渡瀬恒彦の映画 「復活の日」 小松左京のSF小説 深作欣二監督が映画化!  | 人生・嵐も晴れもあり!

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「復活の日 」

 

 

「復活の日」 予告編

 

1980年6月28日公開。

小松左京のSF小説の映画化。

配給収入: 24億円。

 

原作:小松左京「復活の日」

脚本:高田宏治、深作欣二、グレゴリー・ナップ

撮影:木村大作

監督:深作欣二

 

キャスト:

(外国人俳優省略)

南極日本隊

吉住周三:草刈正雄

辰野保男:渡瀬恒彦

中西隊長:夏木勲

山内博士:千葉真一

真沢隆司:森田健作

松尾明正:永島敏行

隊員:角川春樹、高月忠、畑中猛重、五野上力、幸英二

日本本土
      浅見則子:多岐川裕美
      辰野好子:丘みつ子
      土屋教授:緒形拳
      別の助手:小林稔侍
      母親:中原早苗

 

 

あらすじ:

一九八×年冬、東ドイツの陸軍細菌研究所から新種のウイルスMM-88が盗まれた。

この細菌は摂氏マイナス10度で自己増殖をはじめ、零度を越えると猛烈な毒性を発揮する。

MM-88を奪ったスパイは小型飛行機でアルプスを越えようとするが、吹雪の中で墜落、恐るべき細菌が飛散してしまう。

春が来ると、奇妙な事件が頻発。ソ連では羊が集団死、中国ではアヒルの死体が川を漂った。

イタリアでは乳幼児が次々と意識不明になり、医師は「イタリア風邪」と名付けた。

初夏になると南極昭和基地にも全世界に猛威をふるうイタリア風邪のニュースが伝わってきた。

越冬隊員の吉住周三は東京に残してきた恋人、浅見則子の身を案じていた。

その頃、東京では次々と死んでいく人々で路上は溢れ、混乱の極に達していた。

ホワイトハウスでは連日閣議が開かれていた。

そして、バークレイ上院議員はイタリア風邪の原因は、ガーランド将軍が大統領にも内密に開発した細菌兵器M-88であることをつきとめた。

そしてM-88は何者かによって東ドイツに渡ったという。

リチャードソン大統領は南極基地に「一致協力して生きる努力を傾けていただきたい」とのメッセージを残して息絶えた。

夏の終り、南極に残る十一ヵ国八六三人を除いて世界は死滅した。

八人の女性を含む残された人々の生活が始まった。

そこへ、地震学者の吉住が人類滅亡の第二の危機が迫っていることを伝える。

地穀変動調査でアメリカを垂直型地震が襲うことを探知、その衝撃波は、ガーランド将軍が死ぬ前にスイッチを入れた、ホワイトハウス地下にある対ソ連ミサイル攻撃の自動報復システムに作動すると言う。

ミサイルが発射されれば、ソ連の報復システムも作動し、そのうちの一つが南極の米軍基地に降ることになるのだ。

地震が起きる前に誰かが行かなければ。

ホワイトハウスに詳しいカーター少佐は自分がいかねばならないことを知っていた。

そして、吉住もカーターの助手として志願する。

ノルウエーの女性隊員マリトは密かに吉住を慕っていたが、人類の種を絶やさないために、多くの男性との性交渉を義務づけられていた彼女に、吉住を独占する権利はなかった。

吉住が死の旅へ出発する前夜マリトの愛は燃え上がった。

「君が生き続けるために役立てるなら……」力をこめて抱き合う二人を染めて、南極の夜が明けようとしていた。

 

 

コメント:

 

小松左京の本格SFは世界観が大きいので映画化は難しい。「日本沈没」がトップで次に本作。
日本映画だが日本人以外のキャストが多く、群衆劇の体も。日本人キャストに固執しない作劇も潔い。
撮影を木村大作が担当したことにより、南極やマチュピチュでのロケまで実現し、ハリボテではない本物の潜水艦まで使っている。
ストーリーは、人類の滅びよりも、希望に重点がおかれている。
コロナ禍の今、小松の先見性に驚かされる。

 

アメリカの細菌研究所から盗まれた細菌兵器用に造られたウイルスMM-88が世界に広まり、人類を含む脊椎動物が絶滅。

ただし零下では不活性になるため、各国南極隊員とイギリス原潜乗組員だけが助かり、南極米軍基地に全員が集まる。
ところがアメリカ東海岸で地震が発生。無人のアメリカ防衛システムが核攻撃と誤認して核ミサイルを発射。

同じく無人のソ連防衛システムが報復し、その一つが南極米軍基地を攻撃。
 

 

オリビア・ハッセーのほかにチャック・コナーズ、グレン・フォード、ロバート・ボーンの外国人俳優も多数出演し、南極、南北アメリカ大陸ロケを敢行するという豪華版。
 

冒頭での潜水艦から死滅した屍が連なる故国・日本の様子を見て悲しむ吉住の姿。

映画で幼い少年・トビーが無線で助けを求めるシーンも印象に残る。

 

土屋医師を演じる緒形拳の「どんなことにも……終りはあるさ…。ただ……どんな終り方をするかが、問題だ」は、名セリフだ。

土屋医師が見つめた先の金魚鉢の金魚が裏返しに浮んでいるシーンは衝撃的!

 

角川映画「復活の日」撮影で緒形拳(左)と多岐川裕美(撮影:1979年)― スポニチ Sponichi Annex 芸能

 

「仁義なき戦い」に引けを取らない深作欣二の力量も見どころとなっている。

これだけの大作は令和の時代には制作不可能だろう。

 

「ウイルスMM-88」のMMは、Martian Murderer(マーシアン・マーダラー、「火星の殺人者」の意)の頭文字。

88は継代改良した88代目の菌種を意味する。

アメリカの人工衛星が宇宙空間から持ち帰った微生物をもとに、アメリカ陸軍感染症医学研究所で生物兵器として使える可能性が研究されていた。

 

MM-88は増殖・感染する核酸のみの存在で、ブドウ球菌に似た特定の球菌を媒介としてインフルエンザウイルスを含むミクソウイルス群に寄生し、宿主となるウイルスの増殖力・感染力を殺人的に増加することで、大規模な蔓延を引き起こす。

体内に侵入すると神経細胞の染色体に取り付き、変異を起こした神経細胞は神経伝達物質の生成と伝達を阻害され、感染者は急性心筋梗塞のような発作を起こして死亡するか、急性全身マヒに陥って死亡する。

 

こんな細菌兵器が実際に今後地球のどこかで創られる恐れはあるのだろうか。

現在世界をコロナウィルスが襲っているが、これ以上のものが突然発生して人類を破滅させる日が来るという恐怖は、小説の中だけではない。

世界平和を実現する前に地球上から人類が消えるという考えたくもないリスクが、令和に入って現実味を帯びてきた。

 

阿乱隅氏 on Twitter: "#アマチュア無線の日 「復活の日 」はいろいろ微妙なところはありますが、原作にもあった南極基地に世を儚んだ子供の無線が入る場面はいいです。子供は受信の仕方がわからないので通信は一方通行。それでも懸命に呼びかける我らが 渡瀬恒彦の熱演 ...

 

渡瀬恒彦は、草刈正雄の同僚で、南極観測隊員の機械技師・辰野を演じている。

こういう役を演じるのは初めてで、やくざ者や犯罪者とは全く無関係の人間だ。

どんどん渡瀬恒彦の新たな顔が見られる時代になってきている。

 

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