桃井かおりの映画 「バウンス ko GALS」90年代のコギャルたちの生態を描いた異色作! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「バウンス ko GALS」

 

 

「バウンス ko GALS」

 

1997年10月18日公開。

90年代のコギャルたちの生態を描いた異色作。

佐藤仁美の出世作。

 

受賞歴:

  • 第40回ブルーリボン賞
    • 作品賞
    • 監督賞 原田眞人
    • 新人賞 佐藤仁美
  • 第22回報知映画賞
    • 監督賞 原田眞人
    • 主演男優賞 役所広司 

 

 

監督・脚本:原田眞人

出演者:

佐藤仁美、佐藤康恵、岡元夕紀子、役所広司、村上淳、矢沢心、桃井かおり、万央里、海藤れん 

 

あらすじ:

金曜の午後の東京・渋谷。

コギャルのマル(矢沢心)は、援助交際を装ったヤクザの大島(役所広司)に、売春営業の邪魔になるとホテルで脅され、身分証や携帯電話を巻き上げられてしまった。

マルに泣きつかれたコギャルのリーダー的存在であるジョンコ(佐藤仁美)は、大島のもとに出向くと、彼の求めに応じて援助交際とそれに群がる社会との相関図を解説する。

そしてジョンコは、大島と協定を結ぶことでマルの持ち物を返してもらった。

その協定とは、大島とある種の信頼関係を結び、また金だけ奪って逃げるような荒仕事を控えるというものである。

同じ金曜の午後、家を出て単身アメリカ留学を夢見る帰国子女のリサ(岡元夕紀子)は、出発を明日に控え、資金作りのために渋谷に立ち寄っていた。

ところが、ブルセラショップの店員・サキ(桃井かおり)に紹介されて出向いたビデオ出演のバイトはイカサマで、加えて1年かけて貯めた現金30万円も奪い取られてしまう。

リサにまとわりついていたスカウトのサップ(村上淳)のおかげで現場から逃げられはしたが、このままではアメリカに発つことはできない。

そのバイトに居合わせてリサの事情を知ったラクちゃん(佐藤康恵)は、明日の出発時間までにアメリカでの必要な資金を稼ごうと、ジョンコに協力を求めた。

リサの生き方が新鮮に映ったジョンコは、大島との協定違反を覚悟で、荒稼ぎの仕事をリサにセッティングしてやる。

その夜、ジョンコとリサはサラリーマンの枕探しで14万円を手に入れ、従軍慰安婦設置に関係した老顧客の援助金こそ受け取らなかったものの、差別的な高級官僚を叩きのめしてさらに40万円をゲットした。

そんな時、懲りずにリーマン狩りを続けるマルが逆に襲われ重傷を負う事件が起きる。

それがきっかけとなってジョンコの荒稼ぎは大島の耳に届くところとなり、ラクちゃんを含めたジョンコとリサたち3人は、大島の詰問を受けることになった。

しかし、マルが制裁の生贄だと解釈してやった大島は、14万円だけリサのポケットにねじ込み、3人を無事帰してやる。

夜が明けて土曜日、サップのもうひと働きのおかげで奪われた30万円も餞別を上乗せして戻ってきた。

こうしてリサは、ジョンコとラクちゃんに見送られてニューヨークに旅立っていく。

見送るふたりと、そしてリサの目には、涙がいっぱいに溢れていた。

 

 

コメント:

 

渋谷のコギャルたちの生態を描いて、「あーあ、なんて世の中になっちまったんだろう」「若い子たちは、こんなにひどいことになっちゃって、これからどうするんだよ」という見せ方をしておきながら、いつのまにかぐいぐいと観客を引き込んで、ラストには、正統的と言っても良いような青春映画に仕立てあげてしまう。

原田眞人監督の力量の大きさをずしりと感じさせる映画。

 

夢や希望なんて20世紀を生きた人たちが作った死語だ。
大人と子供の間にいる十代は現実を直視する。

直視してしまう。
子供の頃のようにもう守ってもらえない。
大人のように社会人としての常識を知らない。
常識とは、18歳までに身につけた偏見のことを言う、とアインシュタインは言っている。


世紀末へと向かう日本にそんなコギャルが生まれたのは当然の産物であったと再確認できる映画。
世界が不吉な方向へ向かっていることに彼女たちは敏感だ。
それでも、笑って生きようとする彼女たちは、面白い。

 

ルーズソックス、ガングロ、援助交際、そしてコギャル、90年代の女子高生はかなりブッ飛んでいた。
そして同じくブッ飛んでいてモラルが欠如していたのは親父たちも一緒だった。
今でも援助交際はパパ活と名を変えて行われているし、あの頃に比べると問題が表面化しにくくなっただけで、実態はあまり変わっていないのかもしれない。


ジョンコがヤクザの大島に語った「1万円あげるからキスさせてと言われて、嫌だから100万円ならキスさせてあげると答えるのが子供の発想。大人に常識があればここで話は終わるんだけれど、じゃあ100万円払いますとなってしまう。そういう世の中は私たちからしたらちょっと怖いです」という言葉がとても印象的だ。

これって実話かも。

 


大人にモラルがないから女子高生の非常識が罷り通ってしまう。

もちろん大人をなめてかかる女子高生にも問題はあるのだが、一番悪いのは彼女たちを食い物にしようとする大人たちだ。
人生は一度きりしかない。

大人になってから青春時代にああしておけば良かったと悔やむことは数知れないが、だからと言って青春時代に弾けきれなかった思いを晴らすように、いい年をした大人が女子高生に手を出すのはどう考えても間違っている。

最近はSNSを通して似たようなことをやっている不届きなおじさんたちが暗躍しているのだ。

 

主役のジョンコを演じた佐藤仁美の出世作。

本作で、ブルーリボン賞新人賞、キネマ旬報新人女優賞、翌年のヨコハマ映画祭の最優秀新人賞を獲得している。

現在のふてぶてしいイメージとは異なり、青春真っただ中の初々しさが一杯の素晴らしい演技だ。

 

90年代に流行した「コギャル」をテーマに、都会の渋谷などにに生息する人間たちの生態を描く異色作。

役所広司はやくざが似合っていて、迫力がすごい。

ブルセラショップの店員を演じる桃井かおりも大人のいやらしさを醸し出してなかなか良い感じ。

 

「ブルセラショップ」とは何か。

良く知らない真面目な大人の人に情報提供:

ブルセラとは、ブルマーとセーラー服の混成語(造語)である。

ブルセラショップは、女子高生の中古の制服や体操服、ソックスなどを取り扱う店舗である。 

この店は、単に制服を販売する制服販売店や体操服等を販売するスポーツ用品店とは異なる。

通常は、新品ではなく、着用済み衣類である。

 

渋谷ブルセラショップスエラ/使用済み下着と中古高校制服の買取販売

 

「ブルセラ」の語源であるブルマーやセーラー服のみならず、体操着やブレザーの制服や、水泳授業で用いられるスクール水着(ハイレグ型競泳水着を含む)・水着インナーが販売される。

また、これらの学校教育機関で用いられる衣類のみならず、日常生活で女子中高生が着用するショーツ・ブラジャーなどの下着(糞尿などのシミ付き)や、ルーズソックスなどの靴下、スニーカーや上履きなどの靴、普段着や外出着などの衣類も販売されるという。

 

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