お寺には、いろいろな事情で亡くなった子たちがやってきます。
まだ目の開いていない仔から年老いて瘦せ細った子まで、年齢も、状態も様々です。
その中でも、手術の痕がそのまま残っている子は切ないですね。
「手術は成功したけど、目覚めませんでした」と獣医さんから言われるのですよ。
手術は成功って、なに?
目覚めなければ、失敗なんじゃないの!って言いたくなりますよね。
比較的簡単な去勢手術であっても、全身麻酔するにあたってはリスクが伴います。
手術の成功率は99.9%ですが、1000匹に1匹は亡くなってしまうのです。
体つきは健康体で、毛並みも整っているのに、お腹の辺りだけ毛がないのです。
飼い主さんの突然の死の悲しみは計り知れませんよね。
まさか、うちの子が…
さっきまで元気だったのに。
あの姿がここにないのですからね。
99.9%と聞けば、まず大丈夫でしょうから、迷うことなく手術しますよね。
でも、世の中には完璧なことはないのです。
去勢手術に限らず、手術にはリスクが伴います。
じゃぁ、95%だとしたら、70%だとしたら、55%だとしたら、
あなたはどうしますか?
手術の成功確率95%と言われれば、まず大丈夫と思いますよね。
でも、5%の確率で失敗するのです。
では70%だとしたら、病気が治ることに願いを賭けて決断しますか。
でも、30%の確率で失敗するのです。
100匹のうち5匹が亡くなると考えるのか、20匹に1匹が亡くなると考えるのか。
100匹のうち30匹が亡くなると考えるのか、10匹に3匹が亡くなると考えるのか。
決断するにも相当迷いますよね。
手術が成功すれば、決断して良かったとなりますが、手術が失敗すると、決断しなければ良かったと後悔することになりますし、自らの決断で死なせてしまったようなもので罪悪感も伴いますよ。
ペットちゃんの寝姿を見ても切ないですが、飼い主さんの心情を察すると切なくてたまりません。
この悲しみを受け止めるには時間が掛かりましょうね。
あの日。あの時。
良くなることを信じ。
あの子のためを想い。
希望に願いを託したこと。
あの子は全部知っておりますよ。
あなたの優しさに感謝しておりますよ。
だから、もう。
自分を責めないで。
あの子の大好きな人を責めないで。
許してあげて。
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私の著書:
「ありがとう。また逢えるよね。ペットロス心の相談室」双葉社
「老いゆくペットと幸せに暮らすための40の心得」双葉社