「少年メリケンサック」
2009年2月14日公開。
クドカンの脚本・監督作品。
興行収入:10.2億円。
監督・脚本:宮藤官九郎
キャスト:
- 栗田かんな - 宮崎あおい
- 物語の主役。メープルレコードの社員。レコード会社の新人発掘担当として働いている。25歳。
- 作並秋夫 - 佐藤浩市
- 春夫の兄で少年メリケンサックのリーダーでベース担当。黒髪と髪が立っているのが特徴。宮城県出身。
- 作並春夫 - 木村祐一
- 秋夫の弟で少年メリケンサックのギター担当。短髪と首に手拭いを巻いているのが特徴。48歳で秋夫とは2歳も離れている。宮城県出身。
- 清水(ジミー) - 田口トモロヲ
- 少年メリケンサックのヴォーカル担当。短髪と金髪が特徴。
- 岡本(ヤング) - 三宅弘城
- 少年メリケンサックのドラム担当。モヒカンと白と赤のメイクが特徴。
- スガマサル - 勝地涼
- かんなと同棲している恋人でシンガーソングライター。
- 時田英世 - ユースケ・サンタマリア
- メープルレコードの社長。過激な性格でかんなを強制的に少年メリケンサックのメンバーに会いに行けと命じる。
- 金子欣二 - ピエール瀧
- 元少年アラモードのマネージャー。サングラスをかけていて、犬を抱えている。
- TELYA - 田辺誠一
- ゴージャスなファッションを身に付けている男。メイプルレコードの社員達にはTELYA様と呼ばれている。
- かんなの父 - 哀川翔
- 美保 - 烏丸せつこ
- 25年前ロケットビートが仙台でライブ終えた後に春夫の前に現れぬいぐるみをプレゼントした。
- TV局の司会者 - 中村敦夫
- 若き日のジミー - 峯田和伸(銀杏BOYZ)
- 若き日の秋夫、秋夫の息子 - 佐藤智仁(現・佐藤祐基)
- 若き日の春夫 - 波岡一喜
- 若き日のヤング - 石田法嗣
- 若き日の美保 - 水崎綾女
- 作並巖 - 犬塚弘
- 秋夫と春夫の父。
- 作並トキ - 小林トシ江
- 巖の妻であり、秋夫と春夫の母。秋夫が実家に帰った際、仏壇に遺影があり、すでに他界している。
- 立ち飲み屋の大将 - 遠藤ミチロウ(元ザ・スターリン)
- 生花店の店員 - 日影晃 (THE STAR CLUB)
- ガサ入れの警官 - 仲野茂(元アナーキー)・井澤崇行
- 警官 - 浜野謙太 (SAKEROCK)・インディ高橋
- 居酒屋「江戸っ子」の店員 - 細川徹
- ローディ - UG(ギターウルフ)
- 名古屋のライヴハウスのローディ。
- 少年アラモード - チン中村・村井守・安孫子真哉(銀杏BOYZ)
- ジミーと春夫が当時活動したアイドルグループ。メンバーを乗組員と呼んでおり、ジミー、ハル君、ポテト、チーズ、村井の5人組。
- GOA - 星野源・田中馨・伊藤大地 (SAKEROCK)
- 大阪のライヴの時に少年メリケンサックと対バンしたロックバンド。
- ヤングの不良仲間たち - キワメミチ JUNZØ・昭和過激・ラン坊・なめんなよーかい(JAPAN-狂撃-SPECIAL)
- 清水サチ子 - 広岡由里子
- ジミーの妻。若りし頃は少年メリケンサックのファンだった。ジミーをスタジオへ送った時は車イスを押していた。
- 巌の介護士 - 池津祥子
- 巖の付き添いの看護婦。
- ユキ - 児玉絹世
- メープルレコード社員タムラ - 永岡卓也
- 舞台監督 - 田中聡元
- ファミレスウェイトレス - 森本ゆうこ
- GOAファンクラブのスタッフ - 飛鳥井みや・近藤未来
- DJ - 佐藤一博 (MARQUEE / urasuji)
- 証言者 - 平間至・箭内道彦
あらすじ:
レコード会社に勤める契約社員のかんな(宮崎あおい)は、動画サイトでパンクバンド「少年メリケンサック」を発見して、社長の時田(ユースケ・サンタマリア)に報告する。
元パンクバンド出身の時田は大乗り気になって、彼らと契約を結ぶことをかんなに命じた。
そうして、かんなが訊ねた高円寺の居酒屋にいたのは、やさぐれた中年のアキオ(佐藤浩市)だった。
動画サイトにアップされていた映像は、彼らの25年前のライブだったのだ。
バンドを再結成して欲しいというかんなの要請にオッケーしたアキオは、その代わりオリジナルメンバーの全員を集めよと命じる。
実は、アキオと、彼の実弟であるハルオ(木村祐一)の間には、修復不可能なくらいの溝が深まっていたのだ。
それでも、なんとかハルオを説得し、ジミー(田口トモロヲ)やヤング(三宅弘城)といったオリジナルメンバーが集まって、練習を開始する。
時田が流した「少年メリケンサック」の映像は10万ヒットという爆発的なヒットを記録して、地方のライブハウスでのツアーも次々にブッキングされていった。
ワゴンでツアーを続けるかんなは、メンバーたちの傍若無人な振る舞いにつくづく嫌気がさしていく。
ささくれた彼女の心を癒してくれるのは、恋人である売れないミュージシャンのマコト(勝池涼)だけだった。
そんなマコトも、かんなのいない間にアルバイト先の女の子と浮気していたことが発覚して、かんなの怒りは爆発する。
同じ頃、アキオとハルオもステージ上でケンカして、ツアーのファイナル前にお互いの腕を折るという最悪の結果になった。
テレビ出演も果たし、「少年メリケンサック」への注目度が最高潮になった最後の東京ライブ、仲直りしたアキオとハルオが二人でギターを演奏するという異例のステージになった。
ベースは、頭をモヒカンにしたマコトが担当した。
新生「少年メリケンサック」、復活か?そして、ボーカルのジミーは再び気を失った。
コメント:
宮崎あおいがヒロインとして大活躍する。
25年ぶりに再結成したパンクバンド「少年メリケンサック」と、そのマネージャーとして振り回される宮崎あおいの行動を追ったナンセンス・コメディ。
宮藤官九郎のオリジナル脚本。
パンクは正直訳分からないで全然乗れないのだが、この映画にはすっかり乗ってしまった。
やはり何と言っても宮崎あおいの、ぶっ壊れた演技が素晴らしい。
彼女の泣く、笑う、怒鳴る、喚く、虐げられる、キレる、逃げる、走る、甘える…。
この変幻自在のコメディエンヌぶりに、役者魂を感じた。
次から次へと変化を見せる感情の起伏の激しいかんな役は、観終わった後ではもう宮崎あおいしか考えられないような、はまり役でもあった。
佐藤浩市のアキオに散々罵られ、卑猥な言葉を投げかけられ、挙句の果てには蹴飛ばされる。
木村祐一のハルオからは、牛の糞攻撃だ。
篤姫で大人気のこの女優に、よくここまでやらせたものだ。
並の女優ならば可哀そうが先に立ち、いじめのようで見ていられなくなる。
しかし、宮崎あおいが佐藤浩市の蹴りを受けて泣きだしても、決して湿っぽくは映らないのだ。
その辺のコメディとししての受け流し方が実に巧い。
彼女が罵倒されても、汚い言葉を受けても、彼女のとるポーズや、泣き方、セリフの言い回しなどがすっかりコメディを心得ていて、うまく流してしまう。
だから悲惨にならずに笑いをとれる。カラッとしているのだ。
やはり宮崎あおいという人は、名優である。
かんなの付き合っている年下の彼氏マサル(勝地涼)の歌う甘い曲、アキオの言うところの無色の味がない歌よりも、毒気たっぷりのメリケンサックのサウンドに惹かれていくかんな。
いや、サウンドというよりも、汚くてだらし無くて臭い中年男たちに対して、自分が面倒みてあげなければ、という母性が働いたのかもしれない。
実際、かんな無しでは満足にライブハウスまで辿り着くことも出来ないぐうたらどもだ。
そんなメリケンサックの連中も泣きながら、それでもライブを成功させたいと願ってくれる娘の年齢のかんなの心意気を感じ、次第に目が覚めてきたのだろう。
一度夢を諦めていた中年男たちが、もう一度挑戦するその姿は決して美しいとは言い難いが、似たような年齢の中年達にも勇気を与えてくれただろう。
「メリケンサック」とは、指にはめて拳の破壊力を上げる金属製の武器の俗称だ。
ヤクザとか、やんちゃな若者同士が喧嘩に使う武器のひとつでもある。
ちなみにこの種の武装の正式カテゴリ呼称は「ナックルダスター」というようだ。
こういうコメディに出演している佐藤浩市。
おっさんになってもパンクロックにハマっている、ぶっ飛んだ姿が最高に良い!
星野源が、当時インストゥルメンタルバンドSAKEROCKとして、少年メリケンサックと対バンしたロックバンド「GOA」を演じている。
あれからどんどん出世して、今のようなメジャータレントになり、ガッキーと結婚するとは。
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