藤純子の映画 日本女侠伝シリーズ 第3作 「日本女侠伝 鉄火芸者」 舞踊「保名」を踊る藤純子! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「日本女侠伝 鉄火芸者」

 

 

「日本女侠伝 鉄火芸者」 予告編

 

1970年8月1日公開。

日本女侠伝シリーズ第3作。

 

脚本:笠原和夫

監督:山下耕作

出演者:

藤純子 、 菅原文太 、 佐々木愛 、 弓恵子 、 伴淳三郎 、 曽我廼家明蝶 、 高宮敬二 、 安部徹 、 藤山寛美 、藤岡重慶、  山下義明


 

 

あらすじ:

子供のころ見ず知らずの通りすがりの男から受けた恩が忘れられず、十年たった今でもその男のために操を立て通している辰巳芸者小しず(藤純子)。
彼女が、その男・小林勇吉(菅原文太)に会ったのは、年に一度行なわれる羽織会の留めを毎年勤めていた先輩・仇吉(弓恵子)に代わり、自分が内定したことを、小しずが父親のように慕う米問屋・浅井喜一郎(曽我廼家明蝶)に報告しにいった時のことだった。
勇吉は浅井のもとで荷揚げの組頭として働いていたが、やくざ、刑務所とすさんだ生活を渡り歩いて来た勇吉には小しずの記憶はなかった。
一方、仇吉の旦那で米穀業・安川重平(安部徹)は義心会の総長・竹上(藤岡重慶)や政界の黒幕と手を組み、悪どい商法で私腹を肥やしていた。
これに反対する浅井は急場の策として朝鮮米を買いつけるが、安川の工策により、政府の命令で朝鮮米は陸揚げ禁止となる。
浅井の窮地を見かねた小しずは単身政界の大物・牧浦奇堂伯爵(伴淳三郎)の還暦祝の席に出むき、米の一件を懇願する。
さしもの奇堂も小しずの一途な態度に感銘し、解決に乗り出したため待望の朝鮮米が陸揚げされ浅井の窮地は救われたが、発売を明日に控えた夜、突如、義心会の放った火により米蔵は炎上してしまう。
駆けつけた浅井は義心会の手によって闇討ちされ、必死に消火につとめた勇吉らの努力も空しく全焼してしまう。
羽織会の当日、一心に“保名”を舞う小しずを見まもる勇吉に浅井の死が知らされた。
怒りに燃えた勇吉は単身、安川めがけて殴りこんでいった。
 
 
コメント:
 
日本女侠伝シリーズ第3作。
 
藤純子は芸者役。
場所は東京深川で、コメの買い占めを目論む安部徹が敵役。
藤純子の相手役は菅原文太。
10年前に藤純子(小しづ)の芸者がまだお酌の時に、身を投げようとして助けられた板前の菅原文太(小林勇吉)に貰った「不動尊のお守り」を大事に持ち「男嫌いの芸一筋」と呼ばれる深川の辰巳芸者になって、文太と再会する。
藤純子と菅原文太は、お互いに恋い焦がれているが、世話になっている旦那・曾我廼家明蝶への義理の為、思いを伝えられない。
 
菅原文太は、高倉健の男らしさに比べて、少し陰のある役柄が似合う。
そういう点では、惚れているがその思いを伝えられないというこの役柄はぴったりだ。
それに文太は姿勢がとてもいいので、立ち姿が美しい。
藤純子とのコンビは、「緋牡丹博徒」でも経験済みだが、相性はいい。

菅原文太の最後の殴り込みに、藤純子が舞台で「保名(やすな)」を踊る場面とをカットバックするのは、第1作と同様の手法。
「保名」とは、許婚に先立たれた若き陰陽師(おんみょうじ)・安倍保名(あべのやすな)の舞踊の名前で、その業界では有名なようだ。
陰陽師とは、安倍晴明で有名な、占い師と天文学者を合わせたような職業。 

陰陽師といえば、当時の科学・医学のエリート。  
そんなエライ人でも大失恋するとこんなふうに気が触れてしまう・・・
頭には紫色の布(はちまき)、手には笹を持つ姿。  
紫色のはちまきをしている人は、病いに犯されているという歌舞伎の約束事。  
また、笹も気が触れていることの象徴。  
そんな姿で、恋人のまぼろしを追って、菜の花が咲き乱れる野辺をさまよう「保名」を描いている舞踊である。
 
保名
本作のラストで「保名」を踊る藤純子が美しい。
 
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