「遅いしあわせ」
「遅いしあわせ」 予告編
2022年10月21日公開。
イオンシネマ・時代劇専門チャンネル提携。
「冬の日」と同時に公開された藤沢周平原作の作品。
原作:藤沢周平
脚本:中村努
監督:井上昭
キャスト
壇れい(おもん)
柄本祐(栄次、おもん弟)
藤吉久美子(おまち、大和女中・おもん朋輩)
酒井俊也(辰蔵、おもん元亭主)
本田博太郎(仁兵衛、やくざ親分)
加藤雅也(重吉、桶職人)
あらすじ:
小料理屋で働きながら病んだ母を養うおもんには、弟の栄次がいる。
どうしようもないやくざな弟で、嫁入り先の蕎麦屋にまで金の無心に来たために、離縁された過去すらある。
そのため、恋もしあわせも忘れてしまっていた。
そんなおもんに最近、ひそかな楽しみができた。
小料理屋に食べに来る桶職人・重吉が気になりだしていたのである。
だが、弟がまた厄介を持ち込んできた。
賭場の金を三十両も使い込んでしまったのである。
おもんは店にやって来たやくざ達に連れて行かれ、そのかたに売られそうになってしまう。
そんな時、思いもかけないことが起きて…。
コメント:
ヒロインは、小料理屋で働くおもんという女。
檀れいが演じている。
苦労続きで、幸せなど望むべきも無い、真っ暗な毎日を送っている。
この女優がこんなに江戸の下町女にぴったりとは意外だが、実に良い。
おもんの厄介の種は、やくざな弟、栄次。
借金を作っては、姉のおもんに金を借りに来る。
何度借りても返すどころか、また借りに来ていた。
そのために、おもんは嫁入り先の蕎麦屋からも追い出されて・・・
いや、迷惑をかけまいと飛び出して、離婚してしまったのだ。
ある雨の日、桶職人の重吉の店の前で雨宿り。
重吉はおもんの働くお店のお客で、おもんがこっそり想いを寄せている。
加藤雅也がこの寡黙な職人を演じているのだが、ただの職人ではなかった。
その後、またまた弟が賭場のカネを使いこみ、ついに借金のかたにおもんが女郎に売られることになる。
そこへ、さっそうと現れた重吉。
「借金は自分が返す」と。
重吉はただの職人だから無理だろうと、借金取りはせせら笑うのだが、重吉は、もろはだを脱ぐ。
背中は傷だらけで、そして島送りの入れ墨が腕に。
どうやら、重吉の過去はなかなかのものだと分かる。
そして、重吉はやくざの親分と会って、おもんを取り戻すことに成功するのだ。
きっちり重吉が啖呵を切るシーンがカッコいい。
おもんは無事助け出された。
だが、それだけでなく、なんとこれからおもんと所帯を持つつもりのようだ。
おもんが、ようやくしあわせになれる日がきたのだ。
遅いしあわせだが。
どうしようもない弟を、柄本佑が熱演している。
この存在感がはんぱない。
やはりこの役者は素晴らしい。
もっとワルな姿を時代劇で観たいという声が多い。
藤沢周平原作のこの映画は、時代劇専門チャンネルが制作しネット配信している。