「RED/レッド」
(原題:RED)
2011年1月29日公開。
元CIAの男が昔の仲間たちと共に巨大な陰謀に立ち向かう大ヒットアクション映画。
世界興行収入:$199,006,387。
原作:ウォーレン・エリス、カリー・ハムナー
脚本:ジョン・ホーバー、エリック・ホーバー
監督:ロベルト・シュヴェンケ
出演者:
ブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン 、 ジョン・マルコビッチ 、 ヘレン・ミレン 、 カール・アーバン 、 メアリー=ルイーズ・パーカー 、 ブライアン・コックス 、 ジュリアン マクマホン 、 リチャード・ドレイファス 、 レベッカ・ピジョン
あらすじ:
フランク(ブルース・ウィリス)は、かつて腕利きのCIAエージェントだったが、今は引退、田舎町で一人穏やかに暮らしている。
そんな彼の唯一の楽しみは、役所に勤めるOLのサラ(メアリー=ルイーズ・パーカー)と電話でおしゃべりをすることだった。
ある夜更け、フランクは家の中に3人の侵入者を察知。
最新銃火器で武装したコマンドを一人ずつ倒した彼は、さらに家の外から容赦ない銃弾を浴びせかけてきた敵もあっさり葬り去り、サラの家へと車を走らせた。
フランクは、自分はついさっき暗殺されかけ、政府監視下にあって電話も盗聴されていたので救いに来たとサラに話すが、彼女は信じない。
だが二人が言い争う中、アパート前に新たな暗殺者たちが現れる。
フランクはその目を逃れ、裏口から抜け出て嫌がるサラを車に押し込んだ。
モーテルのベッドにサラを縛りつけて、フランクはかつての上司・ジョー(モーガン・フリーマン)が住む老人介護施設を訪れる。
ジョーは80歳を過ぎ、末期の肝臓がんを患っていた。
CIAの知人に裏から手を廻したジョーは、襲撃者たちの指紋から身元を調べさせ、同じグループがつい最近NYタイムズ紙の女性記者を密殺した疑いがあることを知る。
一方、モーテルでは、若きCIAエージェントのクーパー(カール・アーバン)が、上司ウィルクス(レベッカ・ピジョン)の密命を受け、サラを連れ去ろうとしていた。
ちょうど戻ってきたフランクは、サラを奪い返し、銃撃戦とカーチェイスを繰り広げた末、その場から脱出する。
殺されたNYタイムズ記者の実家を訪ねた二人は、彼女が母親に宛てた一枚の絵はがきを見せられる。
フランクはそこに記された暗号を解き、コロンビア大学の膨大な蔵書の中の一冊から一枚のメモを発見。
それはフランク他9人の名が記された暗殺リストだった。
二人はリストに名前があったフランクのかつての同僚かつ宿敵、マーヴィン(ジョン・マルコヴィッチ)を訪ね、リストの名前の謎を解く。
コメント:
タイトルの「RED」とは、「引退した超危険人物」を意味する「Retired Extremely Dangerous)」の略称。
DCコミックスのオマージュ・コミックから出版された同名のグラフィックノベルを原作としたアクション映画である。
静かな引退生活を送っていた元CIAの男が、昔の仲間たちと共に巨大な陰謀に立ち向かう姿を描いた大ヒット作品。
それにしてもすごく豪華なキャスティングだ。
ブルース・ウィルスやモーガン・フリーマン、ヘレン・ミレンなど、こんな豪華な人たちを登場させているわけだから面白くないはずがない。
最初から最後までハラハラドキドキ、そして軽快なアクションシーン満載で、あっという間に終わってしまう。
黒幕は誰なのか、ということも予想しながら楽しむことが出来る。
フランク(ブルース・ウィリス)は、毎朝6時ちょうどに目が覚めるらしい。
そしてCIAを引退したとはいえ、トレーニングは欠かさない。
こういう描写があるだけで、派手なアクションをこなすフランクの姿にも説得力が出てくる。
オープニングに目覚ましもなく起きる様子が描かれているので、その後の3時過ぎに起きるシーンには何かあるなと思わせるのも、伏線としても実に巧い。
そしてフランクの周囲の家はクリスマスの飾り付けが華やかだ。ブ
ルース・ウィリスといえば、クリスマスの日に酷い目に遭うキャラが有名なので、これも楽屋落ちとしても面白く、そしてその通りの展開になるので観ていて楽しくなってしまう。
この主演俳優のこれまでのキャリアをしっかり把握してシナリオを書いているのだ。
フランクは年金生活なのだが、その小切手らしきものを破くシーンがあり、これはどういう意味なのかと思っていたら、その理由については、そのことを忘れてしまっている終盤語られるのも脚本として実に良い。
フランクの楽しみが、年金係のサラ(メアリー=ルイーズ・パーカー)と話をすることなんていうのは、どうも孤独な老人の悲哀が感じられて切ないのだが、この男、まだまだ引退は早かったようだ。
フランクとは初対面なのに、サラが巻き込まれてしまうのはお気の毒。
スパイ活動などに素人が巻き込まれて云々という展開は、最近よくお目に掛かるが、よく考えてみたらこれはヒッチコックお得意のパターンで歴史は古いのである。
最初かなり抵抗していたサラも、事態を理解した途端、急に積極的になってしまうのは驚いてしまうが、そこが面白いのだ。
襲われる理由はフランク自身にも分からない。
サラと逃亡しながら敵と闘い、謎を解き明かしていく展開に、アクションも加わり観ていて飽きさせない。
場所を移動する度にその土地の様子を表すポストカードのような画面作りも楽しい。
そして昔の仲間が一人ずつ増えて行く。
ジョー(モーガン・フリーマン)はフランクの元上司。
今では老人介護施設で生活している。
しかし、このおじいさんも侮れない。
過去、もう何度も死んだことになっている。
これも終盤の伏線になっていると思っていたのだが、そのまんまなのだろうか。
マーヴィンは文字通りかなり危ない男。
ジョン・マルコヴィッチが演じていて笑わせてくれる。
ピンクのブタちゃんのぬいぐるみを大切そうに連れていくと思ったら…。
このマーヴィンがちょっといかれていると思わせておいて、実は彼の感じたことが正しかったというミスリードにも騙される。
そしてその闘いぶりも笑える。
おばさんとの一騎打ちは胸がスカッとする。
手榴弾を打ち返すに至っては、もう手を叩いて喜んでしまう。
そしてもう一人。
かつての美貌の女スパイ・ヴィクトリア(ヘレン・ミレン)。
過去の悲しい恋物語の挿話もちょっといい話になっている。
彼女の機関銃をぶっぱなす姿も超クールに決まっている。
フランクを追うCIAエージェントのクーパー(カール・アーバン)は、敵としてあっぱれ。
まだ若くて強いかなりの自信家だが、闘いながらフランクから何かを学んでいくような、そんな敵味方でありながらの師弟関係のようなものが感じられる。
クーパーが自分のまだ小さな子供たちを見守るシーンが入れられることにより、観客もこの敵キャラに親しみを感じてしまうことになる。
そうなるともうその後の展開も読めたようなものだ。
ユーモアもあり、アクションもストーリー展開も楽しめた映画だ。
年配の役者さんたちが頑張ってくれているのも、昔から彼らの映画を観てきた映画ファンにはとても嬉しく、元気がもらえる。
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