黒澤明が選んだ映画 第87作 「冬冬の夏休み」 心温まる台湾の田舎での夏休みを描いた作品! | 人生・嵐も晴れもあり!

人生・嵐も晴れもあり!

人生はドラマ!
映画、音楽、文学、歴史、毎日の暮らしなどさまざまな分野についての情報やコメントをアップしています。

「冬冬の夏休み」 

(トントンのなつやすみ)

 

冬冬(トントン)の夏休み | 内容・スタッフ・キャスト・作品情報 - 映画ナタリー

 

「冬冬の夏休み」  予告編

 

1984年台湾公開。

1990年8月25日日本公開。

祖父の住む田舎での夏休みの出会いと体験を綴った台湾の物語。

 

受賞歴:

第7回ナント三大陸映画祭グランプリ。

第30回アジア太平洋映画祭最優秀監督賞

第38回ロカルノ映画祭スペシャルメンション。

 

原作:朱天文(チュー・ティエンウェン)

脚本:侯孝賢(ホウ・シャオシェン)、朱天文(チュー・ティエンウェン)

監督:侯孝賢(ホウ・シャオシェン)

 

キャスト:

  • 冬冬(トントン):王啓光(ワン・チークァン)
  • 婷婷(ティンティン):李淑楨(リー・ジュジェン)
  • お祖父さん:古軍(グー・ジュン)
  • お祖母さん:梅芳(メイ・ファン)
  • 叔父さん:陳博正(チェン・ボーチョン)
  • 叔父さんの恋人:林秀玲(リン・シウリン)
  • 寒子(ハンズ):楊麗音(ヤン・リーイン)
  • 阿正國:顔正國(イエン・チョンクオ)
  • お母さん:丁乃竺(ティン・ナイチュー)
  • お父さん:楊徳昌(エドワード・ヤン)

 

冬冬の夏休み|学び!とシネマ|まなびと|Webマガジン|日本文教出版

 

あらすじ:

小学校を卒業し終えた冬冬(トントン)は、妹の婷婷(ティンティン)と一緒に入院する母を見舞った後、父が看病に忙しいので、叔父の昌民に連れられ、母方の祖父がいる銅羅に夏休みを過ごしに行く。途中の駅で冬冬と妹は叔父と離れ離れになってしまうが、なんとか銅羅駅に到着する。駅前で叔父を待つ間、冬冬は村の子供・阿正國らと知り合う。叔父とは無事会い、医師である厳格な祖父のいる診療所に辿り着く。

村の子供たちと川に泳ぎに行くが、婷婷は男の子ばかりの仲間には入れてもらえず、怒って近くに脱ぎ捨ててあった彼らの服を川に流してしまう。少年たちは裸で家に帰る羽目になったが、裸のまま飼牛を追った阿正國が行方不明になる。

冬冬らが木登りしていると、風変わりな女、寒子(ハンズ)に出会う。昆虫採集に出掛けた時に昼寝の男を襲う強盗二人組を目撃してしまう。ある日、昌民は恋人の碧雲が妊娠したことで祖父に叱られ、家を飛び出す。男の子たちから仲間はずれにされた婷婷は電車に轢かれそうになったところを寒子に助けられ、彼女を慕うようになる。

寒子は雀捕りの男に孕まされ、村人は彼女が子供を生むことに反対するが、彼女の父親は生ませたがった。ひっそりと結婚した昌民と碧雲の住まいを訪れた冬冬はそこで以前の強盗事件の犯人に会う。通報によって犯人を匿った昌民が警察に捕まる。

祭の日、入院中の母の容態が悪いと知らせが入る。祖父母は母のいる台北に出かけようとするが、そんな時、寒子は婷婷が拾った小鳥を巣に戻そうとして、木から落ち意識を失う。看病に当る祖父。翌日、寒子は意識を取り戻す。母の容態も良くなったとの知らせも入ってくる。祖父は勘当していた昌民を許す。台北から迎えに来た父と一緒に冬冬と婷婷は皆に別れを告げて村を出て行った。

 

人生論的映画評論・続: 冬冬の夏休み('84) ホウ・シャオシェン

 

コメント:

 

台湾の映画。

小学校の卒業式がオープニング。

バックに流れるのは、「仰げば尊し」。

エンディングは小学校唱歌「赤とんぼ」。

日本人受けを狙っての選曲かと勘違いするくらいだ。
これは、日本が台湾を統治していた頃の名残りなのだ。

 

台湾の小学校の卒業式から始まる物語。

夏休みということは、9月新学期なのだ。

卒業式から、母の病室を経て、田舎へ向かう四人。

そして、田舎の古い家に着き、野原に出たところで、この雰囲気もプロットも婷婷の雰囲気も、「となりのトトロ」と同じだ。

祖父の家は古い日本家屋らしい。

物語は、婷婷の男の子の服をみんな川に流してしまうという、突然のぶっ飛んだ行動によって波乱の幕を開ける。

 

冬冬の夏休み」の新着タグ記事一覧|note ――つくる、つながる、とどける。


印象的だったエピソードは、風変わりな女・寒子(ハンズ)に関するもの。

当時日本では優生保護法があり、強制断種が認められていた時代だった。

祖父は厳格な人格者ではあるが、古い考えの人。

それに対する寒子の父の思いが噴出する場面は、強い印象を残す。

台湾の田舎の風景は、日本人には大変親近感の持てる風景で、懐かしさがいっぱいの映画だ。

昔の日本がまだ台湾には残っている。

 

銅鑼~映画のロケ地を訪ねる~冬冬(トントン)の夏休み: 行って良かった!満足の台湾旅行

 

監督をつとめた侯孝賢(ホウ・シャオシェン)は、1980年代台湾映画界の新潮流である台湾ニューシネマ(新電影)を担った代表的な監督の一人とされている。

 

第7回ナント三大陸映画祭グランプリを受賞した作品。

これは、フランス西部の都市・ナントで開催される国際映画祭。

ナントは大西洋に注ぐロワール川湖畔に位置し、人口は約30万人、国内で6番目に多い。

市内は自然に溢れ、芸術や文化遺産が多数存在しており、これまでにEUが主催する“欧州グリーン首都賞”を受賞、“住みやすい都市”としても毎年上位に挙げられている。

 

ナント三大陸映画祭の歴史は1979年に始まる。

1970年代の支流であった“政治的な映画”からの脱却を目的に、アフリカ、ラテンアメリカ、アジアなどの第三世界の作品を中心にプログラムが組まれるようになる。主要部門のオフィシャルセレクションを始め、特別上映や監督特集などで毎年約100作品が上映されている。

日本からは高嶺剛監督の「ウンタマギルー」、是枝裕和監督の「ワンダフルライフ」、富田克也監督の「サウダーヂ」、深田晃司監督の「ほとりの朔子」、想田和弘監督の「精神0」がグランプリを受賞している。

 

ロカルノ映画祭は、スイス南部、イタリア語圏のティチーノ州ロカルノで、1946年から毎年8月に開催されている国際映画製作者連盟 (FIAPF) 公認の映画祭である。

 

この映画は、TSUTAYAでレンタルも購入も可能: