「監獄人別帳」
1970年4月10日公開。
渡瀬恒彦主演の人別蝶シリーズ第2作。
脚本:石井輝男、掛札昌裕
監督:石井輝男
キャスト:
- 橘真一:渡瀬恒彦
- 吉岡誠吉:佐藤允
- 珠枝:賀川雪絵
- お銀:清川虹子
- モンマルトルの鉄:伊吹吾郎
- 浅吉:大辻伺郎
- 国造:蓑和田良太
- 緒方:千葉敏郎
- 秀:尾藤イサオ
- 剛蔵:上田吉二郎
- 辰:大泉滉
- 阿久田:嵐寛寿郎
- 吉蔵:龍崎一郎
- 岩倉:沢彰謙
- 五五九番:片山由美子
- 大学:荒木一郎
- 月形潔:内田良平
あらすじ:
酷寒の網走刑務所。
その中には傷害罪の橘真一(渡瀬恒彦)。
悪徳警察署長・岩倉に殺された父親の復讐に失敗した殺人未遂罪の吉岡誠吉(佐藤允)。
そのほか、無期徴役刑の阿久田老人(嵐寛寿郎)、殺人犯・モンマルトルの鉄(伊吹吾郎)、夜這いの松こと浅吉(大辻伺郎)、牢名主の異名をとる放火ダルマの剛造(上田吉二郎)ら、様々な囚人の顔があった。
温厚な典獄長・月形(内田良平)は別として、所長の緒方(千葉敏郎)と典獄たちは囚人たちを虫けら同然に虐待し脱獄者は皆無だった。
そんなある日誠吉の弟・秀(尾藤イサオ)と妹・珠枝(賀川雪絵)が、送られてきた。
真一は吉岡兄妹が仇と狙う岩倉(沢彰謙)が道庁の警視総監として赴任してきたことを知り、脱獄のチャンスをうかがった。
やがて、好機到来。
この脱獄に参加したのは吉岡三兄妹と真一、鉄、浅吉の六人。
脱獄のベテラン・鉄をリーダーに吹雪の中に出た一行だが、浅吉の密告で脱獄は失敗、そして二人ずつ手錠をかけられた。
だが、この危機を救ってくれたのは阿久田老人だった。
左足に銃弾をうけた鉄は自分の左腕を自ら切断、秀を単身逃がした。
一方、真一と誠吉は一度は改心した浅吉の犠牲で危機を脱するが、執拗に迫りくる追手に万事休す。
だが、片手の鉄の出現で再び窮地を脱するのだった。
こうして脱獄に成功した誠吉と珠枝は目ざす岩倉の屋敷にのり込むが、多勢に無勢。
しかし、吉岡兄妹の安否を気づかってやってきた真一と鉄の協力で形勢は逆転、岩倉邸は修羅場と化した。
やがて鉄は口笛を残して死んでいった。
逃げまどう岩倉を追いつめた真一は、誠吉に無事仇を、とらせてやった。
そして、吹雪が冷く舞う中を刑務所へもどってゆく真一の姿があった。
コメント:
ほぼ渡瀬恒彦版「網走番外地」。
とはいえ、話の中心は佐藤充ファミリーの復讐劇。
そしてアラカンさんの鬼寅が何度も大活躍。
この鬼寅さんの活躍がまるで水戸黄門の印籠出すような気分の良さもあり、笑えもするし「待ってました」と声をかけたくなる。
石井監督らしく血しぶきも多くまさにグラインドハウスな「網走番外地」で面白い。
荒木一郎と大泉滉がオカマ。
渡瀬恒彦主演作だが集団劇。
内容は67年で終了した石井版「網走番外地」と同じようなもの。
恒ぼんの役名も橘真一だし。
当然の如くアラカンの鬼トラも登場、女囚が絡んで、清川虹子母子の復讐だの賑やか。
「大悪党作戦」の黒部ならトロッコ列車、網走ならソリを使ったチェイス。
地域にあった機材を活用したアクション。
ケーブル宙吊りまで。
佐藤允と内田良平が恒ぼんを支えている。
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