衝動と発露の際(きわ)は一重にて「黒い聖者と罪ある女」
色々と書かねばならないことが山と積もって来ているが、ものすごい湿度の為、体も頭も動かない。
今、音楽の力を借りている。
チャールス・ミンガスの『黒い聖者と罪ある女』(The Black Saint and The Sinner Lady)。
ミンガスのジャズは、本人の破天荒なキャラクターに関するエピソードを絡めながら、よく暴力的なスイング感とか語られる。
確かに怒りとブルース・フィーリングが同じ鍋で沸騰しているかのような、そんな感じはする。
が、ミンガスのカッコイイところは、突き抜けた荒々しさと同じぐらいの、どうしようもない繊細で綿密な構成が、音楽の中でギリギリのバランスを保って両立しているところ。
それを教えてくれたのが、11人編成で演奏されるバレエ曲『黒い聖者と罪ある女』が収録されたこのアルバム。
衝動と発露の、そのギリギリの際が、激しくも美しい音符と音符の狭間で散る、そのほんの一瞬。