令和元年記念/即位の礼再現ジオラマ完成 |  Kyotoから創造するARTBOX45°

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 歴史的建造物の模型・ジオラマなど当時の情景を蘇らせることに日々励んでいます。

宗秀斎です。

 

令和元年記念、京都御所紫宸殿/古式即位の御大礼再現ジオラマが完成致しました。

新時代を迎えるにあたり、メモリアル模型として思い出に残る作品を制作したいというコンセプトから生まれたものです。

 

 

 

テーマは即位の礼。

天皇御即位の儀式の情景をジオラマで表現できないか?

こんな突拍子もないことを昨年からふと思いつき、その参考となるものがないかと調べていたところ、一般財団法人宗教文化研究所 所蔵で京都の老舗で主に法衣・装束・調度品を制作している井筒グループの手による大正天皇御即位の模型の存在を知りました。

 

この模型は以前から京都を始め、東京国際フォーラムでも度々展示されていたもの。

それを参考に昨年に試験的に制作したのですが、その後、偶然にも京都で即位の御大礼展が開催される!

滅多にないこの機会を逃すまいと駆け込んだものですが、当時の情景を再現された光景に圧巻されたことを今でも忘れられません。

王朝儀式の学術的検証から緻密な再現もさることながら、何よりも京都の伝統工芸を駆使した分業による精巧な作りに驚いたことです。

こうした古の技術に加え伝統を伝える儀式が重なり合う…日本の伝統が凝縮された形がそこにはありました。

 

その様子を描かれた絵図も沢山残っています。(大正天皇御即位)

 

こちらは江戸時代の儀式。旗などの調度品から人員配置も近世の即位式と比べ随分と違います。時代が経つにつれ、その儀式の変容が見えます。

 

江戸時代の儀式を再現したいとも思いましたが、技術的に力不足で…(汗)

近世に近い形で進めてみました。

 

今回の作品

前作の即位式ジオラマの違いについて、今回の紫宸殿は立面図を元に1/250スケールでの木製フルスクラッチ、また京都御所の内郭部分である日華門、承明門、宜陽殿、塀など京都御所実測図に基づいて同じく1/250に併せて制作致しました。
 
尚、前作にも制作過程やコンセプトなど記事にしており、重複するので省略致します。
ご興味のある方は過去記事のテーマ欄にもございますので参考までにニコニコ
 

Gallery

南側 承明門
 
宜陽殿
 
東側 日華門
 
西側 月華門
 
北側 紫宸殿裏側
 
バンザーイとよく言いますが、その萬歳旗(ばんざいばん)や青・黄・赤・白・紫5色の菊花章中錦旗(きっかしょうちゅうきんばん)色とりどりの旗などが立ち並びます。
 
承明門から臨む。見えにくいですが、承明門の額も付けてます。
 
黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)と呼ばれる儀式に着用される帝の御姿。
本来の儀式ではありえない光景ですが、あえて表現してみました。
 
 
京都御所内郭部分
 
オリジナルステンレスプレート
 
いかがでしたか?
 

まとめ

今回、テーマとして新たな時代を迎える賞賛の意を込めて、メモリアル模型として古式の即位の情景を簡略ながら独自で再現した作品となりました。
 
紫宸殿含め、殆どがフルスクラッチ。膨大な制作時間を費やしました…(汗)
 
しかしながら、即位というキーワードからこのような個人観賞用としての模型は作例がないものと思っています。
 
テーマも大きいだけに恐縮ながら、このような情景を再現したのも地元京都市民としての思いも強くありました。何よりもこの作品を通して新時代の記念として、また古来から続く日本伝統の情景を身近に感じて頂きたいという一心でした。
そうした作品に仕上がったか分かりませんが、新たな表現ができたと自負しています。
 
古来の儀式をこの目で見たいという願望、現実では不可能でもそれを実現させてくれるのが模型の魅力だと思います。
 
最後に。
以前、ある方がSNSで「模型の世界では一般には知られていないしオモチャ扱い、そうなるまいと多くの人が日夜頑張っている」というコメントを下さり、その言葉が今も心に残っています。
 
ものづくりに対する姿勢といいますでしょうか、今までの作品において歴史、美術的側面で制作し続けているということです。
 
その情景を汲み取って頂き、少しでも歴史に触れて頂きたいという一心でこの情景が生まれました。
 
今後もその気持ちを大事に持ち続けながら邁進していきたいと思います。
 
これにて京都御所紫宸殿即位の礼再現ジオラマ制作終了でございます。
 
ありがとうございました!ニコニコ