三船敏郎の映画 第107作 「赤毛」 幕末の官軍を描く異色作! 岩下志麻との初共演! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「赤毛」

 

 

赤毛 プレビュー

 

 

1969年10月10日公開。

幕末・王政復古の世に出現した官軍の先駆「赤報隊」を描く。

 

 

 

脚本:岡本喜八・廣澤栄

監督:岡本喜八

出演者:

三船敏郎、寺田農、高橋悦史、岩下志麻、岡田可愛、吉村実子、望月優子、乙羽信子、神山繁、田村高廣、伊藤雄之助、花沢徳衛、天本英世、砂塚秀夫、浜村純、岸田森

 

 

あらすじ:

慶応四年。

江戸に進撃する官軍の先駆となったのは、相楽総三(田村高廣)を隊長とする赤報隊であった。

赤報隊は東山道軍参謀から年貢半減令の旗印を与えられ、沿道各地の民衆を鎮撫して行った。

百姓あがりの隊士・権三(三船敏郎)は、次の目的地が郷里の沢渡宿と知るや許しを得て単身この地に乗り込んだ。

その頃、幕領沢渡宿は代官と結託した博徒駒虎一家に支配され、民衆はその圧制に苦しんでいた。

赤毛の権三は卑怯な駒虎から、年貢のカタに取られた娘たちを解放し、つづいて代官屋敷からは年貢米を取り返した。

民衆に敬まわれて有頂点の権三だが、母親はそんな息子に不安を感じていた。

その頃、この宿場には、官軍を阻止せんと幕臣たちの遊撃一番隊が町人に化けて潜入していた。

彼らは意気あがる権三に居合い斬りの達人一の瀬半蔵(高橋悦史)をさし向け、駒虎は権三の恋人トミ(岩下志麻)をまるめこんだ。

一方、仲間を助けに行っている留守中に、官軍への献金持逃げやニセ官軍を吹ちょうされた権三は代官を詰問したが、うまくその場をかわされてしまった。

民衆の支持を失った権三を励ますのは、真情を知るトミだけだった。

権三は、本隊にこの旨を報告すべく、三次(寺田農)ら四人を派遣して軍資金を送った。

だが、ニセ官軍の汚名をきせられた相楽はすでに処刑されていた。

三次たちを迎えたのは、東山道軍参謀を初めとする白毛をかぶった官軍だった。

白毛隊は無残にも少年たちを斬りすてた。

新しく支配者となった東山道軍参謀に年貢半減令や民衆の心などは邪魔だった。

代官は遊撃隊に殺され、半蔵の恋人も彼らにより命を落した。

半蔵は無理非道な官軍に怒り、権三に加担した。

やがて、トミまでが非情な弾丸を浴びて他界し、赤毛の権三は激しい怒りとともに荒垣のいる官軍勢に突撃していった。

 

 

コメント:

 

三船敏郎の飄々としたユーモアが良い。

「七人の侍」の菊千代の延長の役柄である。

百姓出身の赤報隊の隊士が、自分の出身の宿場町の住人を、先鋒として3日間だけ「赤毛」を隊長から借りて宣撫しに行くという話である。黒澤の「用心棒」のユーモア版とも言える。

カメラに血潮が吹きかかるほど、血潮が多め。

 

 三船敏郎のユーモラスなどもりの演技と力強さ、三船と岩下志麻の初顔合わせ、剣豪役の高橋悦史のカッコよさなど見どころ満載。

三船さんが赤毛をなびかせて、馬を猛スピードで走らせる様子には胸が躍る。

どんな悲劇も包み込んで立ち上がる、民衆のダイナミックなパワーが満ちているラストシーンは圧巻。

三船敏郎が豪放磊落ゆえ、最後の悲壮感がたかまる。

途中の出世物語が面白いことも、ラストに繋がっている。

岡本喜八監督ならではの佳作。

この「赤毛」は実話である。

慶応4年(1868年)に赤報隊を組織して官軍の先鋒として活躍した。

年貢半減・借金棒引の新令を掲げて、民衆の心をつかみながら進軍するが、官軍は経済的に苦しく後に方針を変更する。

いまさら訂正するのは官軍の恥になるので、赤報隊に偽官軍の汚名を着せて全員抹殺し、自らに火の子がかかるのを防いだ。

この史実を元に作られた作品なので、ラストの絶望感は筆舌に尽くしがたいものがある。

 

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