「人生の特等席」
(原題: Trouble with the Curve)
2012年11月23日日本公開。
野球スカウトマンの父と娘との和解を描く感動スポーツ作品。
興行収入:$48,963,137。
脚本:ランディ・ブラウン
監督:ロバート・ロレンツ
出演者:
クリント・イーストウッド、エイミー・アダムス、ジャスティン・ティンバーレイク、ジョー・マッシンギル
あらすじ:
多くの名選手をスカウトしてきたメジャーリーグのやり手スカウトマンであるガス(クリント・イーストウッド)は、老いた今でも目と耳を武器に自分の感覚を信じる昔気質の頑固者だ。
球団との契約期限が迫る中、球団からはその手腕を疑われ、パソコンを屈指する若手スカウトマンには見下されるが意に介さず、スカウト対象のドラフト注目選手ボー(ジョー・マッシンギル)のもとへ一人向かう。
そんなガスを心配する上司でよき友人でもあるピートが、ずっと疎遠になっていたガスの一人娘のミッキー(エイミー・アダムス)にガスの手助けをするよう頼む。
その頃ミッキーは、弁護士としてのキャリアを着実に積み、勤務する法律事務所ではまさに出世がかかった大事な時期にあった。
一度はピートの頼みを断るが、ガスの眼に異常があること知り、ガスの後を追う決心をする。
いよいよドラフトというとき、ガスはミッキーの助けを借り、ボーはカーブが打てない欠陥があることを確信し、球団に報告。
ジョニーにもそのことを話すが、球団はガスを信用せずボーをドラフトで指名、獲得し、ジョニーはガスたちに騙されたと誤解してしまう。
ところが偶然ミッキーが見つけてスカウトした少年によりボーの欠陥が発覚し、ガスとミッキーのスカウトとしての力量を球団に再確認させることになった。
その結果、ガスは球団から契約更新のオファーを受けることができ、ミッキーもジョニーと仲直りすることができた。
そしてミッキーは、幼い頃父のガスとスカウトの旅で一緒に過ごしたような自分の居場所「特等席」に帰ることができたのだった。
コメント:
表面はスポーツ・ドラマだが、内容は、長期間疎遠になっていた父と娘の心の交流の復活を描くヒューマン・ドラマだ。
目を悪くした野球の老スカウトに扮するイーストウッド。
その娘で、女流弁護士の卵・ミッキーに扮するのが、エイミー・アダムス。
小さい時に父親に拒絶されたと思いこんでいる娘だが、やはり心の奥底では父親を憎みきれず、父親の仕事を誰よりも理解し、長年付き合いのある仕事上のパートナーが自分のことを信じきれなくても、父にだけは心がまだ少し通じ合っている。
父親も娘に対して心の奥底に秘めているわだかまりを持ちながらも、一貫して娘を愛していることだけは画面を通じて伝わってくる。
その二人がどんな形で和解するかというのが見どころの一つなのだが、思わぬところから一気に展開していく。
この作品、小さなところも見逃さずしっかりと観ておかないといけない作品だ。
最後は、この父と娘がしっかり和解して、将来に向けて互いに前を向いて生きて行こうとする。
娘が弁護士の道を止めて、野球のスカウトに転身し、父とタッグを組んで一緒に仕事する未来が暗示されている。
愛する娘が、自分の仕事を継いでくれるとは!
涙なしではエンディングが見られないかも知れない!
なんと、この時のイーストウッドは82歳。
色気もある。こんな82歳、驚異である。
野球のスカウトの世界も、データ野球の時代になっているので、パソコンが使えない老人のスカウトは引退もやむなしだが、耳と目でベテランの勘の方が優れていると頑固に自流を貫くイーストウッド。
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