日本の文芸映画 泉鏡花 「草迷宮」 三浦海岸の化け物屋敷を描く! 寺山修司監督作品! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「草迷宮」

(くさめいきゅう)

 

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「草迷宮」全編

 

1978年フランス公開。

1983年11月12日寺山修司追悼特集として日本初公開。

泉鏡花の魔物の世界を映画化。

未成年視聴禁止映画。

 

原作:泉鏡花「草迷宮」

脚本:寺山修司、岸田理生

監督:寺山修司

 

キャスト:

  • 三上博史 … 明(少年時代)
  • 若松武 … 明(青年時代)
  • 新高恵子 … 母親
  • 中筋康美 … 千代女
  • 福家美峰 … 美登利
  • 伊丹十三 … 老人 / 僧 / 校長(三役)

 

草迷宮 : 作品情報 - 映画.com

 

あらすじ:

あきら(三上博史)は、死んだ母親の口ずさんでいた手毬唄の歌詞を探して旅をしている。

彼は校長や僧(伊丹十三)を訪ね、教えを請う。

あきらが旅の途中で想い出すのは死んだ母親のことであった。

彼が住んでいた裏の土蔵には千代女(中筋康美)という淫乱狂女がおり、千代女に近づくと母親(新高恵子)にひどく叱られた。

人の話では千代女は父が手込めにした女中で、怒った母が十年も閉じ込めているという。

ある日あきらは美しい手毬少女に出会うが、彼女を追いかけているうちに、ある屋敷の中に入りこむ。

その屋敷には妖怪たちがおり、大小の手毬が飛びかい首だけの母親もいた。

そしていつしかあきらの葬いに変わった。

それは夢だった。

あきらはまた、旅を続けるのであった。

 

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コメント:

 

泉鏡花の同名小説を元に寺山修司が監督した映画作品。

 

本作は、1979年、フランスの映画プロデューサー、ピエール・ブロンベルジェが制作したオムニバス映画『プライベート・コレクション』(Collections privées) 中の一編。

"L'ile aux sirenes"(監督:ジュスト・ジャカン)、"L'Armoire"(監督:ワレリアン・ボロズウィック)の2つのエピソードと共にパリ市内約30の映画館で上映された。

 

日本では寺山が死去した1983年、寺山修司追悼特集として初めて公開された。

天井桟敷メンバーも出演している異色中の異色の作品になっている。

三上博史の映画デビュー作でもある。

 

プライベート・コレクション/草迷宮 | ちゃいるどふーず・ねばー・えんど

 

まさにこれが、寺山修司の求めるイメージの世界だろうと思える摩訶不思議な作品。

主人公・明(三上博史)が本当の(?)母を探し続ける、乳房の象徴、母の象徴である手毬を頼りに、旅から旅へ。

そして、淫靡な妖艶な女に引き込まれる。

母の元から、離れられなかった、明の幻想と苦悩か。

それは、そのまま寺山修司の永遠のテーマかと思われる。
 

劇団天井桟敷の女優の面々も妖艶で奇妙な世界を醸し出している。
最後には、不気味な屋敷で繰り広げられる乱闘へと入り込んでいく。

でも、それも夢かもしれない。

 

原作は、泉鏡花の明治41年に発表された同名小説。

舞台は、「魔所」と呼ばれて恐れられる三浦の大崩壊。

別名、秋谷の大崩壊。

これは三浦半島の海岸に実在している長者ヶ崎という所のようだ。

 

泉鏡花が大崩壊(おおくずれ)と呼んだという長者ヶ崎の切り立っ

 

そこに泉鏡花の「草迷宮」の石碑が飾られている:

 

草迷宮の大崩壊(おおくずれ)

 

小説はこちら:

 

 

この小説は、映画以上にさまざまな展開が盛り込まれており、泉鏡花の世界そのものといった雰囲気の作品である。

 

「秋谷の大崩壊」と呼ばれていたその場所は、恐ろしい土地だという。

主人公・明(あきら)は、そこで茶屋の姥から、秋谷が怪異の地であることを聞く。

 

そこにある屋敷はかつて長者の住む大豪邸だった。

しかし荒れ放題となり、怪異の起こる「草迷宮」と呼ばれている魔物の館なのだ。

そこに宿泊することになった主人公が思い出す子供時代の恐ろしい事件がこの映画のテーマになっている。

主人公の父が手込めにした千代女という淫乱な女中と母親との激しい争いによって巻き起こる事件を思い出すことで、草迷宮でも凄まじい怪異現象が起こるのである。

 

こういう世界こそ、泉鏡花の描いた異境の物語なのだ。

 

この作品は、今ならYouTubeで全編無料視聴可能。

 

本作が収められているオムニバス映画「Collections privées」 プライベート・コレクション)は、以下の3つから構成されていると紹介されている:

 1本目:

ジュスト・ジャッキン監督の『L'Ile Aux Sirenes』(セイレンの島):

ヨットに出かけていた裕福な悪党が船から流され、島に漂着する。

そこで彼の性的な気まぐれを4人の美しい女性が満たしてくれる。

彼は、彼らが彼の本当の楽しみを発見するまで、本当に楽園のような時間を過ごしていた。 

2本目:

寺山修司監督の『草迷宮』:

この物語に出てくる青年の母親は、彼が幼児の頃、ある歌を歌って眠らせていた。

今、彼は性的に成熟に近づいているため、彼女の歌の歌詞が何だったのかを知る必要性に取り憑かれていた。

3本目:

ワレリアン・ボロウチック監督の『L'Armoire』(ワードローブ):

フォリー・ベルジェールのダンサーが、裕福でうんざりしたパリジャンに身をゆだねる。

だが、彼女は彼の性的快楽に応えるために子供をどこに隠したかを知り、ショックを受ける。

 

 

他の2作品の映像はこんな感じ:

 

 

1."L'ile aux sirenes"(監督:ジュスト・ジャカン)

 

 

2."L'Armoire"(監督:ワレリアン・ボロズウィック):