小さな愛のものがたり 6話/全9話 | source message

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人生は素晴らしい! 世界はこんなにも美しい!!




ひとりの成長が始まった。


種として生れ落ち、最初に行ったことは、



大地の上まで芽を出すことだった。



ひとつの芽はただひとつの希望を胸に、種からその身を伸ばし始めた。



世界のどこかで同じように生まれている、お互いを想い合いながら・・・




ふたりがひとりで成長していく中で、



お互いの体の上では、様々な生命達が生まれた。



それは、お互いの体を寝床としている動物たちの生命や、



ふたりのような葉っぱの姿で生まれてくる生命だった。



そのたくさんの生命たちと共に、



たくさんの季節を、ふたりはひとりで過ごした。



しかしいくつの季節が過ぎようとも、



お互いを想う気持ちは変わらなかった。



廻り行く季節の中で、



は、鳥と歌いながらお互いを想った。



は、澄んだ風に揺られながらお互いを懐かしんだ。



は、落ちる葉を見ながらお互いを信じた。



は、凍える星空を眺めながら、ひとりを耐えた。




それは永遠とも感じられるような、遥かに長い時だった。




しかしどんなに時が経っても、



ふたりの心はいつも寄り添うように、ふたりはひとつだと感じ合っていた。



どんな困難がふたりを苦しめても、



お互いを想う楽しさと、お互いを信じ合える喜びを忘れたことはなかった。



そして、



いつか訪れる至高の時を、ふたりは心から信じ合っていた。