グレゴリー・ペックの映画 「パラダイン夫人の恋」 グレゴリー・ペックが恋に落ちる異色サスペンス! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「パラダイン夫人の恋」

(原題:The Paradine Case

 

 

「パラダイン夫人の恋」 全編(英語)

 

1947年12月31日米国公開。

1953年2月19日日本公開。

ヒロインに夢中になる弁護士・グレゴリー・ペックが見られる異色作。

興行収入:$2,100,000。

 

脚本:デヴィッド・O・セルズニック、ジェームズ・ブリディ

監督:アルフレッド・ヒッチコック

出演者:

グレゴリー・ペック、アリダ・ヴァリ、チャールズ・コバーン、アン・トッド、ルイ・ジュールダン、チャールズ・ロートン、

 

あらすじ:

英国の名門パラディーン家の未亡人マッデリーナ(アリダ・ヴァリ)は、突然、夫を毒殺した嫌疑で起訴された。

1946年の春のことである。

アッデリーンは類まれな美貌の持ち主で、戦傷を受けて盲になった夫パラディーン大佐に献身した良妻として知られていた。

だが、ある日、パラディーン大佐が何者かに殺害され、その真相は謎を秘めたままになっていた。

夫人は知己のシモン・フレイカー卿(チャールズ・コバーン)に弁護を頼んだが、卿は自分の友人で若くて敏腕な弁護士アンソニー・キーン(グレゴリー・ペック)を推薦した。

キーンの妻ゲイ(アン・トッド)は貞淑な女で、夫にこの事件を担当するよう勧めるのだった。

キーンは初めてパラディーン夫人に会ってその美しさに心を奪われ、彼女の無罪を信ぜずにはいられなかった。

キーンは調査を進めるうちに、パラディーン家の家令アンドレ・ラトゥール(ルイ・ジュールダン)がこの事件に関係あることを知った。

パラディーン家の別荘だったヒンドレイ荘にラトゥールを尋ねたキーンは、ラトゥールが口をきわめてパラディーン夫人を罵るのを聞いて、職責を忘れて彼と言い争った。

キーンはこのいきさつを夫人に告げたが、夫人はただラトゥールを巻きぞえにするなというだけだった。

ゲイは夫がパラディーンにひかれていることを知っており、彼がそのために弁護をしくじりはしまいかと気づかった。

いよいよ公判が開始され、老裁判長ホーフィールド(チャールズ・ロートン)も夫人の美貌に魅せられたようだった。

キーンはラトゥールにパラディーン大佐の死因は自殺だと証言させようとしたが失敗した。

夫人は再びキーンにラトゥールをかばうよう忠告したが、彼にとってはラトゥールに殺人の罪を負わせる以外に夫人を救う道はなかった。

2回目の公判でキーンはラトゥールの自殺幇助をひき出そうとして失敗し、かえって追いつめられたラトゥールはパラディーン夫人との情事を自供してしまった。

そして退廷後間もなく自殺を遂げた。

これを聞いた夫人は、ついに夫を毒殺したと自白した。

夫人はラトゥールに駆け落ちを迫って拒まれ、夫を亡きものにしたのだ。

弁護に失敗し名誉を失墜したキーンはフレイカー卿の家に身をかくしていたが、やがて愛妻ゲイに暖かく迎えられた。

 

 

コメント:

 

ヒッチコックの作品ながら、ヒッチコックのサスペンス標準からは最も遠い作品といわれる。
前半ではまだヒッチコック節が感じられる。

パラダイン夫人の邸宅の陰影はレベッカを思わせ、、ラトゥ-ルの登場場面はサイコのノーマン・ベイツの様だ。  

だが、後半の裁判に入ってからは事件に関する証言が延々と続き、途中から結末も見えてしまって非常に残念。

 

キーン(グレゴリー・ペック)がパラダイン夫人(アリダ・ヴァリ)に惚れてしまい、彼女を無罪にしようとムキになればなるほど空回りしている様子がおかしい。

ヒッチコック作品は基本的に犯人に感情移入しないように作られているが、この作品は唯一の例外と言えるかも。

ラトゥールに言わせれば”悪魔の化身”であるパラダイン夫人。

この点は新しい。

 

 

実は、この作品のパラダイン役はグレタ・ガルボがやるはずだったという。

グレゴリー・ペックも「紳士協定」をほぼ同時に撮影して手一杯だった。

ヒッチコックは60年代が豊作期で、『山羊座のもとに』と『パラダイン夫人の恋』は監督自身の停滞期にあたり、最も成功しなかった珍しい作品との評価が多いが、たまにはこういう異色の作品があっても良いのではないか。


冒頭から画面いっぱいのアップで登場するヒロインがアリダ・ヴァリ。

スクリーンに負けない堂々とした美しさには目を奪われる。

それにしてもパラダイン夫人は美しく気高かい。

当時26歳。

若さは年齢相応だが、この落ち着きはハンパない!

 

Image gallery for The Paradine Case - FilmAffinity

 

アリダ・ヴァリは、クロアチア出身の女優で、本作によって一気に知名度を上げた。

この後彼女は、大ヒット作『第三の男』でのヒロインや、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した『かくも長き不在』でのヒロインを演じている。

 

そして敏腕弁護士を演じるグレゴリー・ペック。

何といってもそのイケメン振りが際立つ。


夫人の愛人と疑われる召使いを演じてるルイ・ジュールダンというフランス出身の俳優も、ちょっと野生的でとてもチャーミングだ。
この俳優は、1921年にフランスのマルセイユで生まれた。

フローベールの名作を映画化した『ボヴァリー夫人』や、エリザベス・テイラーの恋人役を演じた『予期せぬ出来事』などにも出演し、存在感を示した。



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