「鬼平犯科帳 劇場版」
1995年11月18日公開。
テレビドラマ「鬼平犯科帳」の映画化。
松竹創業100周年記念作品。
配給収入:4.5億円。
原作:池波正太郎
脚本:野上龍雄
監督:小野田嘉幹
キャスト:
- 長谷川平蔵:二代目中村吉右衛門
- 長谷川久栄:多岐川裕美
- 長谷川辰蔵:東根作寿英
- 清:久我陽子
- 佐嶋忠介:高橋悦史
- 秋元源蔵:神山繁
- 天野甚造:御木本伸介
- 酒井祐助:勝野洋
- 木村忠吾:尾美としのり
- 沢田小平次:真田健一郎
- 原田一之進:木村栄
- 岡村啓次郎:三代目中村歌昇
- おまさ:梶芽衣子
- 相模の彦十:三代目江戸家猫八
- 小房の粂八:蟹江敬三
- 大滝の五郎蔵:綿引勝彦
- 五鉄の三次郎:藤巻潤
- おとき:江戸家まねき猫
- 荒神のお豊:岩下志麻
- 白子の菊右衛門:藤田まこと
- 沖源蔵:石橋蓮司
- 狐火の勇五郎:世良公則
- 吉五郎:本田博太郎
- 百蔵:平泉成
- 文吉:遠藤憲一
- 蛇の平十:峰岸徹
- 天ぷら屋の主人:道場六三郎
- 佐代:江口由起
- 杉浦要次郎:立川三貴
- 蛇の平十の配下:石倉英彦
あらすじ:
次々に盗賊を捕まえては、手柄を立てていく火付盗賊改方長官・長谷川平蔵(中村吉右衛門)。
鬼の平蔵の異名を持つ彼の前に、狐火を名乗る盗賊が現れる。
罪もない人々を惨殺して火を放つその盗賊は、しかし本物の狐火・勇五郎(世良公則)ではなく、彼の異母弟の文吉(遠藤憲一)であった。
平蔵の手下でその昔勇五郎と恋仲にあったおまさ(梶芽衣子)は、江戸に現れた勇五郎をかばうためにそれを平蔵に密告しに行くが、情に流されて任務を怠ったと平蔵に一喝される。
その夜、勇五郎と共に文吉一味の元を訪れたおまさは、なぶりものにされかかってしまう。
だが、それを救ったのは平蔵だった。
平蔵はおまさを泳がせて文吉一味を捕まえる算段を取っていたのだ。
事後、勇五郎の腕を落とすという厳しくも、しかし温かい裁きを下す平蔵に感謝しつつ、二人は江戸を後にした。
ところで、文吉のバックには大阪一帯を牛耳る大盗賊・白子の菊右衛門(藤田まこと)がいた。
江戸をその手中に収めたい彼は、次なる手だてとして江戸の大頭目・荒神のお豊(岩下志麻)に接近。
刺客たちを江戸に送り込んで来るのであった。
だが、お豊は菊右衛門に協力するふりをしながら、平蔵を改方から失脚させる作戦を一人練っていた。
それは、平蔵の一人息子・辰蔵(東根作寿英)を肉体で誘惑することだった。
だが、菊右衛門の作戦もお豊の切り札もことごとく失敗。
遂に菊右衛門一味は、平蔵の同心の家族を殺すという非情の作戦に出る。
これに激怒した平蔵は、江戸の入り口という入り口に手下を送り、怪しい者がいれば片端から捕らえよと命令を下す。
そんな折、勇五郎を流行り病で亡くしたおまさが、菊右衛門とお豊の情報を持って江戸に戻って来た。
だが、平蔵はお豊の名前を聞いて顔色を変える。
お豊は、以前平蔵と訳ありの仲の女だったのだ。
全てを知った平蔵は菊右衛門の手下の作戦の裏をかき、一味を倒すことに成功する。
大阪の菊右衛門はその知らせを聞いて江戸進出を諦め、お豊も平蔵自らの手によって御用となるのであった。
コメント:
中村吉右衛門の当たり役である鬼平シリーズの劇場版で、テレビ時代劇の雰囲気を損なわない仕上がりになている。
ストーリーも二部構成風になっていて、前半は世良公則と遠藤憲一が敵役で、後半は藤田まことと岩下志麻が敵役だ。
吉右衛門がみせる鬼平像はさすがに人気シリーズになるだけにすばらしい。
武士としての所作から恫喝する声の強さに至るまでがびしっと決まっていて安心して見ていられる。
この雰囲気はかつての萬屋錦之介を思わせる。
存在感のある悪役として出演の藤田まことの見せ場が少ないのがもったいない。
二人の対決シーンを見たかった。
すでに藤田まことも、2010年に亡くなっていて、ついに今年2021年には『鬼平犯科帳』の中村吉右衛門も亡くなってしまった。
藤田まことは、『仕掛人』シリーズや『剣客商売』シリーズで人気を取った名優だった。
これで、池波正太郎の人気シリーズの主役が二人ともあの世に行ってしまい、残念でならない。
改めて、中村吉右衛門と藤田まことの冥福を祈りたい!
この映画は、TSUTAYAでレンタルも購入も可能: