市川雷蔵の映画 「大菩薩峠・完結編」中里介山の大河小説を映画化。市川雷蔵主演の3部作完結編。 | 人生・嵐も晴れもあり!

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「大菩薩峠・完結編」

 

 

1961年5月17日公開。

中里介山の同名大河小説を映画化。

市川雷蔵主演の3部作完結編。

 

 

脚本:衣笠貞之助

監督:森一生

出演者:

市川雷蔵、中村玉緒、小林勝彦、本郷功次郎、三田村元、矢島ひろ子、 島田竜三

 

 

あらすじ:

竜神の滝の断崖から落ちた盲目の竜之助(市川雷蔵)はお豊(中村玉緒)の助けで伊勢大湊の与兵衛宅にかくまわれていた。
お豊は古市の廓に身を沈めたが病に犯され自害した。
竜之助あての遺言状と金は流しのお玉(中村玉緒)に手渡された。
挙動不審を咎められたお玉は役人に追われ金は落してしまうが、手紙だけは竜之助に渡すことができた。
裏宿の七兵衛はやっとのことで竜之助を探し出すが、竜之助は生花の師匠お絹と発った後であった。
お絹の色香を狙うがんりきの百(小林勝彦)は山中で二人の駕籠を別々に引き離してしまった。
怒った竜之助は百の片腕を切り落すが、谷底に落ちてしまう。
それを救ったのはお徳(矢島ひろ子)であった。
竜之助はお徳の子・蔵太郎を見てわが子・郁太郎の身に思いをはせるのだった。
甲府勤番となって湯元にやって来ていた旗本・神尾主膳(島田竜三)は、土豪望月家から金を捻出しようと面策、婿の清一郎を召捕った。
お徳からこれを聞かされた竜之助は清一郎を救い出すが、自分は主膳の家に捕われた。
主膳は竜之助の腕を見込んで、甲府勤番頭・駒井能登守(三田村元)の暗殺を条件に屋敷へかくまった。
その頃、兵馬(本郷功次郎)と七兵衛の二人は竜之助の足取りを、確実に追っていた。
主膳は有野村の馬大尽の一人娘との縁組を強制していた。
一夜、お銀(中村玉緒)を屋敷に連れこむが、お銀は竜之助に救われた。
お銀は顔半面むごたらしいヤケドの跡を作っているため、盲目の竜之助にかえって愛情を持った。
竜之助もお銀の声にお豊、お浜の面影を思いだしていた。
竜之助はある夜、駒井能登守を襲うが、その人格にうたれて討つことができなかった。
お銀とともに大菩薩に舞い戻った竜之助は、お浜の墓地をみつけて愕然とした。
それからというものは、竜之助の辻斬りが毎夜のように続いた。
辻斬りの噂を聞いて兵馬も大菩薩に帰って来た。
折柄の豪雨に笛吹川は氾濫し、村人は恐怖に包まれ続々と退避していた。
与八の世話で立派に成長している郁太郎を求めて竜之助は雨中をさまよっていた。
そこへかけつけた兵馬。
竜之助との宿命の対決となった。
だが、足元からくずれだす笛吹川の濁流のため、竜之助は濁流の中に押し流されていった。...
 
 
コメント:
 
市川雷蔵演じる机竜之助の冷血無惨さが冴える。
中里介山が大菩薩峠で表現したかったものは、勧善懲悪物語では語りつくせぬ「人間の業」の深さなのか。
斬りたくなったから斬る!
余計な理由などない。
 
お豊、お銀、お浜の三役を中村玉緒が演じているのは興味深い。
 
 
中里介山の「大菩薩峠」の愛読者は、当時の実業界の大物から、皇族に至るまで数限りなくいたという。
渋沢栄一や大正天皇の皇后である貞明皇后も「大菩薩峠」の愛読者だったという。
中里介山を愛読する作家や評論家も多かった。
芥川龍之介、谷崎潤一郎、宮沢賢治、大宅壮一などは絶賛に近いほどに「大菩薩峠」を評価している。
 
ぜひとも令和の世に、この作品を現在活躍中の監督、俳優によってリメイクされることを願う。