黒澤明が選んだ映画 第83作 「キング・オブ・コメディ」 スコセッシ監督・デニーロ主演! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「キング・オブ・コメディ」 

 

 

「キング・オブ・コメディ」プレビュー

 

1984年5月19日日本公開。

コメディアン志望の青年を描いたブラック・コメディ。

英国アカデミー賞 主演男優賞 ノミネート。

興行収入: $2,536,242。

 

 

 

脚本:ポール・D・ジマーマン

監督:マーティン・スコセッシ

 

キャスト:

  • ルパート・パプキン:ロバート・デ・ニーロ
  • ジェリー・ラングフォード:ジェリー・ルイス
  • リタ・キーン:ダイアン・アボット
  • マーシャ:サンドラ・バーンハード
  • キャシー・ロング:シェリー・ハック
  • トニー・ランドール:トニー・ランドール
  • エド・ハーリヒー:エド・ハーリヒー
  • バート・トーマス:フレデリック・デ・コルドヴァ
  • 受付係:マーゴ・ウィンクラー
  • ジョノ:キム・チャン
  • 番組ディレクター:マーティン・スコセッシ

 

 

あらすじ:

TVのトーク・ショーの人気者ジェリー・ラングフォード(ジェリー・ルイス)が、収録を終えて劇場の楽屋口から出てくると、外はファンでいっぱい。

ジェリーに熱狂的なファンの1人、マーシャ(サンドラ・バーンハート)が抱きつき、ぶ厚い唇を押しつける。

彼女をふりほどいてリムジンに乗り込んだジェリーの後から、ルパート・パプキン(ロバート・デ・ニーロ)も一緒に乗り込む。

ルパートは自己紹介し「自分もジェリーのようなコメディアンになりたい」と話しかける。

内心うんざりしながら、ジェリーはオフィスに電話してくれと言う。

そんなジェリーの心情をまるで察しないルパートは、家へもどると、人気コメディアンになった自分を夢想する。

とあるバーで、黒人の女バーテンダーのリタ(ダイアン・アボット)に話しかけるルパート。

彼女は高校の同級生で、ルパートにとって憧れの存在だった。

レストランに誘い、週末に友人ジェリーの別荘に行こうと言う。

翌日、ルパートはジェリーのオフィスに電話するが、会議中ということで取り次いでもらえない。

直接、オフィスに行き受付係と交渉し、やっと秘書のキャシー(シェリー・ハック)に会うことができた。

キャシーに「漫談のテープを聞かせてもらえたら」と言われ、喜んで出てきたルパートにマーシャが喰ってかかる。

しかし、ルパートは逃げるように歩き去る。

ジェリーはデモ・テープを作って、キャシーに手渡す。

翌日、キャシーからパンチが足りないと言われて、ルパートは反論、直接ジェリーに会おうとしてオフィスに入り込み、つまみ出される。

週末、ルパートはリタをつれてジェリーの別荘へ行き、彼から「連絡してくれと言ったのは、追い払いたかったからだ」と聞き、耳を疑うルパート。

ついに彼はマーシャと共同で、ジェリーを白昼、道路上から誘拐。

オフィスに電話して、ジェリーの安全のためにルパートを今夜のTVに出せと脅迫する。

TV局ではFBI、ジェリーの弁護士、局長らが会議を開くが名案はない。

そのうちにルパートが現われた。

代わりの司会者トニー・ランドール(本人)が、ルパート・パプキンを紹介し、ルパートは15分ほど漫談をしゃべった。

終わるとFBIの捜査員とともにジェリーを隠しているマーシャの家へ行く。

途中で、リタのいるバーに入り、そこのTVで自分の晴れ姿を見る。

その頃、ジェリーはやっと自由になり、TV局へ急ぐ。

ルパートは懲役6年を求刑された。

服役中にルパートが執筆した回想録『一夜だけの王様』は、ベストセラーになる。

2年9カ月後に釈放されたルパートはTVに出演。

ついに、彼は本物の喜劇の王様になったのであった。

 

 

コメント:

 

デニーロが演じるコメディアン志望の青年は、変質者である。

だが、だれもが彼の人間味溢れる行動につい魅力を感じて引き込まれてしまう。

これほど堂々と迫ってこられるときっぱりと拒否できるかどうか。

度を超して自分中心に物事を思考する人間の怖さが十分に伝わる。

ブラックコメディであり、一種のホラーでもある異色作だ。

 

コメディアン志望で、有名コメディアンのファンで、彼が好きすぎるあまり、妄想が始まる。

だが、しだいに妄想と現実の境目が分からなくなる。

そして、そのコメディアンを拉致して番組を占拠するというあり得ない展開に。
当然、捕まるのだが、出所後、成功した、という終わりになっている。

だが、笑い声の入り方からいって、それも妄想かもしれないと思わせる不思議さが残る作品。


オスカーを受賞した「ジョーカー」においては、殺される人気コメディアンがデニーロになっている。

この流れが面白い。
「ジョーカー」と違い、人が死んでないから、ホンワカしているが、ジワジワとくる狂気が確かにある。
この映画も間違いなく名作である。

 

コメディアン志望の青年であるルパート・パプキンを演じるにあたり、デニーロは数か月間に渡ってスタンダップコメディアンたちのステージを鑑賞し続け、パフォーマンスにおける間やタイミングを研究したという。

やはりとことん役作りにこだわるデニーロならではである。

デニーロは、本作品で英国アカデミー賞主演男優賞にノミネートされている。

 

 

やはり、デニーロとスコセッシ監督の相性の良さが最大のヒットの要因。

この作品は、デニーロが以前から温めていた本作の企画を再び持ち出し、スコセッシに映画化を誘ったという。

スコセッシ自身も、番組ディレクター役で登場している。

 

この映画は、TSUTAYAでレンタルも購入も可能。