日本の文芸映画 石原慎太郎 「俺は、君のためにこそ死ににいく」  特攻隊出陣基地を描いた作品!  | 人生・嵐も晴れもあり!

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「俺は、君のためにこそ死ににいく」  

 

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「俺は、君のためにこそ死ににいく」 プレビュー

 

2007年5月12日公開。

特攻隊出陣基地・知覧を描いた映画。

石原慎太郎制作総指揮の作品。

興行収入は10.8億円。

 

脚本:石原慎太郎

監督:新城卓

 

キャスト:

鳥濱トメ - 岸惠子
富屋食堂を知覧の商店街で経営している。
板東勝次 - 窪塚洋介
陸軍少尉。父・妹・弟を日本に残し出征する。特攻に参加するが生き残り、その後中西隊と共に再び特攻に参加するが、敵機に撃墜され無人島に墜落し、無人島にて生き残り、戦後に家族と再会する。
中西正也 - 徳重聡
少尉。第71振武隊、中西隊隊長。特攻にて敵機に攻撃され気絶し、戦後に生き残る。
河合惣一 - 中村友也(中村倫也)
軍曹。第71振武隊、中西隊隊員。特攻により19歳の若さで戦死する。実在の特攻隊員の宮川三郎がモデル。
田端絋一 - 筒井道隆
少尉。第47振武隊、荒木隊隊員。実在の川崎渉少尉がモデルだが最期の迎え方は若干異なる。
金山 - 前川泰之
少尉。第47振武隊、荒木隊隊員。朝鮮人。実在の朝鮮人特攻隊員の卓庚鉉がモデル。
鳥濱美阿子 - 勝野雅奈恵
トメの長女。
鳥濱礼子 - 多部未華子
トメの次女。知覧高等女学校による知覧飛行場への奉仕隊の一員。史実では特攻隊ではなく特攻隊掩護任務の戦闘隊に奉仕した。
加藤 - 渡辺大
伍長。第47振武隊、荒木隊隊員。
石倉 - 宮下裕治
伍長。第71振武隊、中西隊隊員。
安部 - 木村昇
少尉。第35振武隊、安部隊隊長。
荒木 - 田中伸一
少尉。第47振武隊、荒木隊隊長。
松本 - 蓮ハルク
軍曹。第47振武隊、荒木隊隊員。
大島茂夫 - 古畑勝隆
伍長。第71振武隊、中西隊隊員。
久野 - 松尾諭
軍曹。第71振武隊、中西隊隊員。
憲兵大尉 - 中原丈雄
川口 - 遠藤憲一
少佐。第6航空軍参謀。司令部から現地戦闘指揮所に派遣された参謀。
東 - 勝野洋
大佐。第6飛行団長。現地指揮官の今津正光大佐がモデルであるが、参謀との上下関係から、菅原道大中将の要素も含まれ、福岡の第6航空軍司令部の描写も同時に行われている。
関行男 - 的場浩司
海軍大尉。戦斗第301飛行分隊長。
大西瀧治郎 - 伊武雅刀
海軍中将。第1航空艦隊司令長官。特攻作戦の最初の発令者。
鶴田一枝 - 中越典子
女子挺身隊の一員。
鶴田正造 - 石橋蓮司
一枝の父。
板東寿子 - 桜井幸子
勝次の妹。
板東真太次 - 寺田農
勝次の父。
板東秀次 - 大嶋捷稔
勝次の弟。
田端良子 - 戸田菜穂
絋一の婚約者。
田端由蔵 - 江守徹
絋一の父。
河合惣一の母 - 宮崎美子
大島の祖父 - 長門裕之
芋飴屋を営む。

 

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あらすじ:

昭和19年秋。太平洋戦争で圧倒的に不利な戦況に陥っていた日本軍は、米軍を阻止すべく苦汁の選択をする。それは大西瀧治郎海軍中将(伊武雅刀)の提唱の下、戦闘機に爆弾を搭載して敵艦に体当たりする特別攻撃隊を編成することであった。

しかしマニラを陥落させた米軍は日本攻略に手をつけ、昭和20年春、沖縄に上陸。

鹿児島県の知覧飛行場は、沖縄を死守するための陸軍の特攻基地となった。

軍指定の富屋食堂を構え、若き飛行兵たちから母のように慕われていた鳥濱トメ(岸恵子)は、複雑な想いを胸に秘めながらも彼らを見守り続けるしかなかった。

ある時は、特攻出撃の旨を家族に伝えるようにトメに頼みに来た坂東少尉(窪塚洋介)のために、慣れない手紙を書く。

また、朝鮮人でありながら特攻に志願した金山(前川泰之)は、差別や偏見なく接してくれたトメに感謝を込めて祖国の歌『アリラン』を歌った。

田端少尉(筒井道隆)や、隊長の中西少尉(徳重聡)は恋愛と任務の狭間で揺れるが、そんな彼らもトメは優しく見守り、時には憲兵大尉に食い下がることもあった。

いよいよ特攻隊の出撃前夜。死を前にした隊員たちは、人生最後の夜をそれぞれ厳かに過ごしていく。

河合(中村友也)はトメに、自分は蛍になってここに戻ってくると言って微笑んだ。

そして翌朝、特攻隊は大空へ旅立っていった。

昭和20年8月15日、日本は終戦を迎えたが、特攻で生き残った者たちやトメの心の中では、戦争から受けた試練は今も続いているのだった。

 

俺は、君のためにこそ死ににいく7枚目の写真・画像|cinemacafe.net

 

コメント:

 

“特攻の母”として知られる鳥濱トメの視点から、若き特攻隊員たちの青春の姿を描いた戦争群像劇。

石原慎太郎(公開当時、16代東京都知事)が製作総指揮・脚本を手がけた作品。

主要キャストに窪塚洋介などを起用し、役所広司の息子・橋本一郎のデビュー作ともなった。

総製作費18億円。

興行収入は10.8億円で、2007年度邦画部門で29位(2007年全国映画概況: 日本映画製作者連盟)。

大ヒットに見えるが、実は赤字。

制作費が18億円なのだから。

 

特攻で死んでいった若者達の死は何だったのか。

石原慎太郎は何を問いかけたかったのか。

国を守るという精神を伝えたかったのか。
映画の中で、日本人として死んだ言った朝鮮人も描き、差別してはいない。

死を決して美しくは描いて無く、賛美もしていない。
きちっと戦後まで描き、特攻は悲劇だったという形ばかりの描き方はしていない。

 

☆ 『俺は、君のためにこそ死ににいく』 | 映画の感想文日記

 

むしろ「皆に会いたい、なぜ俺だけが生き残ったのだ」と悩みつつも、若き飛行兵たちから母のように慕われていた鳥濱トメ(岸恵子)の諭しで立ち直った生き残り兵士もいた。
鳥濱トメの周辺を描きつつも若き兵士達の青春の悩みをうまく描いている。

 

石原慎太郎の「暴走老人」ぶりは、現れておらず、けっこうまともな反戦映画である。

 

だが、この映画は、盗作に近い。

 

本作の6年も前に、「ホタル(2001)」という、高倉健、田中裕子主演の映画が公開されている。

当ブログでも、2022年8月に「ホタル」をレビューしている:

 

 

これは知覧から飛び立ったたくさんの特攻隊の兵士とその生き残りの人々を描いた作品である。

名優・奈良岡朋子が「知覧の母・鳥濱トメ」を演じており、素晴らしい存在感を見せている。

(山本富子という別名にしているが、モデルは鳥濱トメ・その人だ。)

2001年度第44回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞した。

 

もちろん本作でも、知覧の母を岸恵子が熱演しており、そこは全く遜色はないが。

 

おそらく石原慎太郎は「ホタル」を観て、同じような反戦映画を残したいと思い立ったのだろうが、所詮は二番煎じだ。

「河合はトメに、自分は蛍になってここに戻ってくると言って微笑んだ。」というのは、完全にパクリだ!

 

そのためもあってか、どの映画賞にもノミネートさえされなかったようだ。

 

この映画は、特攻隊員と鳥濱トメの交流という史実を題材として取り上げたこと、製作総指揮・脚本を、愛国的言動で話題になることが多い石原慎太郎が手がけたことで、制作前から「太平洋戦争賛美・右翼的表現の多い映画ではないか?」とする意見があり、左翼から批判を受けた一方、右翼、保守層には逆に絶賛されたという。

慎太郎は生前の鳥濱トメと交流があり、その際に聞いた特攻隊員の話を元に、フィクションを加えて脚本を執筆したらしい。

 

井筒和幸は、上映前からこの映画を「戦争の美化映画」などと評して、映画本編を見ない状態で批判した。

この一連の井筒の批判に対して、出演者である窪塚洋介は映画の記者会見にて「映画を観てから評論して欲しい」「この映画を見て、戦争賛美だというヤツはアホだと思う。もう一回見た方がいい。見る前に言うヤツはアホ。右だ左だというけど、鳥は両方の翼がないと飛べないという思いで、日々生きています」と反論した。

監督の新城卓も「映画を見てからコメントしてほしい。それがお互いの礼儀でありルール。パフォーマンスとしての発言は、やがて本人に返ってくる」「沖縄県出身で国歌も聞いたことなく上京しました。右翼というのならどうぞ。史実をとらえありのままに描きました」とコメントした。

また、井筒は石原に対して「映画なら俺が先輩やから先に観に来て欲しい。そしたら観に行こ」などと相互交流を提言した。

 

とにかく敵がたくさんいた石原慎太郎にとっては、多くの野党や映画人たちから猛批判を受けて、さらに気分が高揚したことであろう。

 

三島由紀夫の最期を思い出して、自分も何か残さなければと思ったのかもしれない。

 

「俺は、君のためにこそ死ににいく」などという、カッコいいタイトルだけは目を惹くが、独創性が無く、右翼のイメージが強い石原慎太郎が関与したために受賞を逃したともいえる映画だ。

 

だが、所詮この男のやることはこのくらいが精いっぱいだろう。

石原裕次郎という天才俳優の弟を最大に活用して生き延びたのだが、これが実質的な最後の映画化作品になった。

だが、慎太郎がこの映画制作に関わっているのは、原作ではなく、脚本のみだ。

 

この映画は、Amazon Primeで動画配信中:

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これで、「日本の文芸映画シリーズ」における石原慎太郎のレビューは終了とする。

 

国会切抜き】石原慎太郎「18年ぶりに戻りました、暴走老人です」(戻ってきた石原慎太郎) - ニコニコ動画

 

今後、「明治維新後の極悪人シリーズ」の特集を予定しているので、そこで慎太郎の再登場となるだろう。

ご期待乞う。