三船敏郎の映画 第7作 「野良犬」 三船敏郎が若き刑事を熱演! 黒澤明監督初の犯罪サスペンス! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「野良犬」

トップシーン:

野良犬(プレビュー1)

 

クライマックスシーン:

野良犬(プレビュー2)

 

1949年10月17日公開。 

終戦直後の東京を舞台に、拳銃を盗まれた若い刑事がベテラン刑事と共に犯人を追い求める姿を描く。 

黒澤監督初の犯罪サスペンス映画。

第23回キネマ旬報ベスト・テン第3位。

昭和24年度芸術祭賞。

 

 

脚本:黒澤明・菊島隆三

監督:黒澤明

 

 

キャスト:

村上刑事:三船敏郎

佐藤刑事:志村喬

並木ハルミ:淡路惠子(S.K.D)

ハルミの母:三好榮子

ピストル屋のヒモ:千石規子

桶屋の女房(遊佐の姉):本間文子

スリ係市川刑事:河村黎吉(松竹)

光月の女将:飯田蝶子(松竹)

桶屋のおやぢ:東野英治郎(俳優座)

阿部捜査主任:永田靖(俳優座)

呑屋のおやぢ:松本克平(俳優座)

遊佐(特攻隊あがりの復員兵):木村功(俳優座)

スリのお銀:岸輝子(俳優座)

レビュウ劇場の演出家:千秋實(バラ座)

ホテル彌生の支配人:菅井一郎(第一協團)

係長中島警部(村上の上司):清水元(第一協團)

水撒きの巡査:柳谷寛(第一協團)

本多(拳銃の闇ブローカー):山本礼三郎(第一協團)

鑑識課員:伊豆肇(第一協團)

被害者中村の夫:清水将夫(第一協團)

アパートの管理人:高堂國典

レビュウ劇場の支配人:伊藤雄之助

 

 

あらすじ:

射撃練習を終えた村上刑事(三船敏郎)はコルト式けん銃に弾を装てんして無雑作に私腹の上着のポケットにねぢこんだ。

彼は連日の活躍に大分疲労を感じながらバスに乗り帰途についたが、途中のバスの中で一大事が起った。

それは彼のピストルが盗まれたのである。

ポケットに手をやった時はすでに遅く、周囲の怪しい奴が降りたのですかさず後を追ったが、残念ながら姿を見失ってしまった。

真夏の昼下がりの出来事であった。

彼は早速警視庁捜査第一課の中島警部(清水元)に事情を訴え出たが、そのピストルの中には七発の実弾が入っており、事の重大さに今更ながら若い村上刑事は当惑するのであった。

何分の処分が決まるまで、じっとしているわけにもいかないので、中島係長のアドバイスでスリ係の老刑事市川(河村黎吉)に相談する。

すると鑑識課の手口カードを調べて当時の様子を分析したところ、市川刑事の知っているスリのお銀(岸輝子)が捜査線にあがった。

気のはやる村上刑事は、市川刑事とお銀の巣へ乗り込んだ。

お銀は最初しらばくれていたが、強引な村上刑事の食い下がりにしびれを切らして、場末の盛り場の貸ピストル屋をばく然と知らせてくれた。それからというもの、村上刑事はボロ服の復員兵姿で毎日歩き回り、そのピストル屋が姿を現すのを待った。

その甲斐あって、遂にその行方を突き止めた。

だが、事を焦ったため、すんでのところで村上刑事のピストルを持っている男を取り逃がしてしまった。

それから村上刑事は淀橋の事件担当刑事の佐藤(志村喬)と一緒に仕事をすることになった。

佐藤刑事は熟練者だけあって仲々手際よく事件に当たった。

そして貸ピストル屋から端緒を得た彼等は、本多(山本礼三郎)という男に目星をつけた。

聞き込みから野球好きの本多が後楽園球場にちょくちょく現れるという。

さっそく手配写真を球場関係者に配布して、五万人という数の中から彼をおびき出し、逮捕に成功する。

しかしそれで解決したわけではなかった。

村上のピストルは本多の背後にいる遊佐新二郎(木村功)という男の手もとにあることが分かったからである。

そうこうしているうちに、ピストル強盗はついに殺人事件へと発展してしまった。

村上と佐藤両刑事は次々と捜査網を縮めて行った。

そうして遊佐の情婦のハルミ(淡路惠子)をつきとる。

佐藤刑事は単身遊佐の後を追った。

村上刑事はハルミの白状を彼女のアパートで待っていたが、不覚にも佐藤刑事は、村上刑事に電話をしている隙に、遊佐の弾に倒れてしまった。

佐藤刑事は、村上刑事の輸血のおかげで一命をとりとめたが、村上は慙愧に耐えなかった。

そんな折、ハルミの必死の密告によって、彼女との待ち合わせ場所で遊佐を発見した村上刑事は、逃げる遊佐を必死に追いかける。

遊佐は村上刑事に向かってピストルを発射する。

しかし一発は村上の腕に、あと二発は樹木に流れた。

全ての弾を撃ち尽くした遊佐は、ついに村上刑事によって手錠をかけられたのだった。

 

 

コメント:

 

三船敏郎の若き頃の懸命さが際立つ。

盗まれたピストル。そのピストルで起こる犯罪。

己の責任感に押しつぶされそうな三船演じる若手刑事と、確実に捜査を進めていく志村演じるベテラン刑事の対比が面白い。

戦後間もない日本。

その日その日をぎりぎりに生きていた頃の東京を舞台に良く練り上げられたサスペンスを堪能できる。

 

戦後4年経った東京は、まだ復興には程遠い感じの焼け野原だ。

だが、三船敏郎が扮する刑事・村上は白い麻のスーツで、ハンチングを被り、身なりが良い。
靴も白い革靴を履いている。

犯人の男・遊佐は復員軍人で、復員途中のリュックを盗まれたことから絶望して悪の道に入る。
同じく復員兵でリュックを盗まれた村上は、「盗んだ男を捕まえる警官」を志願して、今は刑事だ。
この対比も、人の生き方の違いを浮き彫りにしていて面白い。
 

延々と流される、どや街のような戦後間もない街の雰囲気。

刑事・村上の三船敏郎の何とも言えないギラギラした魅力が一杯。
踊り子たちも、三船も志村喬も、冷房もない時代に暑さで汗だくになるさまが凄い。


何と言っても、三船敏郎の魅力が素晴らしい。

拳銃をすられ、それが強盗に使われて三船が苦悩する姿が、なかなか良い。

 

野良犬」(1949年)犯人(木村功)を追い詰める刑事(三船敏郎) | 三船, 刑事, 男優


村上刑事が逃げる遊佐を必死に追いかけるシーンでしつこい位に流れるピアノの音色と、ついに捕獲して手錠をかけた後に流れる子供たちの「蝶々」の歌声は、実に独創的だ。
黒澤明の手腕だろう。

 

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