「大帝の剣」
2007年4月7日公開。
夢枕獏による長編SF伝奇小説の映画化。
興行収入:3.0億円。
原作:夢枕獏「大帝の剣」
脚本:天沢彰
監督:堤幸彦
キャスト:
- 万源九郎:阿部寛
- 舞・蘭:長谷川京子
- 佐助:宮藤官九郎
- 権三:遠藤憲一
- 牡丹(天草四郎):黒木メイサ
- 手妻の籐次:大倉孝二
- 黒虫:六平直政
- 姫夜叉:杉本彩
- 破顔坊:竹内力
- 藤井寺房之進:谷口高史
- 前田利常:徳井優
- 村人:諏訪太朗
- 霧の才蔵:本田博太郎
- おやかた様(真田幸村):津川雅彦
- ナレーター:江守徹
あらすじ:
徳川幕府が生まれて数十年後。
万源九郎(阿部寛)は、オリハルコンという謎の地球外金属で作られた「三種の神器」のひとつ「大帝の剣」を持っていた。
三つの神器全てを手にした者には世界を征するほどの強大な力が手に入ると言い伝えられている。
源九郎はその残りの神器を求めて旅をしていたのだった。
その道中、豊臣の血を引くが故に幕府から命を狙われている姫・舞(長谷川京子)に出会う。
襲われた舞を救った成り行きで源九郎は、舞と彼女を守る忍者・佐助(宮藤官九郎)と共に旅を続けることになった。
道中で不可解な言動を見せ始める舞。
何と舞の体内にはオリハルコンを求めて地球にやってきた宇宙人・ランが寄生していたのだ。
その様子を密かに伺う謎の美剣士・牡丹(黒木メイサ)もまたオリハルコンを求めていた。
「三種の神器」と舞を狙う徳川の妖怪忍者集団・土蜘蛛衆が現れ、一同の行く手を阻もうとする。
更には宇宙人ランを狙って宿敵ダクシャが来襲し、土蜘蛛衆のリーダー・破顔坊(竹内力)に寄生してしまう。
やがて舞が土蜘蛛衆に誘拐されてしまった。
その先が「三種の神器」のひとつが埋められていると言われ、徳川がそれを探している鬼が島だった。
島に渡った源九郎と佐助は舞を助けようと激しい戦いを挑んでいく。
そこにはもうひとつの神器もあり、源九郎の大帝の剣がそこに加わることで「三種の神器」が勢揃いしたことになる。
やがて破顔坊に殺されてしまう源九郎。
破顔坊は「三種の神器」を手に入れ得意満面だ。
しかし、舞が愛しい源九郎の遺体に涙をこぼすと源九郎が蘇った。
一方で実は天草四郎時貞だった牡丹と佐助が協力し、破顔坊から神器を奪うことに成功した。
源九郎、佐助、舞がそれぞれ神器を持ち、出来た三角形の中に破顔坊を封じ込めると恐ろしい力が生まれ、破顔坊は破滅してしまう。
こうして生き残った三人は異国の地へと旅立つのだった。
コメント:
原作は、夢枕獏による長編SF伝奇小説。
1985年、雑誌『野性時代』にて連載開始。
「飛騨大乱編」まで書かれたところで『野性時代』が休刊となり、長らく中断していた。
2005年、映画化の企画が持ち上がったことも契機となり、『週刊ファミ通』にて「天魔望郷編」の連載が開始。
「幻魔落涙編」「聖魔地獄編」を経て、2011年に完結。
堤幸彦監督の面白さは、その経歴による。
テレビディレクター、CM監督などを踏まえて映画の世界に入ったが、何といっても、テレビの『トリック』はこの人の代表作だ。
ここでも阿倍寛とタッグを組んでいたが、あのシリーズの面白さは、そのギャグのうまさと、ポイントを押さえたまじめさである。
この監督にかかるとキャラクターがそれぞれ生きてくる。
やはりテレビで育った人の特徴だが、出演者を乗せるのが実にうまい。
(天草四郎:黒木メイサ) (破顔坊:竹内力)
阿倍寛もクレバーな俳優なので、堤監督の意思を十分理解し、笑わせるところと見せるところを見極めて熱演しているのだ。
夢枕獏が持つグロの部分をわかりやすく表現していてよかった。
これほどのCGを使い、突拍子もないストーリーを良く映像化できたものだ。
(右端:堤幸彦監督)
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