「騙し絵の牙」
2021年3月26日公開。
出版界での騙し合いを描いたビジネス・サスペンス。
興行収入:6億6700万円。
キャッチコピー:登場人物全員ウソをついている!
受賞歴:
- 第45回 日本アカデミー賞
- 優秀主演女優賞(松岡茉優)
- 新人俳優賞(宮沢氷魚)
原作:塩田武士『騙し絵の牙』
脚本:楠野一郎、吉田大八
監督:吉田大八
キャスト:
- 速水輝:大泉洋
- 高野恵:松岡茉優
- 矢代聖:宮沢氷魚
- 城島咲:池田エライザ
- 郡司一:斎藤工
- 伊庭惟高:中村倫也
- 柴崎真二:坪倉由幸
- 三村洋一:和田聰宏
- 中西清美:石橋けい
- 伊庭綾子:赤間麻里子
- 宮藤和生:佐野史郎
- 謎の男:リリー・フランキー
- 高野民生:塚本晋也
- 二階堂大作:國村隼
- 江波百合子:木村佳乃
- 久谷ありさ:小林聡美
- 東松龍司:佐藤浩市
あらすじ:
出版不況の煽りを食う大手出版社・薫風社創業一族の社長が急逝し、次期社長を巡り権力争いが勃発した。
そんな中、専務・東松(佐藤浩市)が大改革を推し進め、雑誌が次々に廃刊の危機を迎える。
会社のお荷物となっている雑誌『トリニティ』の変わり者編集長・速水(大泉洋)も無理難題を吹っ掛けられピンチに。
一見頼りないながらも笑顔の裏にとんでもない牙を秘める速水は、曲者揃いの上層部・作家・同僚らの陰謀が渦巻く中、新人編集者・高野(松岡茉優)を巻き込み、起死回生の奇策を講じる。
コメント:
小説家・塩田武士が大泉洋をイメージしあてがきしたミステリーを、大泉洋主演で映画化。
廃刊の危機に遭いながらも、抜群のコミュニケーション能力を発揮して様々な困難と立ち向かっていく編集長の姿を描く。
これはビジネス映画である。
出版社の経営のために、古い絆を捨てのし上がろうとしている新社長(佐藤浩市)と、カルチャー雑誌の編集長とのだまし合いを描く。
舞台は、売り上げの伸びない雑誌を注目させるための数々の取り組みが、既存の編集者達には煙たく映る編集長速水(大泉洋)の編集部と、旧態依然の歴史ある文芸誌から移ってきた高野(松岡茉優)の編集者としての目を通して色々なエピソードが盛り込まれていく。
一方、新社長となった東松も不採算部門は斬り捨て、新しい都市開発に乗り出そうとしている。
ライバルを追い落とし、これからというときに現れたのが、先代社長の長男。
そして彼の企みが表に出てくる。
大泉洋のひょうひょうとした味がぴったり。
その裏にこんな悪どい顔が隠れていようとは、露ほども見せない。
原作者が当てがきしたという大泉洋はやはりハマり役。
この人は、2022年NHK大河でも主役級の頼朝を演じていて、今や絶好調だ。
若手編集者の松岡美憂が素晴らしい。
この人は、テレビドラマよりも映画でもっとぶっ飛んだ姿を見せてほしい。
若手女優の中で最も可能性を感じさせる。
人気上昇中の池田エライザも出演している。
この子は、やっぱり可愛い。
その他、佐藤浩一、佐野史郎、國村隼、木村佳乃など大どころも多数出演していて、安定感がある。
展開も思ったよりスピーディー。
同じく出版界を描いた映画「舟を編む」ののんびりした世界とは全くテイストが異なる。
ラストも原作とはひと味違う形にしていて、面白い。
観る人を騙そうという仕掛けはそれほど面白くないので、この映画全体を酷評している人もいるようだが、まあ出版界の未来を考えさせる社会派映画的には十分及第点をあげても良いレベルだ。
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