有馬稲子の映画 「波の塔」 松本清張原作のミステリー映画! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「波の塔」

 

 

「波の塔」 プレビュー

 

1960年10月30日公開。

松本清張原作のミステリー映画。

 

原作:松本清張「波の塔」

脚本:沢村勉

監督:中村登

出演者:

有馬稲子、津川雅彦、南原宏治、桑野みゆき、岸田今日子、石浜朗、峯京子、二本柳寛、沢村貞子、西村晃、佐藤慶、佐野浅夫、関千恵子

 

もず(60点) - 冬堂響樹の死ぬまでシネマ

 

あらすじ:

某省局長の娘・田沢輪香子(桑野みゆき)は、旅行先の上諏訪で一人の青年に知りあい、帰京して友人佐々木和子(峯京子)と深大寺に出かけた時、美しい女性と同伴の彼に再会した。

青年は小野木喬夫(津川雅彦)という東京地検の新任検事だった。

連れの女性は結城頼子(有馬稲子)といい、小野木とは一昨年演舞場で知りあってから、逢瀬を重ねていた。

小野木は頼子を輪香子たちに紹介しなかった。

輪香子は小野木と頼子の二人の間になにか暗い秘密の影を感じた。

頼子の夫・結城庸雄(南原宏治)は政治ブローカーで、夫婦間は冷く、結城は家を空けることがしばしばだった。

ある日、頼子と小野木は身延線の下部温泉へ旅行した。

着くと間もなく台風に襲われ、帰りの中央線は不通、二人は東海道線に出るため山道を歩いた。

二人は番小屋で一夜を明かした。

そこで頼子は人妻であることを告白した。

だが、喬夫の心は変わらなかった。

小野木は某官庁の汚職事件の担当になった。

所用で新潟へ出張して帰京する小野木を頼子は駅で迎えた。

それを仲間の吉岡(佐野浅夫)が目撃し、結城に告げた。

結城は妻の情事を察し下部まで調べに出かけた。

一方、汚職事件の捜査は着々と進んでいた。

輪香子は頼子のことが気になり、家に出入りする新聞記者・辺見(石浜朗)に調査を頼んだ。

頼子が汚職事件の中心人物・結城の妻で、父も関係していると聞き呆然とした。

結城は妾宅で検挙された。

家宅捜査のため小野木は結城邸へ向った。

そこで頼子と小野木は対面した。

二人の心は驚きと悲しみで一杯になった。

結城の弁護士・林(西村晃)は小野木と頼子の情事を調べ、司法界の長老を動かして事件の揉み消しにかかった。

小野木は休職になった。

彼は辞表を出し、頼子と二人だけの生活に入る決心をした。

約束の夜、小野木が東京駅で待っている頃、頼子は新宿発の列車に乗っていた。

結城と離婚して自由の身になることも頼子にはできた。

だが、それは破滅に通じることも知っていた。

小野木との約束を破ることは彼女の最後の愛の表現だった。

富士の裾野--黒い樹海の中に頼子の姿は、しだいしだいに吸いこまれていった。

 

 

コメント:

 

「点と線」、「ゼロの焦点」など多くの推理小説で有名な松本清張の原作を映画化。

当時まだ20歳だった津川雅彦と、有馬稲子の不倫を中心に展開されるミステリードラマ。

津川雅彦がある汚職事件の担当検事で、その事件の重要参考人として逮捕されたのが不倫相手・有馬稲子の夫だったというストーリー。

松本清張らしく、男女の恋愛と事件とを同時並行的に描いて、当事者の苦悩をクローズアップする展開となっている。

 

 

結局重要参考人の家宅捜索で津川の愛人を見た瞬間から津川が動揺してしまう。
その後、愛人の有馬稲子は、夫が退職したことから、不倫相手である津川との道行きの直前まで行くが、悪いことをいていると気づき、津川の身の破滅を避けるべきと決断する。

そして彼女は津川とは会わず、一人で樹海に向かう。

悲しい最期を描く松本清張ならではのラスト。

 

有馬稲子の暗い表情と明るい表情との落差が際立つ素晴らしい演技が光る。

さすが、中村登監督である。

じっと見つめる有馬稲子のシーンは、ゾクゾクするような美しさだ。

この映画は、彼女の代表作の一本といって良いであろう。

松本清張のこの手のドロドロ話を、暗くじっとり描くことは、時代という面もあるが、今の日本の俳優、監督では無理ではなかろうか。

 

 

中村登監督は、多くの人気作品を演出した名監督。

代表作は、「愛染かつら」、「紀ノ川」、「古都」、「智恵子抄」など。

 

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