「007 リビング・デイライツ」
(原題:The Living Daylights)
1987年12月19日日本公開。
007シリーズ第15作。
ティモシー・ダルトンの初のボンド作品。
興行収入: $191,200,000。
脚本:
リチャード・メイボーム
マイケル・G・ウィルソン
監督:ジョン・グレン
出演者:
ティモシー・ダルトン
マリアム・ダボ
ジェローン・クラッベ
ジョー・ドン・ベイカー
アンドレアス・ウィズニュースキー
アート・マリック
トーマス・ウィズリー
ジョン・テリー
ジョン・リス・デイヴィス
あらすじ:
欧州での東西の情報戦が熾烈を極めるなか、KGB高官コスコフ将軍(ジェローン・クラッペ)が亡命を望んでることを知ったボンド(ティモシー・ダルトン)は、チェコに飛んで、計画を実行に移す。
美しきチェリストのカーラ(マリアム・ダボ)の妨害にあうが、亡命は成功する。
英国に渡ったコスコフは、Mと国防大臣に西側スパイ暗殺計画の情報を提供する。
KGB現長官プーシキン(ジョン・リス・デイヴィス)が指揮するその計画を阻止するために、ボンドはタンジールに向かった。
むろん、ミス・マネーペニーやQのはげましと、助力(秘密兵器)を得てだ。
ウィーンでカーラと出会い、彼女がKGBに追われているのを知るボンドは、英国より脱出したコスコフが国際的武器商人ウイティカー(ジョー・ドン・ベイカー)とつながりがあるのをつきとめる。
ダイヤと麻薬をさばいて巨額の富をきずいていた彼ら。
プーシキンとボンドは手を組み、一計をはかるが、ボンドとカーラはつかまり、ウイティカーらにアフガニスタンに連行される。
しかし、上手く脱出に成功して、反共ゲリラに助けられたボンドとカーラの二人は、ウイティカーの計画を知る。
それは、欧州最大大麻産出地帯よりの五千万ドル、五千キロの麻薬取引きだった。
それをを阻止すべく、陸から空ヘの大攻防戦を展開した末、かくして、悪党どもの計画は潰えたのだ。
ボンドのスーパー・ヒーローぶりが改めて認められるのだった。
コメント:
目まぐるしく舞台が変わる。
ソ連が崩壊する前で、自由主義陣営にとって悪とは社会主義共産主義の国々だった。
だが、武器が第3世界の紛争当事者に流れていき、武器商人にはアメリカやソ連が絡んでいることも描かれる。
4代目のボンド役は、ティモシー・ダルトン。
彼にはショーン・コネリーやロジャー・ムーアの甘さがなく、彼らの007世界よりちょっとリアルになっていると感じる。
今回のタイトルは、「The Living Daylights」。
直訳すると「生きている日光」という意味不明の結果に。
この大元の意味は「両の目」なのだという。
それが転じて「生命」を象徴することになり、「私は死ぬほど驚かされた」というイディオム表現になるのだという。
本作の予告編(trailer)を見ると、クルーザーに横たわる女性が、ここは退屈で仕方がない、ハッとするような男性がいないかな、とこぼす場面でスタートし、最後にボンドが空から降ってきて、彼女を本当にびっくりさせるという、イディオムを視覚的な落ちになっている。
なぜこのタイトルなのか、イマイチ腑に落ちない感は免れないが。
新ボンド役のティモシー・ダルトンは、当時41歳。
コネリーやムーアと比べると若いだけあって溌溂としていて動きに切れがある。
目つきも鋭く、顔つきが精悍だ。
アクション俳優はやはりこのくらい軽快に動けないといけない。
ティモシーは、英国のウェールズ生まれ。父親はイギリス人、母親はアイルランド・イタリア・イギリスの血を引くアメリカ人。
過去には、ブルック・シールズ、エリザベス・テイラー]らと浮名を流したこともあるという、ボンド並みの色男だ。
今回のボンドガールは、チェロの名手の美女カーラを演じるマリアム・ダボ。
ところが、ただのチェロ奏者ではなく、ソ連要人コスコフ将軍を狙撃するスナイパーという驚きの展開。
その後ボンドと最後まで行動を共にする内にボンドの助手兼恋人になって行く。
エロスはゼロだが、純情で、真剣さと可愛さがあり、涙も見せるという、以前の定番のボンドガールとは違うキャラクターだ。
マリアム・ダボは、父親はオランダ人、母親はグルジア人。ロンドン生まれ。
白人とは違うエキゾチックさがある。
今回Qが用意した秘密兵器は、アストンマーチン(ミサイル&レーザービーム 装備)。
最大の見所は、貨物輸送機の空中アクションシーン。
ボンドと敵が展開する、いつ落ちるか分からないネット上でかろうじて飛行機に繋がっている状態での死闘。
ボンドカーを運転シーンやスキー場での逃走シーンが面白い。
それがこちら: