有馬稲子の映画 「はだかっ子」 昭和30年代を生きる少年の姿を通した感動作品! 教育とは何だ? | 人生・嵐も晴れもあり!

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「はだかっ子」

 

 

1961年11月22日公開。

昭和30年代の少年の姿を通した感動の社会派映画。

キネマ旬報ベスト・テン第8位。

 

脚本:成澤昌茂

監督:田坂具隆

 

キャスト:

  • 高木先生:有馬稲子
  • 三浦元太:伊藤敏孝 
  • 三浦およし:木暮実千代
  • 尾沢おじさん:三國連太郎
  • 尾沢おばさん:小宮光江
  • チンドン屋の親方:千秋実
  • 沖山後援会会長:織田政雄
  • 新一の父:増田順司
  • 章の父・吉井PTA会長:神田隆
  • 高木先生の父・庄平老人:東野英治郎
  • ひとみの姉みどり:八代万智子
  • 産婆のおばさん:岡村文子
  • おばあさん:五月藤江
  • 虎雄の母:山本緑
  • お君:菅井きん
  • 章の母・吉井夫人:風見章子
  • 藤岡先生:織本順吉

 

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あらすじ:

三浦元太は小学校六年生。

父がインドネシアで戦死したため、チンドン屋の三味線弾きやニコヨンをやっている母・およしと二人で、十三軒長屋の屋根裏に住んでいる。

貧しい生活にもめげず元太は明るく元気一杯だ。

元太達は秋子先生の案内でユネスコ村へ写生に行った。

元太は母にみせようと、父の戦死したインドネシアの家を一心に描く優しい少年でもあった。

級友久雄の犬が犬殺しに捕えられそうなのを見て、勇敢に犬殺しに向かっていったり、仲の良いひとみが腕白坊主にいじめられているのを助けたり、少年らしい正義感の持主でもあった。

同じ家に住む江戸っ子肌の大工、尾沢おじさんとおばさん夫婦はそんな元太が可愛くてならず、何かとこの親子の世話をやいていた。

秋子先生もこんな元太が大好きである。

無理なニコヨン労働が続いて母のおよしが病気になってしまった。

そんな頃、親子討論会が開かれた。

生徒からPTAへ、PTAから生徒へそれぞれの意見を述べる会であるが、元太は委員に選ばれてしまった。

元太は腕っ節には自信があるがこういう席場での発言は大の苦手である。

だが討論会は元太の勇気ある発言で俄然白熱化した。

競輪ボス・沖山後援会長が選挙にからんで長屋に住むお君さんをいじめたことを元太が暴露したからである。

個人攻撃と怒った沖山は校長先生、秋子先生に喰ってかかった。

秋子先生は今日の発言が全て子供達自身で考えた正しい意見であると主張した。

だが、沖山には元太の発言には誰か黒幕があると思い、長屋におよしを訪ね彼女をせめた。

およしはかつて沖山の世話になるという暗い過去があった。

それから数日後修学旅行の日が来た。

母が病床にあるため元太は旅行をあきらめ積立金を生活費に廻した。

仲良しのひとみも旅行には行けなかった。

二人は遊園地で一日を遊び廻り、二人だけの修学旅行と喜んだ。

いつか夏が過ぎ、秋がやって来た。

元太は八百米リレーの選手として、アンカーを受け待った。

リレーは元太の力走によって優勝した。

その喜びを母に知らせようと一目散に我が家へ帰った元太は、母親およしの危篤状態を知った。

「がんばれ母ちゃん、目をあけておくれよ母ちゃん」と元太の母を呼び戻す必死の叫びも空しく、母はおじさん、秋子先生に見守られて息をひきとった。

元太はその通夜の晩失踪した。

秋子先生は、元太の父がインドネシアで戦死したことを思い、ユネスコ村のインドネシアハウスに向かった。

元太はこの家で思い切り泣いていた。

元太は尾沢おじさん夫婦と暮すことになった。

すっかり秋めいた並木道を、元太は元気一杯校門めがけて走っていくのだった。

 

はだかっ子』 : フリーダム ルーム

 

コメント:

 

戦後の貧困家庭、米軍基地、競輪場。

昭和30年代に、こういう複雑な環境の中で生きていた子どもがいたということを現代人に伝えている貴重な作品である。

貧困、差別、戦争、平和、大人への信頼といった、普遍的なテーマを子供の世界を中心に描いている。

 

主人公の少年・元太を演じた伊藤敏孝がなんといっても良い。

シングルマザーの母と二人で生きようとする健気な姿は、清々しい。

最愛の母を亡くして泣きじゃくる姿は、涙なしには見れない。

 

元太の先生役の有馬稲子が素晴らしい。

彼女の演技はすでに円熟の域に達し、役の幅も更に広がっている。

学校の先生役というのは有馬稲子には珍しい役柄だが、こういう姿も実に良い。

観る者を納得させる。

 

いつもはマダムや芸者などを演じている印象が強い木暮実千代。

その彼女が、本作では元太の母・およし役で、顔を黒く塗って、土方もやるシングルマザーを完璧に演じている。

さすが名女優である。

 

はだかっ子 : ねこむすめのブログ

 

少年の伯父を演じる三國連太郎。

怪優と呼ばれたこの人にしては落ち着いた人間味ある芝居になっていて、心がほのぼととする。

この独特の味わいも三國連太郎ならではのものだ。

 

序盤では教える側だった教師が、子どもに教わる側へと変化していく。
子どもへの道徳だと思ったら、大人への道徳映画なのだ。
教育とはなんだろうと考えさせられる。

 

今の先生方にぜひ観てもらいたい。

モンスターペアレントと言われる子供の教育の基本がわかっていない親たちも必見だ。

先日の大ヒットドラマ『ドラゴン桜』も、先生や親に見せたい内容だったが。

 

人生の指針となるような内容がはっきり見て取れる。

このような作品をどこかで集中して特集すべきではないか。

ネットでも、地デジでも、BSでも。

とにかく今面白ければそれで良いという刹那的な快楽志向の低俗番組が多すぎる日本。

これを変えて行こうという、真面目で前向きな人たちがもっと前に出るべきだ。

 

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