やがて京都は修学旅行の定番ではなくなる | 野中宗助の日常

野中宗助の日常

漱石「門」の主人公の名前を拝借

昨日、「京いちにち」(NHK京都ローカルニュース番組)で京都市にあるホテルの稼働率がコロナ前より、7.9%減っていると伝えた。

 

???

 

実感は違う、観光客はコロナ前とかわらなくなつたと思える。

 

待てよ、稼働率というが、そもそもホテルそのものの数が増えていないか?

 

ホテルの数が増えれば、ホテル、旅館一軒あたりの稼働率が減るのは当然だ。

 

NHKがニュースのもとにした京都市観光協会のデータを詳しくみてみると、案の定、京都市の客室数はコロナ前より10.8増えている。

 

客室数が増えているのだから稼働率が減るのは当たり前ではないか。

 

そこをNHKは分析せず、稼働率だけ切り取って伝えるのはなんとも杜撰だ。

 

もう一つ、NHKはホテルの宿泊費がコロナ前より33.8%も値上がりしたとも伝えている。


これはかなり重要なことだ。

 

稼働率は減っているが、宿泊費を大幅に値上げしたのでホテルの売り上げは伸びたという計算だ。

 

NHKはそこを詳しく伝えない。

 

NHKはなにが言いたいのかさっぱりわからない。

 

ただ観光協会のデータを発表するだけで、伝える「意図」がわからないのはメディアとしては失格で、メディアの存在理由がない。

 

データにはないが、最近、修学旅行で京都を訪れる学校が悲鳴をあげていると聞く。

 

理由は宿泊費の値上げで、修学旅行生が従来の宿泊費では泊まれないからだ。

 

修学旅行生が泊まれるホテル、旅館が少なくなった。

 

コロナ前より京都の宿泊費が急激に高くなったのは円安で訪れる外国人からぼったくろうという腹からだ。

 

33.8%値上げしても円安の外国人観光客は困らない。

 

けれどその皺寄せは修学旅行生をはじめ、日本人観光客にくる。

 

そんな宿泊費が高い京都には来られない。

 

修学旅行の定番である京都をはずせないというのはあるが、宿泊費が値上げした分、どこか出費を削らねばならない。

 

例えば自分がやっているガイドをつけないケースが増えてきた。

 

タクシーで移動し、タクシーがガイドを務めるというのも減っていっているだろう。

 

あるいはタクシー会社は値下げして、なんとか使ってもらうと努力しているのかもしれない。

 

いや切り詰めだけで済めばいいが、これだけ宿泊費が高いのなら京都に修学旅行に行くという発想を改めようという動きも出始めるだろう。

 

33.8%の宿泊費の値上げ。

 

修学旅行生の家庭の家計を直撃する。

 

円安という一事象だけで宿泊費を値上げし、コロナで損した分を取り返そうと京都のホテル、旅館はやっきになっているが長い目でみれば損をするかもしれない。

 

もし円安がなくなれば外国人観光客はやってこないし、愛想をつかした日本人観光客も、修学旅行生もやってこない。

 

円安に胡坐をかいているのはホテル・旅館だけではなく同じく外国人観光客からぼったくる飲食店も同じで、飲食店もどこかで破綻するかもしれない。

 

観光協会はただデータだけを披露し、あえて将来、あるいは現状の問題点をあげない。

 

けれど観光業界はしっかり考えないと自滅しかねない。

 

京都はいま、外国人観光客ばかりに目がいっている。

 

その偏りが国内からの旅行者、修学旅行生を駆逐し、観光全体を崩壊に導いている気がする。

 

その歪んだやり方のつけは確実にきそうだ。