「ファイヤーフォックス」
(原題:Firefox)
1982年7月17日日本公開。
ソ連の最新戦闘機を奪取する作戦を描くイーストウッドの監督・主演作品。
興行収入:$46,708,276。
脚本:
アレックス・ラスカー
ウェンデル・ウェルマン
監督:クリント・イーストウッド
出演者:
クリント・イーストウッド
フレディ・ジョーンズ
ウォーレン・クラーク
ナイジェル・ホーソーン
ヴォルフ・カーラー
あらすじ:
イギリス秘密諜報局のケネス・オーブリー(フレディ・ジョーンズ)が、ソ連が最新鋭の戦闘機ミグ31を完成させ、近々政府首脳を前にテスト飛行をする、という情報を入手、NATO側がこの情報を基にミグ31の奪取作戦を展開することになった。
そのミグ31を操縦し奪い去る任務がベトナム戦で活躍したミッチェル・ガント(クリント・イーストウッド)に課せられた。
暗号名ファイヤーフォックスと名付けられたこの戦闘機は、最高速度マッハ6、アンチ・レーダー・システムを持ち、思考誘導兵器装置を装備するといった驚異的なジェット機だ。
NATO側がこれに匹敵する戦闘機を開発する場合、最低でも10年以上かかるというのだ。
輸出代理業者になりすましてガントは、モスクワのシェレメティエボ空港に降り立つ。
その夜、ガントはビリアルスクヘ送り込んでくれるぺイベル・ウペンスコイ(ウォーレン・クラーク)に会う。
だが、尋問してきたKGB局員をガントは殺してしまう。
翌朝、トラック運転手を装ったガントらは、偽造した通行証を手に目的地へ向かう。
途中でトラックを飛び降りたガントは、ファイヤーフォックス設計の中心的科学者で今回の作戦の協力者であるセミロフスキーと、ピョートル・バラノビッチ(ナイジェル・ホーソーン)、そして彼の夫人であるナタリアに会う。
KGBは、中央記録コンピューターの膨大な資料をもとに、KGB局員殺害の犯人の正体がガントであることをつきとめる。
だが、その報告がKGBのコンタルスキー大佐のもとへ入った頃、ガントたちも最終行動に入っていた。
格納庫の機材に火をつけ、混乱に乗じてパイロットに変装したガントがファイヤーフォックスを外へ出し、そのまま飛び立っていった。
ソ連の書記長はファイヤーフォックスの国外脱出を防ぐべく、ファイヤーフォックス2号機に後を追わせる。
ガントの乗ったファイヤーフォックスは計画通り、燃料のきれる直前、北極の氷原に着陸しNATO側の潜水艦から燃料の補給を受け、最終目的地へ向かおうとする。
2号機は、遂に彼の機を発見、両機による壮絶なドッグ・ファイトが北極海で展開する。
ガントは手に汗握る交戦の末、ファイヤーフォックス2号機を撃墜した。
コメント:
イーストウッドの監督・主演作品。
制作当時は米国の敵国だったソ連が開発した最新鋭戦闘機ファイヤーフォックスを奪取するという痛快戦争映画。
1976年に起きた「ベレンコ中尉亡命事件」をヒントにした同名小説の映画化。
ステルス機が世に出始めた時代の作品だけに、レーダーに映らない新型機というのは驚異だったのだ。
ステルス機能だけでなく、パイロットの脳波をコンピューターが感じとって、速やかな攻撃ができるという新型戦闘機。
この新鋭機・ファイヤーフォックスの奪取のために、アメリカは元パイロットでロシア語が堪能なガントにその任務を命ずる。
彼はベトナム戦争で心に傷を負って、時折発作を起こす症状を抱えていた。
彼は密売人になりすましてソビエトに入国するが次々と危機に陥る。
果たして任務を達成することができるのか。
基地に潜入するまでのひたすら隠れて逃げる部分がとても味わい深い。
ガントを基地に潜り込ませるまでに、手を貸す人々それぞれに人間ドラマがある。
何のためにこの任務を手助けするのか、その理由がそれぞれの口から語られる。
「あなたはアメリカ人で自由がある。私にはそれがないんだ。」
「妻にふさわしい男になりたいんだ。」
主人公が戦場の記憶で悩まされる描写も、今でこそPTSDというひと言で表現できるが、当時はそんな言葉すらなかった。
戦火で犠牲になる人々と、冷戦という時代の犠牲になる人々。
さまざまな人々のそれぞれの想いをしっかり描きながら、どんどん急ピッチで進行するスリリングな展開が凄い。
やはりイーストウッドの映画は、見ている瞬間もその後の満足感も、他の作品とは一線を画している。
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