昔、ペット用品の販売をしていた頃。
耳の不自由なお客様と筆談にてお買い物の手伝いをしておりました。
少しでもその方に寄り添うことが出来ればと思い、通勤時間(往復90分)を手話の勉強に費やし、簡単な挨拶程度が出来るようになったら、お客様はとても喜んでくれました。
それからというもの、耳の不自由なお客様の来店が増え、筆談ばかりしていると売場の補充が追い付かないので、読むと分かり易いポップを作成しておくと、耳の不自由な方だけでなく、他のお客様にとっても便利なことから売り上げが上がりました。
ある時、車いすのお客様が商品を選んでいる時に、カートがすれ違う際に申し訳なさそうにしておりました。
車いすのお客様にそういう思いをさせないように、売り場の通路をカートがすれ違うサイズではなく車いすがすれ違うサイズにすると、車いすでも快適に商品が選べるので車いすでのお客様が増えました。
それと同時に、ケース買いするお客様にとっても買いやすい売り場となり、さらに売り上げが伸びてゆきました。
ある日、全盲の杖をついたお客様が家族と来店しており、その方の為に何かできることはないかと考えます。
毎時間のマイクパフォーマンスで安さを売りにするだけではなく、その方に今日のおススメをお伝えするように、声色を変え、トーンを変え、商品の説明を付け加え、たった一人のお客様へ向けてのマイクパフォーマンスをするようになりました。
それからというもの、そのお客様から声を掛けてくださるようになるだけではなく、他のお客様にとっても伝わり易いマイクパフォーマンスとなり売り上げが増しました。
いつも、売り場にいらしてくれる一人のために、何か自分に出来ることはないかと考え、寄り添えるように改善してゆきますと、それは一人の為だけではなく、他の人にとっても良い事となり、いつの間にか多くの人で賑わう繁盛店となってゆきました。
そんなある日。
いつもペットフードを購入している全盲のお客様から、熱帯魚を飼いたいとの申し出がありました。
全盲なのに?熱帯魚を??
ちょっとした間を察してくださり、「目の見えない私が熱帯魚を飼うなんて可笑しいことですよね!でも、私も熱帯魚を飼ってみたくなったのです。お兄さんのマイクパフォーマンスを聞いていてね!」と言うのです。
そのオーダーに応えるべく、水槽の大きさ、レイアウト、魚の色柄や性質をお伝えしながら、要望に応えようと一生懸命にお話すると、「目が見えないのでいろいろと説明されても分からないこともあるのですが、私はあなたが見ている水槽が家にあったら幸せでいいなぁ~と考えているのです。値段のことは一切気にせず、あなたがいいなぁ~と思う水槽を我が家に設置してください!」と頼まれました。
そして、私のセンスでこれぞ!というレイアウトに仕上げて、設置のすべてをさせていただきました。
魚の仕草や性格を伝えている中で、キッシンググラミーというキスをし合う魚がいるのですけど、その魚の話をしている時に私が、「こんな顔してお互いにちゅっちゅしているんですよ!」と言った時に、”見えないんだよな~”と思ったら、「そんなことありませんよ。横田さんが可笑しな顔してちゅっちゅしている姿が見えますよ!」と言ってくださいました。
目で見えていることだけがすべてではないことを教えてくれたのです。
そうそう!
先日のバレンタインにお菓子を頂いた方から、「私は横田さんのお経の響き好きですよ」と手紙に記してあり、いつぞやのブログの返信として気遣っていただき、お経という耳に聞こえるものだって、聞こえることだけがすべてではないことを教えていただきました。
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私の著書:
「ありがとう。また逢えるよね。ペットロス心の相談室」双葉社
「老いゆくペットと幸せに暮らすための40の心得」双葉社