「天使に見捨てられた夜」
1999年7月10日公開。
ミステリー作家・桐野夏生の映画化第1作。
失踪したAV女優の行方を探す女探偵の心象を描いたミステリー・ロマン。
原作者:桐野夏生「天使に見捨てられた夜」
脚本:小川智子
監督:廣木隆一
出演者:
かたせ梨乃 、 永澤俊矢 、 大杉漣 、 嶋田博子 、 西山水木 、 田口トモロヲ 、 真行寺君枝 、 パンタ
あらすじ:
38歳、夫と死別して今は独身の村野ミロ(かたせ梨乃)は、引退した父の跡を継ぎ新宿二丁目で探偵事務所を開いている孤独な女探偵だ。
ある日、女性の人権を守る運動をしている友人・渡辺(西山水木)からの依頼で、失踪中のAV女優・一色リナ(嶋田博子)の行方を探すことになったが、早速調査を開始するも、姿なき脅迫者からリナ探しを止めるように脅されてしまう。
そんな彼女の心の支えになってくれたのは、隣人で二丁目のバー「ナイトフライ」を経営する友部(大杉漣)であった。
彼もまた、自分の性癖故に妻と別れ孤独な日々を送っていた。
お互いの過去に同じ匂いを感じたふたりは急速に惹かれ合っていくが、決して結ばれることはなかった。
さて、リナの行方を追ってビデオ製作会社をあたったミロは、そこでAV監督の矢代(永澤俊矢)に出会う。
リナの行方を尋ねるミロに非協力的な矢代。
ミロは彼の態度に嫌悪するが、その一方で彼とのセックスに溺れていってしまう。
そんな折、渡辺が何者かに殺害された。
調査を進めるミロは、リナがあるゼネコン社長の夫人・八田牧子(真行寺君枝)と先頃殺害された伝説のロッカー・トミー(パンタ)との間に生まれた子供であったことを突き止める。
そして、それをネタに渡辺が牧子を強請っていたことも。
リナの出生の秘密を知る渡辺とトミーは、牧子によって殺害されたのだ。
矢代に匿われていたリナが発見され、牧子が自首したことで事件は解決した。
しかし、どこか心の晴れないミロ。
いつしか、彼女は友部と寄り添うように暮らし始める。
コメント:
ミステリー小説界の女性旗手である桐野夏生の同名小説を映画化。
この小説は、のちに、大ヒットした衝撃の「OUT」に繋がっているのだ。
「OUT」も3年後に映画化されている。
原作に惚れ込んだかたせ梨乃が、自ら映画化を企画したという作品である。
東京の名所・新宿二丁目の路上のドキュメント、新宿の記録として素晴らしい。
前髪重めのロングヘアでたっぷりしたパンツスーツにスニーカーのかたせ梨乃は最高。
やはりこの人は存在感が違う。
インダストリアル活かしーのインテリアな御苑ビル。
そこの隣人を演じている大杉漣もカッコイイ。
かたせのミロ役と、大杉漣扮する友部も、なかなか合っていて、いい感じだ。
伝説のロッカー・トミー(PANTA)を高校時代から追っかけてた真行寺君枝もやがて富豪のマダムになるが。
この真犯人役の真行寺君枝がほとんど出番がないのは、実にもったいない。
コンビニ店員に扮する加藤晴彦。
裏ビデオ屋で事情通の男にムラジュンこと村上淳。
ダサいカッコさせてもカッコ良さもお洒落さも全然隠せてない。
出演者がこれだけキャラ立ちしていると、みていてうれしくなる。
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