「犬笛」
1978年4月1日公開。
犬笛を手掛かりに娘を探すサスペンスアクション。
三船プロ創立15周年記念作品。
配給収入:4億3300万円。
製作:三船敏郎
原作:西村寿行「犬笛」
脚本:菊島隆三、金子武郎
監督:中島貞夫
キャスト:
- 秋津四郎:菅原文太
- 小西友永:北大路欣也
- 三枝寛二:原田芳雄
- 法眼規子:竹下景子
- 秋津順子:酒井和歌子
- 幹雄:勝野洋
- 橋川:竜雷太
- 小野:村野武範
- 佐伯:川地民夫
- 宮原:浜田光夫
- 佐藤:若林豪
- 前川:神山繁
- 笈川:高橋昌也
- 浜田:加藤武
- 上月:小池朝雄
- 小原:鈴木瑞穂
- 池田正男:岸田森
- 松本:織本順吉
- 大田原:田中明夫
- 渡辺:渥美国泰
- 石井:北村和夫
- 宇佐美:大滝秀治
- 矢野洋子:夏桂子
- 看護婦:津山登志子
- 秋津良子:松下実加(子役)
- 相良:かたせ梨乃
- 沢野:坂上二郎
- 清里:伴淳三郎
- 遠藤:山村聡(特別出演)
- 村田武雄:三船敏郎
- ナレーター:岸田今日子
秋津四郎と順子の夫妻は一人娘の良子の7歳の誕生日を迎え、ケーキを準備していた。
飼い犬のテツの散歩に行った良子を迎えに行くため玄関を出た四郎は、テツだけが走って帰ってきているのを見て異変に気づく。
テツのあとを追って走って行くと、タクシーの運転手が良子を撥ねたと言うが、良子の姿は見えなかった。
運転手によると二人組の男が病院に連れて行くと車に乗せて行ったと言う。
行った病院のわからない四郎は自宅で待った。
やがて病院がわかり駆けつけると、医師は事故のショックで記憶が一部飛んでいると言う。
四郎は良子が異常聴覚をもっている事を話す。
異常聴覚とは普通の人には聞こえない音も聞こえ、良子はゴールトンホイッスルという犬笛の音が聞こえる体質だ。
四朗が病室に行くが、良子はそこにいなかった。
二人連れの男が、自宅に送ると言って連れ帰ったとナースは語る。
良子が姿を消した同時刻に近くで殺人事件があった。
良子がその事件を目撃したためにさらわれたのではないかという憶測から、誘拐事件として警察が捜査を始めた。
悪い方にばかり考える妻の順子は気が狂ったようになって病院に入院した。
小西刑事(北大路欣也)がやって来た。
小西は、、犬笛を吹いて探せば、良子が犬笛を聞き、吹き返す。すると飼い犬の鉄が反応して良子の居場所がわかるだろうと言う。
その後、捜査の打ち切りが四郎に告げられると、四郎は会社に辞表を出し、テツを連れ、犬笛をぶら下げて、目撃情報を元に単独で探しに出た。
しばらくすると、ある女から良子の居場所を知っているという通報があった。
四郎は女に会い、娘の居場所を聞いた。
家に入ると良子がいた。
二人抱き合って喜んだその瞬間、四郎は何者かに殴られた。
誘拐していたのは三枝(原田芳雄)の一味だった。
良子の記憶を呼び起こすために精神科医の法眼則子(竹下景子)を雇っていた。
方眼の提案で父親に会わしたら記憶が戻るかも知れないと会わせたが、良子の記憶は戻らなかった。
その後意識が戻った四郎は別室で、以前顔を合わせた池田という男が殺されているのを見つけた。
警察は使用されたナイフが四郎のものだったことから、四郎を指名手配した。
逃げる四郎を警察は追う。
一方、池田の家宅捜索をした警察は、大日本物産と石油王国の裏取引きの証拠写真を入手していた。
大日本帝国側が、女を使って石油王国の役人を誘惑し、写真を撮って脅すというやり方だった。
北海道のサルベツで良子を見つけるも、三枝らに見つかり、四郎は痛めつけられ、テツは足を拳銃で撃たれた。
一人逃げる四郎は函館で警察に身柄を確保された。
これは小西刑事が仕向けたもので、四郎の殺人容疑が晴れて、これからの捜査協力の依頼するためだった。
小西と四郎は大日本物産のトップのおひざ元の米子に良子はいると見て向かう。
そのころ三枝は法眼に電気ショックで良子の記憶を戻させようとするが、法眼は記憶が戻ったら良子は殺されるだろうと考え、良子を逃がそうとした。
良子は記憶が蘇っていた。
あの時、林でテツが何かを咥えて帰って来て、それを見るとフィルムのネガだった。
興味のない良子は、ドラム缶のたき火でネガを燃やし、帰る途中に、殺人現場を目撃したのだった。
その後追ってくる二人の男から逃げる為に道路に出たところをタクシーに撥ねられたのだ。
三枝の狙いは、そのフィルムのネガだった。
小西と四郎が着いた時には、法眼が雪の中に埋められ、良子はすでに車で連れ去られていた。
法眼を病院に送り、良子を追う。
しかし途中でまかれ、神戸に着いた。
神戸の埠頭でテツが何かを拾ってきた。
それは良子の犬笛だった。
彼らが船で逃げたことがわかり、小西は海上保安庁の巡視船に追跡を依頼する。
船長の村田はインドネシアの領海に向かう大型船を追う。
そして大型船がインドネシアの領海に入ったら追跡は出来ない事を告げた。
四郎は娘の良子を救いたい気持ちを村田にぶつけた。
村田は、領海侵犯してでも船を停止させると言い切った。
海上保安庁の幹部からの制止命令を蹴る。
更に長官からも制止命令が来るが、村田は通信を切断し、船員たちに領海に入ってでも停止させるぞと檄を飛ばした。
やがて大型船はインドネシアの領海に入った。
するとインドネシア海軍は、大型戦の船長に停止命令を出した。
背くと銃撃され事を知っている船長は船を停止させた。
そのころ犯人の三枝は、大日本物産のトップから、全てお前の責任でカタをつけろと言われる。
三枝は手下二人を射殺し、自殺した。
大型船に近づき、乗り込もうとした四郎を村田は制止した。
市民を危険な目に会わすことは出来ないと。
乗り込んだ小西刑事はついに良子を救出したのであった。