勝新太郎の映画 「悪名一番勝負」悪名シリーズ第15作 豪華俳優陣でマキノ雅弘が演出した新・悪名! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「悪名一番勝負」

 

 

1969年12月27日公開。

悪名シリーズ第15作。

 

 

脚本:マキノ雅弘 、 宮川一郎

監督:マキノ雅弘

出演者:

勝新太郎 、 江波杏子 、 安田道代 、 田村高廣 、河津清三郎  、津川雅彦 、 小川眞由美 、 山本学 、 辰巳柳太郎 、水島道太郎 、内田朝雄 、金子信雄 

 

 

あらすじ:

朝吉(勝新太郎)は、大西(河津清三郎)の賭場で暴れ、長屋の住人たちの用心棒になった。

そこへ放れ駒の政吉(田村高廣)が旅から帰ってきた。

朝吉は、大西の賭場で負けた。

旅の女賭博師おりん(江波杏子)が、いかさまを見破って金を返したが、朝吉は受け取らなかった。

大西は、花島の縄張りに新設される貨物の停車場の荷役の権利を狙って、関西鉄道の島田常務(内田朝雄)を抱き込み、花島を潰すため朝吉を子分にしようとしたが、朝吉は断わった。

花島卯之助(山本学)は渡世のことは何も知らず、代貸の白石(水島道太郎)が組を仕切っていた。

白石も大西へ色目を使っていて、花島の女房お妙(小川眞由美)だけが気をもんでいた。

遂に長屋の測量を始めたので、住人たちは騒然となった。

その頃朝吉は、河内の親分・河徳(辰巳柳太郎)を訪ねて助力を頼んでいた。

朝吉に心を寄せるやとなのお浜(安田道代)は、長屋を救うため、大西の女になる決心をしたが、なぜかおりんが助けた。

そんな折、朝吉の弟分・仙次(津川雅彦)がトラックにひかれて川に流された。

それを見舞った花島は帰途、大西の許を訪ね、話をつけようとしたが、白石に斬られた。

それを知った政吉は、殴り込みをかけたが、古傷の眼が痛みだし、何も見えず、大西の子分に斬り殺された。

怒った朝吉は長屋を飛びだしたが、おりんが立ちはだかり、朝吉を傷つけて止めた。

しかし、朝吉は傷をおさえ、大西の家に乗り込み、白石を斬り、大西を追いつめると、長屋の連中のために誓約書を書かせた。

 

 

コメント:

 

本作は、当時東映の大御所だったマキノ雅弘の手に監督&脚本が移り、朝吉の相棒役・清次も廃止された。

時代も前作までの戦後から戦前に戻って、完全に別のシリーズの作風になった。
コミカル要素もなくなり、終盤になるに従ってシャープな演出をみせ、まるで東映の任侠映画のようになっている。

 

 

本作は、悪名シリーズ最大の豪華俳優陣で構成されている。

新国劇の大御所・辰巳柳太郎を筆頭に、江波杏子 、 安田道代 、 田村高廣 、河津清三郎  、津川雅彦 、 小川眞由美 、 山本学 、 水島道太郎 、内田朝雄 、金子信雄という俳優たちが集結した。

個人的理由で大映を離れた子分の清次を演じていた田宮二郎の穴を埋めるには十分すぎる陣容となっている。

 

 

すでに大映で人気を博していた「女賭博師」シリーズの江波杏子が女賭博師役で登場。
大映の「兵隊やくざ」シリーズで勝新太郎とコンビを組んでいた田村高廣が、系図に詳しい(目が見えず酒に溺れた)ヤクザという役どころで出演している。

 

 

長屋の住人たちには、以下のメンバーが登場。
安田道代(芸者)…明るく可愛らしくてとても魅力的で、朝吉と田村高廣と三角関係に。
津川雅彦(ドモリの仙次)
金子信雄(朝鮮人)
芦屋小雁

 

 

これまでの「悪名」シリーズと色合いが違い、おそらく時代もだいぶ遡っていて、戦前かも?

長屋の人々も和服がほとんどだ。
「悪名」シリーズとしては清次の欠けた物足りなさはあるが、マキノ監督作品ならではの女優陣の魅力と抒情、賑やかな長屋の人々の描き方など、見どころも多い作品になっている。
ラストの殴り込みでは、朝吉がドスを振り回して何人も刺したり、黒幕に「死んでもらうしかないな」と言うセリフも。

やっぱり本作はこれまでの「悪名」シリーズとは別物だ。
マキノ雅弘監督作品として楽しむ作品。


 

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