「男性No.1」
1955年1月3日公開。
三船敏郎と鶴田浩二の競演。
脚本:井手雅人
監督:山本嘉次郎
出演者:
鶴田浩二、三船敏郎、岡田茉莉子、越路吹雪、藤木悠、徳大寺伸、浦辺粂子、清水元、岡豊、大村千吉
あらすじ:
ダフ屋の取締りを一手にする“ビュイックの牧”(三船敏郎)は、腕っ節が強くバカ正直で気が短かい。
彼はダフ屋の顔役“ラッキョウの健”(鶴田浩二)が、招待券を法外な値で流しているのに腹をたてたが、口八丁・手八丁の健に簡単に丸められてしまった。
牧にはバー・プランタンのマダムのタカ子(越路吹雪)という女があったが、タカ子は健に惚れていた。
銀座のプレイガイドの売り子のみち子(岡田茉莉子)も健の為に切符の横流しをする程、健に熱を上げていた。
健はデパートの掃除婦をしている母親のおきみ(浦辺粂子)に、新橋裏に小料理屋を持たせたいという望を持っていた。
健はダフ屋の親分・犬井(徳大寺伸)に歩合を増すといわれ、牧との約束を破って田宮(清水元)の興行に手を出そうとした。
牧が弟のようにしているボクサー・島村(藤木悠)を酒の肴にして、健が牧をののしると、牧は怒って暴れ、警察に留置された。
その間に健は切符を売ってしまった。
健が貯めた金を預けてあった安全経済会が突然休業し、健はあわてるが、事情を聞いた牧は金策を引き受けた。
島村の試合に、田宮は犬井と合法的な八百長をやろうとし、金でつって健に島村誘惑の役をやらせた。
怒った牧は健を追いつめ、案ずるおきみの目の前で殴りつけた。
健は牧の真心と母の愛に目をさまし、更生を誓った。
牧と健は田宮等の悪行を知り、なぐり込んだが、牧は警官につかまった。
おきみは牧を迎えに行き、牧は彼女の母性愛に涙にむせんだ。
健は自分の為にクビになったみち子と結婚し、一緒に彼女の故郷名古屋へ行った。
コメント:
山本嘉次郎作品は、『藤十郎の恋』のような名作から、同一監督がつくったとは思えない駄作まで格差が激しい。
本作は優れてはいないが、そこそこ楽しめる。
へらへら鶴田とお人好しで直情型単細胞の三船は、兄弟分でありながらいざこざがたえない。
鶴田が八百長拳闘に巻き込まれ、三船を裏切る。
そこから始まる身内の諍いが笑える。
まるで銭形刑事のようなトレンチコートに身を包んだ三船敏郎がカッコいい。
髪にパーマを当てて色男ぶっている軽薄な鶴田浩二もなかなかだ。
どっちが、男性No.1なのだろうか。
相手を騙すのが上手く、金儲けを企んでは、三船を怒らす鶴田。
だが、母親(渡辺粂子)の説教でついに真人間になる鶴田。
直情型の男を演じている三船敏郎のスカッとした振る舞いが印象に残る。
やっぱり、男性ナンバーワンは、三船敏郎だろう。
この映画は、K-PLUSでレンタル可能: