「花戦さ」
2017年6月3日公開。
池坊家に伝わる池坊専好(初代)の秀吉との逸話を元に映画化。
興行収入:8億4000万円。
原作:鬼塚忠『花いくさ』
脚本:森下佳子
監督:篠原哲雄
キャスト:
- 池坊専好 - 野村萬斎
- 豊臣秀吉 - 市川猿之助
- 織田信長 - 中井貴一
- 前田利家 - 佐々木蔵之介
- 千利休 - 佐藤浩市
- 吉右衛門 - 高橋克実
- 池坊専伯 - 山内圭哉
- 池坊専武 - 和田正人
- れん - 森川葵
- 石田三成 - 吉田栄作
- 浄椿尼 - 竹下景子
- 俵屋留吉- 河原健二
あらすじ:
京都・頂法寺六角堂の花僧・池坊専好(野村萬斎)は立花の名手で、天下統一を目指す織田信長(中井貴一)の前で花をいけ、居合わせた千利休(佐藤浩市)らの心をつかむ。
思わぬ失態から信長の不興を買ってしまい打ち首になりかかるが、豊臣秀吉(市川猿之助)が機転をきかせ彼の危機を救った。
それから十数年が経ち、秀吉は乱世をおさめ、専好と利休は無二の友として互いの道を高め合っていった。
やがて天下人・秀吉の驕りが目につくようになり、利休を切腹に処し、専好を慕う町衆の命を次々に奪うように。
見かねた専好は立ち上がり、前田利家邸を舞台に、花を用いて太閤秀吉に一世一代の戦さを仕かける。
コメント:
戦国時代の華道家元・初代池坊専好のいけばな『前田邸の大砂物』の伝説に着想を得た時代小説を映画化。
無二の友・千利休と互いに切磋琢磨しあう専好。
しかし時の権力者・秀吉は利休や罪のない町衆の命を奪い、見かねた専好は彼にしかできない戦さを仕かける。
プロデューサーの小滝祥平が、中井貴一主演の『柘榴坂の仇討』の撮影中に『花いくさ』の存在を知り映画化を望み実現した。
池坊家が「花を生けた」という記録から555年目となる2017年に公開され、主演は野村萬斎が務める他、市川猿之助、中井貴一、佐々木蔵之介、佐藤浩市が共演する。
また、映画オリジナルのヒロイン・れん役には森川葵が起用された。
撮影は2016年4月10日から東映京都撮影所、大覚寺、妙心寺、鹿王院、南禅寺、随心院で行われた。
脚本の森下佳子は、映画を「明るい」「ライト」「コミカル」なものにすることを心がけ、池坊専好が千利休との出会いをきっかけに成長する物語として描いた。
利休の死に衝撃を受けた専好が、人々が利休のために集めた花を見て涙を流すシーンがあるが、脚本には「泣く」という指示はなかったという。
また、利休役の佐藤浩市とは利休の心情描写について話し合いを重ね、佐藤の意見を採用した。
中井貴一演じるカリスマ戦国武将・織田信長の前で、専好が巨大な松を披露。
専好が挑むひとつめの対決では、織田信長が相手なのだ。
信長の居城・岐阜城にて、天を貫く昇り龍のような巨大な松と菖蒲の花を披露する。
この趣向が気に入られなければ専好の命はない。前代未聞のいけばなに思わず息を飲む信長。
この対決シーンはなかなかの出来になっている。
豊臣秀吉を演じたのは、歌舞伎役者の市川猿之助。
「龍馬伝」や「ザ・マジックアワー」等でも存在感を発揮している。
今度は秀吉役として強烈な印象を残すという立役者である。
もちろん、豊臣秀吉も、巨大な松をいけた専好の手腕に驚く。
天才茶人・千利休を熱演したのは、映画界が誇る名優のひとり、佐藤浩市。
専好、秀吉を“動”とすれば、佐藤が演じる千利休は“静”。
躍動的な印象の佐藤が、今回はいかに静かに存在感を披露するか、目が離せない。
この作品は、戦国時代に実在した池坊専好という花僧が豊臣秀吉に単身で立ち向かうというものである。
その花僧に扮したのが野村萬斎、やっぱりこの人はすごい、どんな役でもその役になりきってしまう。
華道といえば池坊、まさに花の道を知り尽くした家元、そこから外れた専好のハチャメチな生け花は結構面白い。
あの「昇り竜」は、実に見事だ。
本作の主人公である池坊専好(初代)は、池坊家の歴史に残る人物のようで、秀吉との逸話は実際にあったもののようだ。
豊臣秀吉によって天下統一が成し遂げられた安土桃山時代。
城郭や武家屋敷に大きな床の間が設けられ、そこに飾る花が池坊に依頼された。
池坊専好(初代)は文禄3年(1594)、秀吉を迎えた前田利家邸の四間床に大砂物を立て、「池坊一代の出来物」と称賛されたといわれる。
慶長4年(1599)には、京都の大雲院で開かれた花会に専好(初代)の弟子100人が出瓶し、多くの人々が見物に訪れたという。
くわしくは、池坊家のサイトを参照されたい:
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