東山千栄子は、トルストイやドストヱフスキーも読むインテリ女優だった。

前半の見所は、その祖母が見送る紀ノ川を 船で嫁入りする冒頭シーンだ。
霧に煙る川に、紅い毛氈を敷いた高瀬舟。 

籠に乗った、花嫁衣装に角隠しの「花」。
前後合わせて5隻に、米俵や家具類の嫁入り道具を満載し、付き人達を載せて走る映像は壮観である。

後半に入ると、娘の「文緒」(岩下志麻)と、「花」との新旧対決が見所。 
 


「文緒」が蔵の中で見つけた雑誌にあった、特賞を受けた「花」の文章。
これは、「花の文」というより、当時の女性の生き方の模範であったと読み取れる。

雑誌「家と女性」の懸賞論文のタイトルは「家のいのち」。

そこにあった文章は:
「・・・・ 女子として生を受けたる吾に 他家へ嫁ぐは これ人の道ぞかし
 いえだま(家魂?)をになって 一旦嫁したる上は 身を灯明の油ともなして
 この家の光を 絶やさざらんことを 女子としての吾が務めならん・・・・」 

まだ自転車が珍しい大正時代 

「文緒」が近所の好奇の眼の中、奇声を上げて乗り回す自転車を、門前で、足袋のまま取り押さえた「花」は 家の中を引摺る。

「おかァーさん! 堪忍して いただかしてください」

どんなに哀願しても、蔵の中に閉じ込め、閂をかける。

「文緒」の泣き叫ぶ声は、耳が痛いほどだった。

 

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