「凶銃ルガーP08」
1994年1月29日公開。
一介のサラリーマンが殺人鬼と化していく姿を描くアクション。
阿部寛の磨き上げられたムキムキの体。
受賞歴:
1994年「日本映画プロフェッショナル大賞」特別賞(阿部寛)
第16回ヨコハマ映画祭新人監督賞(渡邊武)
原作:大藪晴彦「凶銃ルガーP08」
脚本:伊藤秀裕
監督:渡邊武
キャスト:
- 土井士郎:阿部寛
- 軍服のホームレス:大杉漣
- ルル:中島宏海
- 土井柚未:三浦綺音
- 女性キャスター:高島礼子
- 村上刑事:須藤正裕
- おさだ刑事:井田州彦
- 相川部長:六平直政
- 同僚のミサト:鈴木真帆
- カッターナイフのヤクザ・たざわ:星野雄史
- カッターナイフのヤクザの情婦:石原道恵
- ヤクザのボス:軍司眞人
あらすじ:
ある裁判所で、書記官が突然被告や裁判官を次々と撃ち殺した後自殺するという事件が起こった。
彼の手にあったのはルガーP08。
かつてナチスが使用したその凶銃は、今まで幾人もの手を経てきた呪われた銃だった。
平凡な毎日を送る商社マンの土井士郎(阿部寛)は、ふとしたことから浮浪者からその銃を手に入れる。
時を同じくして、街角では白タクを装ったレイプ犯罪が横行していた。
妹・柚未の身を案じながらも次第に自分の中に得体の知れない力を感じ初めていた士郎は、暴行現場に偶然遭遇しチンピラを追い払った。
ある日彼は弾を手に入れるため密売屋のルル(中島宏海)と知り合い、互いに引かれ合う。
そんな士郎に、以前の暴行犯・風間が仲間を連れて突然襲いかかってくるが、士郎は彼の部下2人を撃ち殺す。
引き続いて彼は、レイプ犯も射殺した。そんな士郎を、銃を追い続ける刑事の村上や、風間が付け狙う。
風間は柚未を誘拐し士郎をおびきよせた。
殺人鬼と化した士郎は、風間たちのアジトに単身乗り込み次々と彼らを殺し、傷ついた妹を助ける。
だが、最後に彼もルガーP08の手にかかり倒れた。
コメント:
『はいからさんが通る』以降、ろくな映画にでていなかった阿部寛が久方ぶりに主演して小ヒットとなった作品。
原作は大藪春彦のバイオレンス・アクション小説『凶銃ルガーP08』である(エンドロールには徳間書店刊とある)。
しかし、原作にみられる「手に入れた拳銃によって人生を翻弄されるアンチヒーロー」という基本的なプロットと、「いわくつきの拳銃がルガーP08」だということ、「主人公の名前が土井士郎」であること、「ヤクザの理不尽な暴力に対する復讐劇」であること、などというわずかな共通点以外、本作品の物語は全くのオリジナルである。
また、劇中に使用された「コアントロー」や、バーでダンスを踊る場面での「壁に飾られた仮面」などの小道具、阿部寛が演じる土井士郎の服装や挙動(半裸に肩下げガンベルト姿で執拗に身体を鍛える場面)などが、1970年代後半から1980年代中期に製作された松田優作主演のアクション映画と酷似していることから、全編を通して、この作品自体が大藪の映像化作品と、古きよき和製アクション映画との両方へ向けたオマージュともいえる。
この映画のテーマは、拳銃「ルガーP08」:
阿部寛にとって本作は5作目の映画出演であり、役者としてひとつの転機を迎えた作品でもある。
阿部は長い不遇時代を乗り越え、本作にて1994年「日本映画プロフェッショナル大賞」の特別賞を受賞した。
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