勝新太郎の映画 悪名シリーズ 「悪名幟(のぼり)」 足を洗おうとした朝吉がラストで悪名魂を爆発! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「悪名幟(のぼり)」

 

 

1965年5月1日公開。

悪名シリーズ第10作。

悪名コンビが大阪に戻って大暴れ。

 

 

脚本:依田義賢 

監督:田中徳三 

出演者:

勝新太郎 、 田宮二郎 、 水谷八重子 、 ミヤコ蝶々 、 佐藤慶 、 島田竜三 、 内田朝雄 、 千波丈太郎 、 水谷良重


 

 

あらすじ:

大阪へ舞い戻った朝吉(勝新太郎)は“悪名”の足を洗う決心で、清次(田宮二郎)との別れの宴を“びっくり鍋”という小料理屋で開いた。

宴も終り、朝吉は有り金をはたいて清次の旅費として与え、宴の払いは“びっくり鍋”で働いて払うと申し出た。

これに同情したその店で働くお米(水谷良重)は、稼がせてやろうと朝吉を女ばかりの賭場へ案内した。

ここで朝吉は町工場の女社長・お政(ミヤコ蝶々)を相手に百万以上の大金を勝ち取った。

窮したお政は、小切手を乱発した。

だが、これを使えば小切手は不渡りになり、工場はつぶれてしまう。

これを知った朝吉は、胴元・遠藤(佐藤慶)に取りたての延期を頼んだ。

しかし、遠藤はこれを拒否した。

困りはてた朝吉は、賭場の元締・春田正太郎(内田朝雄)というこの土地の親分に話を持ちこんだ。

ところが意外にもこの親分というのが“びっくり鍋”のおやじでお米の父であった。

清次を送りだした朝吉は翌朝正太郎に直談判した。

正太郎も一旦はどなりつけたものの朝吉の男気にほれて、小切手はそのままお政に帰された。

そしてお米といい仲になった朝吉はこの土地でラーメン屋の屋台店を出した。

 

 

だが、これを面白く思わない遠藤は、お政をだまして、工場を抵当に借用書を書かせる一方、身内の中津組にたのんでいやがらせをはじめた。

ところがこの用心棒の一人は、故郷へは帰らず、今では中津一家のいい顔になった清次であった。

この関係を知った遠藤は清次を痛めつけた。

一方正太郎はこんな遠藤の非道ぶりをとがめ、達藤を破門した。

窮地にたった遠藤は、正太郎を殺し、お政の息子・健太郎を誘拐して朝吉を脅迫した。

朝吉は工場の権利書と引きかえに健太郎を取り戻すと、“悪名”の血を爆発させ、かけつけた清次と共に遠藤と中津(島田竜三)を打ちのめした。

二人はまたしっかり手をにぎり合った。

 

 

コメント:

 

悪名シリーズ第10作。

大阪に戻ってきた朝吉(勝)と清次(田宮)の悪名コンビが、昔よく行った道頓堀のびっくり鍋屋を訪れるところから始まる。

このびっくり鍋屋の店の主人でこのあたりの親分に内田朝雄。

その娘でやがて朝吉に惚れるお米に水谷良重。

 

 

水谷良重は「悪名」シリーズの第1作から「琴糸」役で何度が出演したが、今回は全く趣の違うちゃきちゃき娘役だ。

いろいろあった後で、朝吉とお米は良い仲になる。

 

 

大阪のビル群を背景に朝吉&清次が立つオープニングシーン。

ここは、梅田のスクランブル歩道橋当たりか。

戦前の第1・2作、戦後の焼け跡から始まる第3作だったが、ここへきてもうだいぶ時代が変わっていることに気付かされる。

近代的なビル群と朝吉の着流しが似合わなくて違和感を感じる。

本作では昔堅気の渡世を理解しない金儲け第一の若い世代との対立が描かれる。

朝吉&清次もしだいに時代に合わない存在になってきているということかも知れない。

びっくり鍋屋で「悪名」の解散式をする朝吉の気持ちが理解できる。

 

 

メインタイトルの画と音楽が、初期のものに戻った。

朝吉が殊勝にも堅気になろうとして清次も田舎に帰そうと努力するが、結局は元の木阿弥というストーリー。
びっくり鍋の親分の内田朝雄は貫禄がある。

本作で最もワルは、佐藤慶が憎々しく演じる胴元・遠藤だ。

ストーリー的に古い体質の極道に戻っており、原点回帰を図ったようだ。

このシリーズは16作まで続くので、ここで原点回帰して、もうひと踏ん張りしようとしたのだろう。

 

 

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