クリント・イーストウッドの映画 「奴らを高く吊るせ!」 ハリウッド凱旋作品! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「奴らを高く吊るせ!」

 

 

奴らを高く吊るせ! プレビュー

 

1968年5月31日公開。

興行収入:$6,800,000

 

 

脚本:

レナード・フリーマン
メル・ゴールドバーグ

監督:テッド・ポスト

 

 

 

キャスト:

括弧内は日本語吹き替え

  • ジェド・クーパー - クリント・イーストウッド(山田康雄)
  • レイチェル - インガー・スティーヴンス(平井道子)
  • ウィルソン元大尉 - エド・ベグリー(田中康郎)
  • アダム・フェントン判事 - パット・ヒングル(島宇志夫)
  • ブリス連邦保安官 - ベン・ジョンソン(緑川稔)
  • カルフーン保安官 - チャールズ・マッグロー(緑川稔)
  • ソフィー - ルース・ホワイト
  • ミラー - ブルース・ダーン(仲木隆司)
  • 預言者 - デニス・ホッパー
  • ルーミス - L・Q・ジョーンズ(内海賢二)
  • レノ - ジョセフ・シローラ(渡部猛)
  • ジェンキンス - ボブ・スティール(槐柳二)
  • チャーリー・ブラックフット - ネッド・ロメロ(木原正二郎)
  • トミー - ジョナサン・ゴールドスミス(徳丸完)
  • マドウ - ラッセル・トーソン(北村弘一)
  • マット・ストーン - アラン・ヘイル・Jr
  • 囚人 - ジェームズ・ウェスターフィールド

 

 

あらすじ:

輸送中の牛の中に、知らぬ間に他の牧場の牛がまぎれこんでいたので、カウボーイのジェッド(クリント・イーストウッド)は、突然9人の男たちに襲われ、牛泥棒として、私刑にあい、しばり首にされた。

今にもこと切れようとするところを助けられたジェッドは囚人車でオクラホマに運ばれた。

だがここで意外にも、フェントン判事から裁判官直属の保安官に任命され、彼を私刑した9人の男の逮捕を命じられた。

西部にもようやく法と秩序が生まれ始め、政府は私的制裁を禁じたのだが、私刑は後をたたず、承認や証拠もなく犯人たちを捕まえることができずにいたのだ。

だが、ジェッドは、無実で私刑を受けた当人である。

犯人逮捕には格好の人物だった。

ジェッドは復讐の鬼と化して9人を追うことになった。

1人、2人、3人と、ジェッドは彼らを追いつめ、射殺、あるいは絞死刑にしていった。

そんなある日、保安官の1人アルホーンが、死刑の主某者ウィルソン(エド・ベグリー)から示談金を預かって来た。

ジェッドは拒絶した。

ウィルソンは、ジェッドを殺害しようと計ったが、仲間の2人はこれ以上罪を犯すことを恐れ逃げ出し、ウィルソンの味方は、牧童2人となってしまった。

次の日、ジェッドは、ウィルソンたちに狙撃され重傷を負い、雑貨店の女主人レイチェル(インガー・スティーヴンス)の家にかつぎ込まれ、手厚い看護をうけた。

彼はレイチェルの献身的な看病で一命をとりとめた。

 

 

この間に、ジェッドはいつしか彼女を愛するようになっていた。

だが夫を無法者に惨殺された記憶を持つレイチェルは、彼の求愛を素直に受けとることはできなかった。

傷がいえたジェッドは、早速ウィルソンの牧場へ向かった。

すでに待ちかまえていたウィルソンは、猛犬を放ってジェッドを追いつめ、猛射をあびせた。

だが、ジェッドの機転とガンさばきで、2人の部下は射殺された。

もはやこれまでと悟ったウィルソンは、自ら絞首して果てた。

ジェッドはフェントン判事のもとに帰った。

仕事はこれで終わりだった。

だが、判事は、ジェッドの前に、逃亡したウィルソンの2人の手下たちの逮捕状をさし出した。

 

 

コメント:

 

マカロニ・ウエスタンで有名になったイーストウッドが、アメリカに戻って撮ったウエスタン。

ハリウッド西部劇というと勧善懲悪が基本の娯楽作のイメージが強い。

そんな中で注目すべきは、「奴らを高く吊るせ!」が正義というものの脆さを描いている点。

それは西部劇の世界で元来最も揺らいではいけないものなのだ。

正義とは何かというテーマを突き付ける異色作をハリウッドのウエスタンで演じたイーストウッド。

彼のその後の出演映画を予言しているような感じがする。

 

 

派手な銃撃戦でスカッとさせる映画ではない。

音楽や映像のつくりは、イーストウッドの出世作であるマカロニ・ウエスタンを思わせるが、訴えるものは全く違う。

法による秩序の下で、復讐という自力救済が禁じられる世の中になっていく時代を描きながら、正義を貫くことの難しさ、人それぞれの正義について考えさせられる作品。

当時の評価は低かったかもしれないが、後のイーストウッド監督作品にも通ずるテーマだけに、今観るとその片鱗を感じることができる。

 

 

これは、イーストウッドが設立したマルパソ・プロダクションの第1回作品。

すでに映画の世界で本腰を入れて行くというイーストウッドの覚悟が表れているような話題だ。

実際、このあとイーストウッドは、西部劇以外のさまざまな作品に出演し、監督業も開始することになる。