渡瀬恒彦の映画 「男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎」 中原理恵に追いかけられるやくざを演じる! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎」

 

 

 

男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎

 

 

男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎 弟分・登と再会

 

 

1984年8月4日公開。

マドンナは中原理恵。

男はつらいよシリーズ第33作。

 

 

観客動員:137万9000人

配給収入:11億5000万円

 

 

脚本:山田洋次・朝間義隆

監督:山田洋次

 

出演者:

渥美清、倍賞千恵子、中原理恵、下條正巳、三崎千恵子、前田吟、太宰久雄、佐藤蛾次郎、吉岡秀隆、美保純、加藤武、秋野太作、人見明、谷幹一、関敬六、佐藤B作、渡瀬恒彦

 

 

あらすじ:

 

寅次郎が盛岡で啖呵売していると、かつての舎弟・登(秋野太作)に声を掛けられる。

登は所帯を持ち、食堂を営む堅気になっていた。

若い頃の義理を忘れず、寅次郎を気遣って店を閉めろと妻に言う登を、寅次郎は叱る。

渡世人を続ける自分と縁を切る程度の覚悟がなければ堅気を続けてはいけない、そんな考え方を登に伝えたかったのだ。

 

北海道へ渡った寅次郎は、釧路で風子(中原理恵)というツッパリ娘に出会う。

風子は理容師の免許を持っていたが、トラブルメーカーになりやすく長続きしないのを初対面の人にも見破られてしまうような性格だった。

「フーテン」つながりで意気投合した二人は、風子の伯母のいる根室へと一緒に旅をすることにする。

途中、寅次郎と相部屋になったサラリーマン風の男性・福田(佐藤B作)が蒸発した妻を霧多布に探しに行くのに付き合うが、結局妻は戻らず、終始陰気な福田を慰めつつ、二人は腕を組んで歩くほど親密になる。

 

根室に着いた風子は早速伯母に会って理容師の仕事を見つけてもらうが、その際、生活態度を改めるよう散々説教される。

寅次郎も、心配してくれる人がいるのはありがたいと思えと風子に言う。

寅次郎の啖呵売の商品のオルゴールは「Happy Birthday」の曲であり、ちょうど誕生日を迎えていたが誰も祝ってくれない風子は、感慨にふける。

その風子に、近くの会場でちょうど開催されていたオートバイサーカスの団員・トニー(渡瀬恒彦)が声を掛ける。

トニーは、サーカス団の一員として全国を回る「渡世人」であり、やさぐれた雰囲気を持つ遊び人だった。

風子は、寅次郎の楽しい話にすっかり打ち解けて、寅次郎と一緒に気ままな旅をしたいと言い出す。

寅次郎は、「自分はかつて、後悔しないように生活を改めろと妹のさくらに言われたが、言うことを聞かなかった、ふと気付いてみると周りはみな堅気になり、自分たちのようなバカだけが取り残されてしまった、だから風子にはこの町で一生懸命働いて、真面目で正直な男と所帯を持ってほしい」と、優しく諭す。

 

風子は、自分はまだ若いのだから、いろいろなことを経験してもいいのではないかと納得しない。

そして「案外薄情なんだね、寅さん」と、子ども扱いされたことを怒ってしまう。

翌日、根室を発つ寅次郎に風子は、「寅さんがもう少し若かったら、あたし寅さんと結婚するのに」と言って涙ぐむ。

寅次郎も後に残す風子のことが気に掛かり、何かあったら帝釈天参道のとらやに連絡するように言う。

 

風子は、自分にしつこくつきまとうトニーのことを最初はうっとうしく感じていたが、寅次郎がいなくなった寂しさもあり、少しずつ受け入れるようになっていく。

そして、東京に行くトニーを追いかけて上京する。

寅次郎は風子のことを思い、鬱々とした気分で柴又に帰ってくるが、そこには北海道で知り合った福田がやってきている。

福田は、やつれた雰囲気の風子に東京で借金を頼まれたと言う。

風子の所在が分からず、いても立ってもいられない寅次郎は、新聞広告まで使って風子の行方を捜すほどだったが、そこにトニーがやってくる。

今、自分と同棲しているが、寝込んでしまって寅次郎に会いたがっていると伝えに来たのだ。

想い人が男と同棲している、それも遊び人のトニーのところにいると知って、寅次郎の心中は穏やかではなかったが、トニーの家に風子を迎えに行き、とらやに温かく受け入れる。

身も心もぼろぼろになった風子だったが、とらやの人びとの優しさに触れ、次第に元気になる。柴又の理髪店での就職も世話できるので、とらやの2階に住めばいいとさくらに言われ、風子は寅次郎が言った「堅気になれ」という言葉の意味を理解し始める。

その頃、寅次郎はトニーのもとを訪ね、風子は堅気として幸せになっていける女性だから、どうか手を引いてくれと頭を下げる。

 

しかし、「情熱の問題ですからね。こればかりは理屈じゃ」という博の言葉通り、風子は、トニーが東京を発つと聞いて、会わずにはいられない気持ちになってしまう。

寅次郎に止められた風子は、寅次郎がトニーに自分から手を引けと言ったと聞いて、自分の問題に口を出さないでほしいと言う。

寅次郎たちの言うことが正しいこと、トニーと一緒にいたら不幸せになることが分かっていながら、自分の気持ちをどうすることもできずに、とらやを飛び出していく。

 

盛夏になり、さくらのもとに、風子から手紙が来た。

結局トニーとうまくいかず、北海道の伯母のもとで暮らすうち、以前一緒に働いていた人で、伯母が気に入ってくれた男性と結婚することになったとの文面だった。

その男性は真面目だけが取り柄のような人であるが、寅次郎にもきっと気に入ってもらえるはずと風子は感じていた。

結婚式に呼ばれたさくら一家が北海道に行って目撃したのは、風子の幸せを心から祝福する寅次郎が、ヒグマに追われながら山越えしてくる姿だった。

 

6月8日(土) 第33作「男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎」BSテレ東で放送|松竹映画『男はつらいよ』公式サイト

 

コメント:

 

マドンナは、中原理恵が演じるフーテンの風子。

自由気ままなところは寅と気が合うのだが、歳の差がネックだと出鼻を挫かれる。
渡瀬とマドンナのやりとりが省略され過ぎて関係性がよく見えないが。

最後は北海道でまじめな男と結婚する風子の結婚式に参加するというハッピーエンド。

渡瀬恒彦がお得意のやくざ者を演じている。

中原理恵に惚れられるが、結局は別れる。

女に追いかけられるカッコいい役はやはり渡瀬ならではである。

実にこういう役が似合う役者だ。



あけっぴろげでだらしないキャラづくりの美保純が妙に新鮮。

この女優さんの庶民的なところは実に良い。

父であるタコ社長とも息があって、結婚式のくだりも楽しい。
 

冒頭の、弟分の登の登場シーンが良い。
堅気としてきちんと生きている姿を嬉しく思うと共に、寅さんを始めとする渡世人の世界のことを感じさせる内容だ。
ストーリーは破天荒な部分があるが、堅気と渡世人の恋の行く末を簡潔に描いていて、面白い。

 

さまざまな人たちの人間ドラマを描いている寅さんシリーズ。

山田洋次監督の、登場人物を自分の身内のように扱っている心遣いが心に沁みてくる。

シリーズの夏バージョンでは定番となった、かき氷のショットですら嬉しい。

 

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