「裸の太陽」
1958年10月1日公開。
機関車のカマ焚きの青年が主人公の物語。
第9回ベルリン国際映画祭コンペティション部門で上映。
原作 - 氷室和敏
脚本 - 新藤兼人
監督 - 家城巳代治
キャスト:
- 江原真二郎 - 木村雄二
- 仲代達矢 - 前田次郎
- 丘さとみ - 森田ゆき子
- 中原ひとみ - 妹きみ子
- 高原駿雄 - 崎山建造
- 星美智子 - 妻房江
- 山形勲 - 運転助役
- 岩崎加根子 - 河合富子
- 冨田浩太郎 - 夫忠夫
- 東野英治郎 - 吉田老人
- 飯田蝶子 - いね
- 高津佳男 - 畑山
- 清村耕次 - 北川
- 高木二朗 - 大中
- 曽根晴美 - 瀬戸
- 岡部正純 - 宮部
- 杉義一 - 尾形
- 岡野耕作 - 峰岡
- 北川恵一 - 戸田
- 石川良昭 -山本
- 田口耕平 - 立花
- 小林寛 - 高田
- 織田政雄 - 指導助役
- 織本順吉 - 木村武市
- 神田隆 - 終点駅の助役
あらすじ:
驀進する機関車--ハンドルを握るのは機関士の崎山(高原駿雄)、助手は木村(江原真二郎)。
崎山は妻の房江(星美智子)の出産が明日なので落着かない。
木村には房江の妹でゆき子(丘さとみ)という恋人がある。
二人は十万円の結婚資金をためている最中。
その木村は、明日は彼女と一緒に海水浴に行くのでウキウキしている。
仕事が終わって木村が乗務員詰所に戻った。
そこでは親友の前田(仲代達矢)が同僚達に囲まれて、不穏な空気が漲っていた。
同僚の金が無くなり、日頃競輪にこっている素行の悪い前田が疑られたのだった。
木村は前田をかばったが、彼は何も弁解しなかった。
喫茶店で木村とゆき子は、海水着を買うために貯金を下すことに決めた。
寮から通帳を取っての帰り、木村は前田に金を貸してくれといわれる。
一度は断ったものの、なにか事情があるのを察し、貯金を全部貸してやる。
ゆき子はせっかくの楽しみが駄目になって怒り出す。
二人で町を歩いている時、ビアホールから出て来る前田をみかける。
木村は金の使いみちを詰問した。
二人は大喧嘩になり、警察に連行されてしまった。
怒りもとけたゆき子は、警察から戻った木村になんとかして海に行こうという。
ところが翌日、木村は警察を出てから行方不明の前田の代わりに勤務を命じられる。
これで海水浴もとうとう駄目になった。
ゆき子は崎山から事情を聞かされ、しぶしぶ姉の手伝いに行く。
浮かぬ気持で寮に帰った木村のところへ、河合富子(岩崎加根子)が前田に貸した金の礼をいいに来た。
昔、前田は富子を愛していた。
富子はそれを知らずに他へ嫁いでしまった。
前田は富子が忘れられなかった。
最近前田が富子に会って、富子の夫が胸を病んで困っていることを知った。
そこで前田は金の工面をしてやったのだ。
木村もゆき子も前田の愛情に感動し、昔の仲良しに戻った。
木村とゆき子は海水浴の代りに、湖に行くことに決めた。
コメント:
昭和30年代の国鉄マンの青春模様。
当時の生活空間、街頭、機関車客車内などもふんだんで見応えがある。
ヒューマニティ溢れる優しさとエネルギーが印象的だ。
もう一人の主役は当然機関車。釜焚きの描写も細かい。
人間描写はありきたりだが当時の若いカップルの暮らしぶりが解る。
こういう素朴なストーリーがなつかしく感じられる、まさに昭和の映画である。
最近は奇をてらった複雑なシナリオでないと観客に受けないと思われているが、実はこんなシンプルなお話が心に沁みるのだ。
映画の原点をもう一度見直したくなる佳作だ。
仲代達矢の、いかにもワルのイメージが効いている。
窃盗の疑いをかけられた男が、実はすごく良い青年だったということが分かって皆が納得するという分かりやすい青春ドラマだ。
丘さとみが、セパレーツの水着を着ている。
昭和33年当時としては、最先端のファッションだろう!
ビキニの直前だ。
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