「シックス・センス」
(原題:The Sixth Sense )
1999年10月30日日本公開。
人の死が分かるという特殊能力を持つ少年を巡る異色の大ヒット作。
アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞、助演男優賞、助演女優賞にノミネート。
1999キネ旬ベストテン外国映画10位。
世界興行収入:$672,806,292。
監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
出演者:
ブルース・ウィリス、オリヴィア・ウィリアムス、ハーレイ・ジョエル・オスメント、トニ・コレット、
あらすじ:
小児精神科医の第一人者マルコム(ブルース・ウィリス)はある晩、妻アンナ(オリヴィア・ウィリアムス)と自宅にいたところに押し入ってきた、10年前に治療した患者のヴィンセントに撃たれた。
ヴィンセントは彼を撃つと自殺し、この事件は彼の魂に拭いがたい傷を残した……。
1年後。フィラデルフィア。
妻アンナと言葉を交わすこともできず悶々とする日々を送るマルコムは、他人に言えない秘密を隠して生きるあまり心を閉ざした8歳の少年コール(ハーレイ・ジョエル・オスメント)に出会った。
彼の秘密とはなんと死者が見えること。
彼はこの秘密を母・リン(トニ・コレット)にも話せず、友達からも異常者扱いされて苦しんでいた。
やがて、ふたりは心を通わせるようになり、コールはついに秘密を打ち明けた。
死者は彼にいつも何かをさせたがっているというのだ。
吐瀉物で汚れた少女の霊に会ったコールはマルコムに連れられてその少女の葬儀が行われている家へ行く。
霊となった少女はコールに箱を手渡す。
箱の中にはビデオがあり、そこには彼女の母親が少女を毒殺する姿が映っていた。
少女の父親はそれで真実を知った。
死者は彼に自分の望みを叶えてもらうことで癒されるのが望みだったのだ。
ついにコールは悩みを克服し、母リンにも秘密を打ち明けた。
一方、マルコムは妻アンナのことでまだ悩んでいた。
コールはマルコムに、彼女が眠っている時に話しかけてと助言した。
その晩、マルコムは彼に背を向けて結婚式のビデオを見るうちに眠り込んだアンナに話しかける。
彼女は寝言で「どうしてあたしを残して行ってしまったの?」と呟く。
その途端、彼は全てを理解した。
彼はヴィンセントに撃たれた時に死んだのだ。
アンナへの思いとヴィンセントへの後悔の念が死者となった彼をこの世に引き留めていたのだ。
かくして、望みが満たされて癒されたマルコムは天へ召されたのであった。
コメント:
死者が見えるという特別な才能を持った少年によって解き明かされるさまざまな事件。
そて、最後は、ブルース・ウィリスの昇天である。
とても丁寧に作っているな、というのが第一印象。
ラストのどんでん返しが物凄く話題になったが、手品の種と一緒で仕掛けはとても単純。
でもそこに至るまでの作りが丁寧。
ヒッチコック映画を思いおこさせる。
現代的な映像ではあるが、昔ながらの雰囲気を漂わせている。
ブルース・ウィリスがアクションなしでも魅せれることを証明した貴重な作品。
この俳優は、『ダイ・ハード』が売れすぎたため、不死身のアクション俳優というイメージが固定化してしまっている。
だが、実際には、本作や『虚栄のかがり火』や『永遠に美しく』など別のキャラクターも演じている、高い演技力の持ち主だ。
ソフトバンクのCMにも何度も出演して、不死身で、コミカルなキャラクターを披露している。
タイトルの原題は、「The Sixth Sense」。
日本語のタイトル「シックスセンス」は完全な誤りだ。
これでは、6つの感覚となってしまう。
「The Sixth Sense」とは、6番目の感覚という意味だ。
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の5つの感覚に次ぐ別の感覚だ。
通常それを「第6感」などと言い、「勘が働く」ことを指すことがあるが、本作では、もっと限定して殺人や死亡など人間の生死に関する具体的な情景を察知することができる特殊能力を「6番目の感覚」としている。
本作は、公開直後から米国では大ヒットとなった。
これは、米国人の主な宗教であるキリスト教に関係しているからだろう。
キリスト教において最も重要なことは、人間にとって最重要な瞬間は、死に臨んで、自分が救済されて天国に昇天できるかどうかだ。
どんな罪びとも死の間際に神に対して自分自身の罪を認め、許しを乞うことで、誰人も天国に行けるのだ。
そんな人生を送りたいと日々願っているからこそ、この映画で主人公のブルース・ウィリスが昇天できたことに多くの米国人が感動したのだろう。
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映画愛に溢れた、派手なことをしなくても演出と脚本で素晴らしい映画を作れると、改めて観せてくれた傑作。