「翔んだカップル」
1980年7月26日公開。
相米慎二の初監督作品.
配給収入:8億円。
脚本:丸山昇一
監督:相米慎二
キャスト:
- 田代勇介:鶴見辰吾
- 山葉圭:薬師丸ひろ子
- 中山わたる:尾美としのり
- 杉村秋美:石原真理子
- 絵里:前村麻由美
- 和田先生:円広志
- 織田隼人:西田浩
- サル:吉見秀幸
- キツネ:酒井康明
- タヌキ:斉藤建夫
- 榊:岡竜也
- 静子:長谷川純代
- マリ:石川ルミ
- 教頭:三谷昇
- スナックジョーカーのマスター:柳生博
- 文化祭のバンド:H2O
- 星田:真田広之
- 志津:原田美枝子
あらすじ:
田代勇介(鶴見辰吾)は弁護士になることを夢見て、九州から東京の名門校、北条学園高校に入った。
勇介は海外に行っている叔父の留守宅に住むことになったが、一人で住むには家が広すぎるため、男に限るという条件で不動産屋に間借人を頼んだ。
ところがなんと、不動産屋の手違いでやってきたのは学校一の美少女と評判のクラスメート・山葉圭(薬師丸ひろ子)だった。
次の仕送りが来るまでということで、彼女は勇介と住むことになった。
勇介の入部したボクシング部のキャプテン・織田(西田浩)やクラスの秀才・中山(尾美としのり)も圭を狙っており、勇介は二人の同居生活がいつバレるかとヒヤヒヤの毎日。
一年生の遠足の日、学校一の才女、杉村秋美(石原真理子)が他のガリ勉生徒と一味違う勇介に興味持ち、近づいてきた。
日頃、圭に挑戦的な勇介も、理知的で大人の雰囲気を漂わす杉村には素直な気持で接してしまう。
約束の一ヵ月が過ぎたが、織田キャプテンの居候騒動などで、二人の共同生活は、訳が分らなくなってくる。
二人とも充分、意識しているのにお互いに好きという言葉が出ない。
そして、勇介は杉村と、圭は中山とデートを重ねる。
意地の張りあいのまま夏休みを迎え、「季節がかわれば……」と勇介は九州へ帰った。
新学期、圭は帰省中に知り合った大学生の星田(真田広之)に夢中になり、杉村はアメリカ留学を決意していた。
一方、圭との素直な生活を夢見て東京に戻った勇介は、新人戦を控え、織田にシゴかれる毎日を送っていた。
やけくそになった勇介は二人の同居生活を中山に話してしまう。
圭を慕う中山は、逆上し、そのことを教頭に密告してしまった。
新人戦を翌日に控えたある日、勇介、圭、杉村、中山の四人が集まった。
杉村は明日アメリカに発つ予定だ。
過ぎ去った事を四人は、暗黙のうちに許し合うように見つめあった。
勇介のまわりは何かが急激に変ろうとしていた。
コメント:
2002年に、53歳の若さで死亡した異色の監督・相米慎二のデビュー作である。
「セーラー服と機関銃」(81)、「ションベンライダー」(83)、「台風クラブ」(85)、「お引越し」(93)といった作品を残したこの監督の初めての映画には、ほかの監督とは異なる独特のみずみずしさがある。
多くの俳優たちの若き姿が印象的で、ここから羽ばたいていったことが分かるシーンがいくつもある。
鶴見辰吾と薬師丸ひろ子の初主演映画であり、石原真理子にとってはデビュー作となる。
本作には、原田美枝子も出演しているが、ワンシーンのみのカメオ出演となっている。
やはり、本作は、相米監督と薬師丸ひろ子の出会いの作品として非常に意義のある映画である。
薬師丸ひろ子は、当時16才。
2年前に『野生の証明』で子役デビューし、一世風靡したが、本格的な女優としてスタートしたのは、やはりこの作品からであろう。
まだ幼さが若干残っているが、懸命に大人になろうとしている時期の女学生を等身大で演じており、好感が持てる。
本作を機に、『セーラー服と機関銃』で完全にアイドルとして映画界で知名度を獲得している。
彼女にとって相米監督は薬師丸ひろ子を本格女優に導いた貴重な伝道師である。
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