それは、やっぱり良い本を邪魔されずに読んでる時間帯やな〜
早速昨日手に入れた『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』by塩野七生を読み始めたらば、冒頭から味わい深いことを筆者がかましてくれます。
ふたつの短い文章を引用し、その共通点を浮き彫りにしてあるの。
知識と科学に関する端的な表現が、その文章を記した人の考え方をくっきりと明確に浮かび上がらせる。
これはもう立ち読みでもええから、新潮文庫の最初の数ページだけでも見なさい、としか言えないわ。答えバラすとつまらんし。
続いて筆者は「文庫版への前書き」を3ページちょいだけ読者におくってる。
ここを抜粋する。
中世そのものと言うのならば、フランス王ルイ9世になる。なぜならこの男は、キリスト教会という当時の最高権威に盾突いたことは一度もなく、十字軍史上未曾有の敗北を喫していながら、ローマ法王からは聖人に列せられたのだから。
一方、フリードリッヒはこのルイの対極にある。ローマ法王とは盾突くどころか激突をくり返し、血を流さないで聖都イェルサレムを再復してやったのに3度も破門されたのが、フリードリッヒです。(『皇帝フリードリッヒ二世の生涯(上)』著・塩野七生 新潮文庫 P.15より抜粋)
え…ちょっと待って?
うちは何もかもを政治的にするつもり無いけどさ、塩野七生氏が述べたこの対極にあるルイとフリードリッヒって、そのまんま誰かにそっくりやん
最高権威に盾突かない、未曾有の大失敗、権威から聖人扱い
vs
最高権威に盾突く、無血で偉大な結果、権威から嫌悪される
さぁ、賢い読者の方にはもう「あ…」とお察しでございますね
今の時代ならば最高権威とはいくつか存在するけど「マスメディア」「人権様」といったところかしらん。
やってることボロボロでも権威に迎合するもしくは利用されてぼけっとしてたら、権威から「あんたは立派!」とお墨付きをもらえるんよね〜。
でも最高権威とやらを軽視したら、どんなに結果が立派でもボロカスに叩かれまくる。そして権威を盲信するアホどもには権威の威光に目が眩んで事実が見えずじまい。
『フリードリッヒ』の単行本は2013年初秋に、文庫版は2019年夏にそれぞれ出版されてる。
この6年弱の間に塩野七生氏もぼ〜っとしてはったのではなく『逆襲される文明 日本人へⅣ』を文春新書から出してはった(この『日本人へ』シリーズも読みたし(^q^)ジュル)。
過去の偉人達に耽溺するだけやなく現代人の行動からも目を離さないから、アメリカの喧騒も覚めた目で分析してはるかもね。
うっかり読みだしたらまたもや家事が疎かになってまうわ。そのくらいうちは面白い本が好き。
が…。
夫の義父母は読書せえへんのよ。本棚あったっけ?て感じ。
彼らは知性あっても読書の習慣が無い。うちの目にはそれがフランスの一般庶民の姿なんかね?と映る。
日本では(今は知らんけど)文庫本をバッグにしのばせておき、暇な時間が出来たらそれを読む人たちがたくさんいた。なにかといえば飲んで踊る人たちと武道文芸に勤しむ人たちとの違いでしょうか。
そんな義父母も、溺愛する孫達にはちょくちょく本を送ってくる。
息子が幼児期には『チューピィ』シリーズを。娘が幼児期には『マルティンヌ』シリーズを(リンク先はうちの書評です)。
なので、義父母は自分が子供の頃は読書の意義をそんな感じんかっても、21世紀までにはちゃんと脱皮して本の重要性を理解してはるんやな〜と。
そして彼らの息子である夫。
たまに面白い本(ダ・ヴィンチ・コードとか)があればばーっと読むけど、本の虫ではない。
そして理系一筋なんで、歴史の西洋部分もむしろうちの方が知ってたりする。
「フリードリッヒ二世の本やねん。世界史であんたも勉強したはずやし、名前に聞き覚えあるんちゃう?」と無駄を承知で尋ねてみたら、やっぱり「聞いたことある気はするけど、知らない」やった。
ウィキで仏語ページを出してやったら「フレドリック・ドゥ、かぁ。忘れてる」とのこと。それにしても「フレドリック・ドゥ」って笑かしてくれますね
さて、悦楽の時間は洗濯機の音や時計から「そろそろ終わりにせないかんなぁ」とふと気づく。
でもちょっとだけと未練たらしく下巻の目次を見てみたら「鷹狩の書」の項目があったんでそこだけつまんでみるしつこい女。
うちは鷹狩りどころか鷹を触ったこともないけど、この部分に「おっ」となった。
第2に、パワーがある。ピストルでも撃った後の手首に与える衝撃は強烈だが、鷹を放した直後の手首に残る衝撃はその比ではない。鷹の持つパワーを感じないではいられない強さなのだ。(『皇帝フリードリッヒ二世の生涯(下)』著・塩野七生 新潮文庫 P.194より抜粋)
これね、手乗りインコが手首からジョワっと飛び立つ時のことを思い出してん。
セキセイインコやから鷹とは比較にならん小ささ軽さやけど、それでも結構な力で押し出して飛び立つんよ。
わかるで〜、フリードリッヒ君!
と全然桁違いのくせして皇帝にうんうんと頷いてしもたわ。
本のおかげでフリードリッヒとお近づきになれましたどこがや
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