ハンフリー・ボガートの映画 「ハイ・シェラ」 ボギーが事実上主演のフィルムノワール!  | 人生・嵐も晴れもあり!

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「ハイ・シェラ」

(原題:High Sierra

 

 

ハイ・シェラ 予告編

 

1941年1月21日米国公開。

1988年12月17日日本公開。

ボギーが事実上主演となったフィルムノワール。

 

 

脚本:

ジョン・ヒューストン
W・R・バーネット

監督:ラオール・ウォルシュ

出演者:

アイダ・ルピノ

ハンフリー・ボガート

アラン・カーティス

アーサー・ケネディ

ジョーン・レスリー

コーネル・ワイルド

 

 

あらすじ:

インディアンの農家の息子から凶悪な銀行強盗犯となったロイ・アール(ハンフリー・ボガート)は、8年ぶりに特赦で出所し、仲間のビッグ・マックがお膳立てしているロスの高級リゾート・ホテルの強盗の片棒を担ごうとしていた。

若い手下のベイブ・コサック(アラン・カーティス)とレッド・ハタリー(アーサー・ケネディ)の待つキャンプ場へ到着したロイは、彼らが一緒に連れて来た娘マリー・ガーソン(アイダ・ルピノ)が邪魔で仕方ない。

また強盗の手引きをするフロント係のメンドーサ(コーネル・ワイルド)の怖気づいている様子も気に懸かる。

そんなロイだったが、道中のガンリンスタンドで出会ったグッドヒュー老夫婦の孫娘ベルマ(ジョーン・レスリー)に愛情を抱き、足の悪い彼女の手術代の捻出を申し出たりもした。

果たして強盗決行、ロイはパトロール中の警官を射殺、逃亡の際ベイブとレッドは運転をあやまり事故死。

マックも心臓発作で死亡、襲ってきた部下のジェイクをロイは射殺し、彼も傷を負いながらマリーと逃亡する。

その途中、全快したべルマのもとを訪れたロイは、彼女から婚約者を紹介され、裏切られた思いでベルマへの愛を断ち切り、かねてから彼に寄せられていたマリーの愛情に応えるのだった。

マリーをバスに乗せて彼女と別れたロイは、車で逃走中強盗で資金稼ぎをし警察の非常線にかかってしまう。

ハイ・シェラに追いつめられたロイは、報を知り駆けつけたマリーの見守る中、狙撃手に撃たれ息絶えるのだった。

 

 

コメント:

 

タイトルの「ハイ・シェラ」は、シェラという女性に「ハーイ!」と声をかけているのではない。

原題は「High Sierra」。

これは、米カリフォルニア州東部に位置している、南北に連なるシエラネバダ山脈の別名なのである。

主役のロイが、警察から逃れて逃げ込む場所が、このハイ・シェラなのだ。

 

この作品は、名匠ラオール・ウォルシュ監督の伝説の映画。

当時は主演女優のアイダ・ルピノの方が有名で、ハンフリー・ボガートはこの映画で人気になったのだが、封切当時の俳優のギャラはアイダ・ルピノが一番上だったのだ。

ただ、実質的にこの犯罪映画の中で完全に主役として動いているのは、我らがボギーなのだ。

 

 

ボギーは相変わらずフィルムノワールの中で凶悪犯として出色の悪漢ぶりを発揮している。

ダンディで女にモテる。

この映画では、耳元の髪をバリカンで刈り上げているがこれがまたカッコイイ。

令和の時代でも大人気の「サイドフェイド」に近い。

この時代もサイドフェイドがあったというのは新発見。

 

30年代全盛を誇ったフィルムノワールのギャング映画も戦雲高まるご時世で、終末期に至る頃でもある。
ハンフリー・ボガートの初主演で、ウォルシュ監督とのタッグで有名になった。
当代きっての才人たちが集合した力強い作品となっている。

 

 


特赦で出所した凶悪犯ロイ(ボギー)、仲間の手引きで次の大仕事が待っていた。
ロスの金持ちが集まるリゾート・ホテルで、ゴッソリ宝石をいただこうという計画。
この強面のロイだけでも見ものだが、足の悪い少女に、意外な心優しさを示す。
ここが本作の眼目で、初主演ながら二面性を上手く表現したボギーに、将来の大スターを感じさせる。
ラストのたたみかけるウォルシュ演出は凄い。
厳しい岩肌の山、泣きの情婦と健気な仔犬、一瞬、気の迷いを見せるロイ。
定型のギャングスターの最期だが、魅せられる。 

ボギーの魅力が炸裂している。

木々や草などの自然を愛する優しい犯罪者の末路を描いている。

 

この作品は、1941年に米国で公開されたが、日本ではその47年後の1988年であった。

ボギーの人気が日本で上がるのが遅かったということだ。

ジュリーの「カサブランカ・ダンディ」が発表された1979年から10年後だ。

この俳優の良さが日本人に理解されるのは難しかったのかもしれない。

こんなにダンディでカッコいいのに。

日本で最もボギーを有名にした「カサブランカ」でさえ、1942年米国で公開後、その4年後の1946年に日本で公開となっている。

その間、太平洋戦争があったことも一因だといえるが。

 

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https://tsutaya.tsite.jp/item/movie/PTA00007YMCZ