梅宮辰夫の映画 「山口組外伝 九州進攻作戦」東映実録路線 菅原文太主演! 辰兄いは文太の兄弟分! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「山口組外伝 九州進攻作戦」

 

 

「山口組外伝 九州進攻作戦」 予告編

 

「山口組外伝 九州進攻作戦」 渚まゆみとのシーン

 

1974年4月27日公開。

全身に夜桜の刺青をした実在のやくざ・夜桜銀次を描いた東映実録映画。

配給収入:4億500万円。

 

原作:飯干晃一

脚本:高田宏治

監督:山下耕作

 

キャスト:

  • 夜桜銀次 : 菅原文太
  • 古田憲一 : 渡瀬恒彦
  • 関本貫一(モデル・山本健一) : 伊吹吾郎
  • 安藤ふさ子 : 渚まゆみ
  • 吉村弘(モデル・山本広) : 津川雅彦
  • 昌子 : 堀越陽子
  • 絹代 : 三島ゆり子
  • 陽子:橘真紀
  • 山地行雄(モデル・地道行雄) : 佐藤慶
  • 海津健三(モデル・伊豆健児) : 渡辺文雄
  • 大浦武吉 : 志村喬
  • 高須有三 : 葉山良二
  • 杉山富太郎 : 内田朝雄
  • 徐甲竜 : 今井健二
  • 河島元哉 : 山本麟一
  • 新庄平吾 : 遠藤太津朗
  • 元達文 : 天津敏
  • 徳田連太郎 : 汐路章
  • 金源昌 : 曽根晴美
  • 木欄隆司:林彰太郎
  • 鹿谷弥助 : 戸浦六宏
  • 坂口勇作 : 北村英三
  • 取り調べ官:穂高稔
  • 大東武司 (モデル・柳川次郎): 室田日出男
  • 郡司正一 : 松方弘樹
  • 石野一郎(モデル・石井一郎) : 梅宮辰夫
 
 
あらすじ:
夜桜銀次こと平尾国人(菅原文太)と、石野組々長・石野一郎(梅宮辰夫)は、愚連隊時代からの兄弟分であった。
昭和三十二年三月、別府市で開催される博覧会の施設の利権をめぐって、新興石野組と旧勢力坂口組が対立した。
銀次は石野が坂口組に狙撃され、重傷を負ったために、坂口組幹部を殺害し、内妻のふさ子(渚まゆみ)を伴って九州を脱出、大阪の柳川組々長・大東武司(室田日出男)の許へ身を寄せた。
そんなある日、パチンコ店で暴れていたチンピラ真三を引きとった銀次は、何かと面倒を見るようになった。
昭和三十三年三月、石野は神戸兵藤組三代目・田岡一雄の盃をうけて若衆となり、兵藤組の力を借りて北九州制覇を企んだ。
しかし、兵藤組七人衆の山地行雄(佐藤慶)、関本貫一(伊吹吾郎)、吉村弘(津川雅彦)、郡司正一(松方弘樹)らに低姿勢な石野を見た銀次は、彼の真意が理解できず、不愉快だった。
急速に勢力を拡大してきた元達文(天津敏)率いる大阪双竜連合会は、大阪市内いたるところで暴虐のかぎりをつくしており、ついにクラブで遊んでいた田岡一雄に徐甲竜(今井健二)ら天竜会組員が喧嘩を売り、兵藤組と双竜会は真っ向から対立することになった。
兵藤組系の柳川組、石野組をはじめとしてえりぬきの精鋭が秘かに大阪に集結した。
そんな時、しばらく消息を絶っていた銀次が現われ、野獣のように双竜会の子分を傷めつけていった。
やがて、郡司が徐を倒したことによって、この抗争も終結した。
元達文が全面降伏をしたのである。
警察当局の厳しい追求から逃れ、銀次は、博多の兵藤組若衆・海津健三(渡辺文雄)の許に身を寄せることになった。
福岡においても銀次は暴れまくった。
鹿谷組々長・鹿谷弥肋の情婦・陽子を横取りし、さらに温厚な高須組々長・高須有三(葉山良二)が後見する運送会社を破壊した。
さらに、鹿谷組の賭場で侮辱をうけた銀次は、賭場を荒しまくった。
そして、恐怖にかられた鹿谷は河島組々長・河島元哉(山本麟一)に助けを求めたため、事態は急変していった。
一触即発の空気が福岡に流れた昭和三十六年一月十六日午前十一時、陽子と一緒に旅行の準備をしていた銀次は、久留米の二人の米田組々員が放った4発の銃弾に撃たれて即死した……。
こうして銀次暗殺事件により史上最大規模といわれた、兵藤組九州進攻作戦の火ぶたが切って落された……。
 
 
コメント:
 
「仁義なき戦い」を執筆した飯干晃一が、本作の原作者となっている。
「仁義なき戦い」シリーズ終了直後に、高田宏次が脚色し、山下耕作が監督した作品。
1950年代から60年代にかけて山口組配下の暴力団の鉄砲玉として勇名を馳せた九州出身の実在のやくざという「夜桜銀次」の生涯を菅原文太が貫禄たっぷりに演じている。
「仁義なき戦い」のシリーズでの制作スタッフとのタッグなので、すべてが順調に撮影されたようだ。
 

キャラクター全員が明確に描かれている高密度映画。

超大作を見たような気分にさえなってしまう。
やっぱり、菅原文太や梅宮辰夫のような顔の良い男たちが、ピストル片手に友情を超えた生き死に掛けた熱演をしていると最高だ。

 
 
 
本作の制作の動機が面白い。

原作は飯干晃一となっているが、飯干の原作本を映画化したのではなく、飯干が夜桜銀次を週刊誌に取り上げた記事をプロデューサーの日下部五朗が読み「夜桜銀次を主人公にしたら面白い」と映画化したものだという。

ただ飯干には原作料を支払ったらしい。

当時はまだ夜桜銀次の名前は極道社会でもあまり知られていなかったという。

役名は微妙に書き換えられているが、内容はほぼ史実に基づく。

 

『山口組外伝 九州進攻作戦』というタイトルについて、田岡一雄山口組組長から「夜桜銀次の事件は山口組とは関係ない事件だから、組の名は使ってほしくない」とクレームを受けた。

しかし、岡田茂東映社長は「映画の題名は、人間でいえば顔や。顔は変えられん。顔が悪いとお客は来てくれん。山口組という名が題名に入ってるから、みんな興味をそそられて来てくれるんやぜ」と話し、徹底した商売人の姿勢を見せてタイトル変更をしなかった。

山口組という名をタイトルに入れるため、田岡満が社長を務めるジャパン・トレードに協力費500万円が支払われた。

しかし映画内の山口組は兵頭組という名前に変えている。

 

ところが、このような話は全部宣伝を狙った東映の戦略で、実は最初から田岡満が企画に参加していて、ネタを探しているとき、夜桜銀次が出て来て、映画化しようとなったという説もあるようだ。

 

実在したらしい一匹狼の夜桜銀次の暴走人生を描く。

死に急いだとしか云い様のない無茶な振る舞いは、やはり戦争で生き残った為なのだろうか。

それにしても警察の存在感の無さはひどすぎる。

ラスト近くの関西からの助っ人たちが偶然の停電で動きがつかずに検挙されるという、まさかの決着だ。

 

実録シリーズの中でも特に異常なテンポスピードで意識が菅原文太に追いつかない。

オープニング5分で兄弟分の梅宮辰夫と菅原文太が苦しみの別離に到達するスピード感はすごい。

 

津川雅彦は、将来山口組三代目組長代行にまで出世する、キレッキレの若頭・山本弘をモデルにした吉村弘を演じている。

当時津川自身まだ34才だったが、なかなか存在感がある。

この人は、子役からスタートして、さまざまな映画に出演していたが、当時は東映の『昭和残侠伝』などの任侠路線に出演しながら、次第に貫禄が出てきていた。

その後は、やくざ映画以外の味のある役柄も演じて次第に格が上がって行く。

 

 

東映の実録路線ここにあり。

公開までにさまざまな逸話があるようだ。

プロデューサーの日下部は、夜桜銀次が舎弟だった大分県別府市の石井組(山口組系)に挨拶にいった時、雪隠詰めにされたという。

「夜桜銀次みたいなチンピラをスター扱いしやがって、書いた奴を連れて来い!」と怒鳴られ、日下部は二日後、東映本社からこのことを知らされた田岡一雄の"鶴の一声"で釈放されるまで、ホテルに軟禁された。

 

脚本の高田宏治も取材で夜桜銀次を知っている人に何人か会ったが、銀次を褒める人は誰もいなかったという。

賭場での行儀の悪いヤクネタ(暴れ者)で、理性なく向かってくるので、やくざたちでさえ当たらず障らずしてにいたのが真相で、チンピラの死が、九州と関西の大戦争の引き金を引いたことで、その名を大きくしたのだろうと述べている。

 

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