小さな愛のものがたり 5話/全9話 | source message

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人生は素晴らしい! 世界はこんなにも美しい!!



数え切れないほど、ふたりは生まれ変わりを繰り返した。



ひとつの木の上で何度となく、たくさんの木の上で何度となく、



他の生命と共にふたりは生まれ変わり、お互いを確認し合った。



 

いつしかふたりにとって、別れは別れではなくなっていた。



 

お互いの想い合う気持ちがあれば、



ひとりであっても、ひとりと感じることはなかった。



お互いの信じ合う気持ちがあれば、



たとえ目には見えなくても、ふたりはひとつだと感じ合うことができた。



 

別れを惜しむ気持ちは、再会を喜ぶ気持ちに変わっていた。




 
そして再会を繰り返すことで、



お互いの繋がりが確かなものであることを、ふたりは確認し合っていった。



 



 



やがてふたりは、ふたつの種に生まれ変わることを選んだ。



 



 



しかしそれは、



ふたりが今までに経験したような、短い別れではなかった。



ふたりがまた出会うには、いくつの時を要するかもわからない、



それは遥かに長い別れだった。



でもだからこそ、お互いを信じずにはいられなかった。



〝どんな困難があっても、あなたと会える時を信じるわ〟



〝いくつの時を経ても、きみと会う時を信じよう〟


ふたりは強く強くお互いを信じ合い、再会の時を誓い合った。



 



 



遥か昔にひとつの種だったものたちは、



今度は別々のふたつの種となり、



世界のどこかに生れ落ちた。



いつ訪れるかもわからない時を、静かに信じ合いながら・・・