「男はつらいよ 寅次郎の休日」
![第43作 男はつらいよ 寅次郎の休日|松竹映画『男はつらいよ』公式サイト](https://www.cinemaclassics.jp/tora-san/resources/img/files/sp_poster43.jpg)
1990年12月22日公開。
シリーズ第43作。
配給収入:14億1000万円。
脚本:山田洋次、朝間義隆
監督:山田洋次
キャスト:
- 車寅次郎:渥美清
- 諏訪さくら:倍賞千恵子
- 礼子:夏木マリ
- 諏訪満男:吉岡秀隆
- 車竜造(おいちゃん):下條正巳
- 車つね(おばちゃん):三崎千恵子
- 諏訪博:前田吟
- 桂梅太郎(社長):太宰久雄
- 源公:佐藤蛾次郎
- 御前様:笠智衆
- 内藤:笹野高史
- 茶屋の主人:小島三児
- 茶屋のおかみ:田中世津子
- 釣り人:人見明
- ポンシュウ:関敬六
- 満男の友人 吉田(よっちん):古本新之輔
- 及川一男:寺尾聰
- 本陣の女中:田中利花
- 三平:北山雅康
- ゆかり:マキノ佐代子
- 葛西:笠井一彦
- 井上ゆかり(ホステス):川井みどり
- 備後屋:露木幸次
- 幸枝:宮崎美子
- 及川泉:
![第43作 男はつらいよ 寅次郎の休日|松竹映画『男はつらいよ』公式サイト](https://www.cinemaclassics.jp/tora-san/resources/img/files/pc_scene43.jpg)
あらすじ:
ついに大学に入った満男(吉岡秀隆)はパッとしない毎日を過ごしていたが、そんなある日、名古屋に住む一年前の初恋の相手・泉(後藤久美子)がやって来る。
泉は両親の別居という不自然な生活に耐えられず、愛人と同居しているという父・一男(寺尾聰)を説得しに来たのだった。
そんな泉の切実な思いに動かされたさくら(倍賞千恵子)たちは泉を父親探しの旅に送り出すが、東京駅まで見送った満男も一緒に九州まで行ってしまう。
そんな満男の家出にオロオロしてしまうさくらに旅から帰って来た寅次郎は「いつまでも子供扱いするから一人前になれないんだ」と説教する。
だが、泉の母・礼子がくるまやに現れたことによって寅次郎は「高校生とはいっても子供同然です。すぐ探しに行きましょう」と、引き留めるさくらたちを振り切って礼子(夏木マリ)と二人出て行ってしまう。
その頃、一男を探し当てて相手の女性・幸枝(宮崎美子)に会った泉は、静かで慎ましい彼女を見て一男はもう二度と戻ってこないと確信し、満男は淋しそうな泉を慰めるのだった。
一方、二人を追って駆けつけた寅次郎と礼子はその夜、四人で宿に泊まって家族のような楽しい一時を過ごすが、翌朝礼子と泉は置き手紙を残して去ってしまうのだった。
そして年が明け、またいつもの生活に戻った満男の前に泉が再び姿を見せるのだった。
コメント:
前回の「ぼくの叔父さん」に続いて、ゴクミが登場している。
甥の満男(吉岡秀隆)に移って主役が移ってきているからなのだ。
寅さんが、それでも泉の母(夏木マリ)に一目惚れのようについていく姿を見ると、まだ燃え尽きていない現役魂を感じないわけでもない。
訪ねてきた泉(後藤久美子)を自宅の二階に泊まらせたのはいいが、若い二人が何をしでかすかと気をもむ父の博(前田吟)の姿はいささか古風にすぎるくらい滑稽だ。
ここからはしばらく満男と泉の二人で、別居中の父親探しの展開となる。
特に東京駅でのシーンが印象的でそこに被さる徳永英明の歌声が恋愛劇の定番シーンをあおる。
監督は新幹線に思わず飛び乗った満男と泉二人の無言の表情と車窓の外を飛び去っていく景色を交互に切り替える。
その静と動の対照に不安と期待がないまぜになった二人の気持ちが感得される。
やはり山田洋次はうまいと思う。
九州の日田を訪れた二人が父と再会し祇園祭を見に出かけるシーンも印象的。
祭りの喧騒の中、父(寺尾聰)と幸枝(宮崎美子)の仲睦まじさを横目に見て、急に心変わりする泉。
![寅次郎の休日 - Twitter Search / Twitter](https://pbs.twimg.com/media/Es-vMasVcAInD_d.jpg)
父と娘、二人の交わす会話はその喧騒にかき消され通じない。
音に対して敏感な監督らしい情感の高め方だと思う。
大分に行ってみると、寺尾聰演じるゴトクミちゃんの父は宮崎美子と一緒に暮らしていた。
ゴトクミの母親はスナックのホステスである夏木マリだ。
つまり、寺尾は夏木マリを捨てて宮崎美子を選んだというワケだ。
ゴトクミの母親はスナックのホステスである夏木マリだ。
つまり、寺尾は夏木マリを捨てて宮崎美子を選んだというワケだ。
夜のネオン街が似合うオトナの水商売の女、夏木マリ。
一方、ミノルタ宮崎はいかにも家庭的でホンワカ、おっとりしたムードが漂う、洗剤のCMが似合いそうな女。
極端に対照的な2人の女なのだ。
寅さんは、得意のアリアを二回ほど見せ気を吐いているけどどこか弱々しい。
本作あたりから衰えが目立ってきていたという話を知ると、なおさらその懸命な演技が痛々しい。
この映画は、TSUTAYAでレンタルも購入も可能: