その昼と夜(短歌人2016年7月号)生きることに厳かな暗さ覚えし夜に五冊目の写本を終えり 火のように咲き乱れては痛かろうツツジの丘に雲掛かり居て カシオペア座αシェダルが赤々と燃えて霞んだ次の日は雨 手の甲に初夏の陽は散り二の腕の火傷の痕は花のようである 歳月は軽く流れてゆけばよい影の一部を穿つ木漏れ日 某日 雨が降りやまず 強めの水が地表を打つ音のみが鳴っている 昼と夜 その空白を 溶かしているものは何