「暴れ豪右衛門」
1966年1月15日公開。
戦国時代の加賀の国における武士と農民の戦いを描く異色作。
脚本:井手雅人、稲垣浩
監督:稲垣浩
キャスト:
- 信夫の豪右衛門:三船敏郎
- 小笹:乙羽信子
- 弥籐太:佐藤允
- 隼人:田村亮
- あやめ:大空真弓
- 兵六:天本英世
- 権爺:小杉義男
- 助市:山本廉
- 平吉:荒木保夫
- 又八:草川直也
- 茂十:堺左千夫
- 三蔵:榊田敬二
- ちよ:田辺和佳子
- 朝倉孝景:平田昭彦
- 梓姫:星由里子
- 江但馬:西村晃
- 神保十郎:黒部進
- 武部庄左衛門:田島義文
- 矢田景昌:清水元
- 田毎:塩沢とき
- 服部無手右衛門:加東大介
- 錣の鯱兵衛:富田仲次郎
- 戸ケ谷の四郎五郎:佐々木孝丸
- 白峯の蟹右衛門:上田吉二郎
あらすじ:
加賀七党の首領として、馬を駆り、冷酷な戦いぶりを見せる豪右衛門(三船敏郎)は、徹底した侍嫌いであった。
それは代々土に生きた農民の本能でもあった。
豪右衛門の二人の弟、弥藤太(佐藤允)と隼人(田村亮)は、人質として戦国大名円城寺の城で暮らしていたが、許されて久しぶりに接する兄豪右衛門に、弥藤太は尊敬の眼ざしを、隼人は、兄のふるまいを粗野で、時流をわきまえぬやり方と批難の目をむけた。
隼人は幼少から侍の中に暮し、朝倉家の人質・梓姫(星由里子)に恋して、多分に侍びいきになっていたからでもあった。
特に弥藤太の恋人・あやめ(大空真弓)が、落武者の血をひくということだけで、異常に過酷にとりあつかわれるのに、青年らしい義憤を感じていた。
一方朝倉家は、円城寺と通じながら、梓姫が円城寺から戻されたのを機に、加賀七党を籠絡して円城寺攻略を策していた。
朝倉の使者を迎え、加賀七党は動揺を示した。
朝倉の援助を受けて、円城寺を討つと騒ぐ郎党の中にあって、豪右衛門は、侍に対する不信感から分裂しても申し出を許そうとしなかった。
そんな豪胆な豪右衛門に朝倉の間者・無手右衛門(加東大介)は惚れこむのだった。
しかし朝倉方は隼人と梓姫の関係を知ると、隼人を朝倉方に誘い込んだ。
豪右衛門と隼人は肉親でありながら相争うはめとなった。
だが隼人は、朝倉の矢をあびて命を断った。
隼人の弔合戦に、女房以下刀槍をとって戦場にかけつけた豪右衛門は、途中、落ちぶれたあやめに出会い、初めて人の情愛の深さに涙するのであった。
かつて袂を分った加賀七党が我が身を恥じて、豪右樹門救援に出むいた。
渾身の力をふりしぼって槍をとる豪右衛門の身体は、矢傷、刀傷で、すでに魂だけが雄々しく戦っていた。
豪右衛門が指導した騎馬集団が、草原を駆っていった。
コメント:
時代は戦国時代の始まりの頃。
加賀の国で朝倉氏の支配と戦う加賀七党と呼ばれる軍勢が独立して動きを見せていた頃という設定のようだ。
三船敏郎という俳優の偉大さが再認識できる作品になっている。
改めてこの人は凄い!
まさに山のように豪快で大きい男だ。
どんな環境で育てばあんな豪傑が生まれるのだろうか。
そのカリスマ性Fがハンパない。
それでいて用心棒のように頭のよさもある役。
三船の暴れん坊ぶりが最高潮である。
エネルギッシュというか、常に絶叫しながら生きているくらいの迫力である。
「七人の侍」の菊千代が生きていて、その後豪族となり百姓と連携して武士と対決するといった風情。
あらけづりの魅力が随所に見られ、戦闘シーンなど迫力も十分。
三船敏郎のリーダーシップたるや超絶的である。
今でいえば超パワハラ男である。
昨今このようなキャラの男は絶滅危惧種であり、かえって新鮮に見えるから不思議だ。
気分転換と昔気分にタイムスリップするには面白い作品だ。
田村亮は、ご存じの通り、阪東妻三郎の四男である。
本作で映画デビューとなった。
最初から結構いい役もらっているのはやはり血筋だろう。
若くて二枚目だが、役的にはあまり共感出来ない。
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