「カタクリ家の幸福」
2002年2月16日公開。
片栗家の人たちを巡る悲喜劇をミュージカル化。
脚本:山岸きくみ
監督:三池崇史
キャスト:
- 片栗正男 - 沢田研二
- 片栗照江 - 松坂慶子
- 片栗静江 - 西田尚美
- 片栗真之 - 武田真治
- 百合恵 - 濱田マリ
- イタコ - 絵沢萠子
- リチャード佐川 - 忌野清志郎
- 工藤 - 遠藤憲一
- TVリポーター - 竹中直人
- 片栗仁平 - 丹波哲郎
- 三宅 - 森下能幸
- 貧父 - 有薗芳記
- 中村一郎 - 塩田時敏
- 片栗百合恵 - 宮崎瑶希
あらすじ:
長年勤めたデパートをリストラされてしまった片栗正男(沢田研二)。
彼は、「大きな道路が通るから、お客が来るぞ」という知人の言葉を信じ、家族―妻・照江(松坂慶子)、正男の父・仁平(丹波哲郎)、出戻りの長女・静江(西田尚美)、無職の長男・真之(武田真治)、静江の娘・百合恵、愛犬のポチ―と共に人里離れた山の中でペンション白い恋人たちの経営を始めた。
だが、待てど暮らせど客は来ない。
お陰で一家は崩壊の危機。
そんなある日、遂に第一号のお客がやって来た。
しかしやけに陰気なこの男、翌朝起こしに行くと自殺していた!
ここで警察沙汰にしてペンションに悪評が立ってはと、正男の提案で死体を埋めることにした片栗家の面々。
ところがその後、来る客来る客が次々に死んでいく。
人気絶頂の力士は腹上死、その下敷きになって恋人は圧死、仁平が谷へ落として殺した筈の静江を騙そうとしていた名うての結婚詐欺師・リチャード佐川(忌野清志郎)もわざわざペンションへ戻って息絶える始末。
だが皮肉なことに、死体が増えそれを埋める度に家族の絆は強くなっていくのだった。
数日後、片栗家に警察がやって来た。
遂にバレたかと覚悟を決める一家。
しかし、警察は別のペンションで殺人を犯し逃亡を図った犯人を追跡していたのだ。
一時は照江を人質に立てこもった犯人・工藤(遠藤憲一)も、正男の説得で照江を解放、警察に逮捕される。
だがその時、ペンションの裏山が大噴火を起こした。
逃げまどう片栗家の人々。
やがて、正男が気づくと、隠した死体はマグマが全て流し、被害を受けなかったペンションの周りには美しい風景が広がっていた。
それを見て大喜びの片栗家。
彼らに本当の幸せが訪れた。
コメント:
ミュージカル仕立てのホラーコメディにして家族愛のドラマ、三池崇史監督の才気あふれる超怪作である。
主人公一家の片栗家も少々オカシイが、設定も登場人物も、みんなヘン。
あり得ない場所にペンションを建て、来ない客にしびれを切らし、来たと思えば怪死事件が相次ぎ、落ち込むどころか、苦境が家族の団結をさらに強固にするという美しい家族関係に、失われた日本の美点が見て取れる。
そんな家族に神様は最後に素敵なプレゼントをくれたのであった。
めでたし、めでたし…。
YouTubeにあるこの映画の撮影シーンが楽しい。
出演者たちがそれぞれこんな感じで頑張っていたんだというのが分かる楽屋の風景が良い。
あの頃みんな若かった!
本作は、1998年に公開された、キムジウン監督の韓国映画『クワイエット・ファミリー』を、三池崇史監督がリメイクした作品である。
家族の描き方がすごく韓国映画っぽく、今見ると「パラサイト」を連想する。
この異色な感じが通常の邦画とは違った新鮮味を与える。
カタクリ家の長男・片栗真之を演じている武田真治がとにかく若い。
若い頃はこんな感じだったんだ。
一番好きな登場人物は、忌野清志郎が演じた詐欺師の外人。
悪役のくせに歌も演技も凄まじく上手い。
この映画は、レンタルも購入も可能: